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有料イベントになっても過去最高の来場者数を記録
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今年のMAX Japanがパワーアップしたところは会場の広さだ。「Aホール」「Bホール」「Cホール」の3ホール使用して、昨年よりも約25パーセントほど広くなっていた
アドビは12月3日、パシフィコ横浜にて「Adobe MAX Japan」を開催した。MAX Japanは毎年ロサンゼルスで行われている「Adobe MAX」の日本版で、Adobe Creative Cloudのアップデート内容の紹介はもちろんのこと、40本以上のセッションやワークショップが行われるクリエイティブカンファレンスだ。今年から一般10,000円、学生無料の有料イベントに変更となったが、アドビによるとそれでも過去最高の来場者数を記録したという。
Adobe MAX Japanの魅力は、なんといってもトップクリエイターによるセッションだ。キーノートや一部のセッションは自宅や会社からライブ中継で視聴可能だ。それでも有料になったMAX Japanが支持されるのは、クリエイターが3,000人以上集まる出会いや情報交換の場であり、今後の活動の活力となる良い刺激をいっぱい得られる絶好の機会であるからだろう。
今年も映像系のワークショップやセッションは充実していた。マリモレコーズ江夏正晃氏や江夏由洋氏、山下大輔氏、市井義彦氏などがワークショップやセッションを展開。特に児玉裕一氏やダストマン氏のセッションは、一番大きなレッドステージが満席になるほど多くの受講者が集まっていた。
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会場のフロアマップ。会場が広くなって、ステージが去年より広がっているようだ
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今年も8つのステージを使って約40のセッションやワークショップが同時多発的に行われた
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MAX会場内でもっとも広いレッドステージの様子。ダストマン氏のセッションは、それでも満席となっていた
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ステージKの様子。MAX Jananの会場には、このようなステージがいくつも設置されてセミナーが同時に行われる
これからのアドビは、iPad版で新しい作業スタイルやARで表現技術に対応
MAX Japanはキーノートで開幕する。キーノートでは、Adobe Creative Cloudのアップデート紹介が中心で、これから使えるようになる新機能の紹介が行われた。キーノートで特に興味深かったのは、iPad版対応やARクリエイティブアプリなどの新ツールの紹介だ。アドビといえば、PhotoshopやIllustratorがお馴染みだが、ここのところアドビブランドなのに知らないツールが増えてきていると感じる人は多いはずだ。そこで、キーノートで紹介された、iPad向けの開発中の製品やAR等の新しいメディアに対応する新製品を紹介しよう。
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キーノートには、Creative Cloud担当エグゼクティブバイスプレジデント兼CPO(最高製品責任者)であるスコット・ベルスキー氏が登壇
■Adobe Photoshop iPad版
Adobe MAX 2019で正式リリースを開始したiPad版Photoshop。Photoshopが誕生してから30年が経過したが、まだまだPhotoshopは進化中で、その進化の1つがPhotoshop iPad版。iPadという新しいプラットフォームでPhotoshopを実現するのは、Photoshopを根本から見直すのに等しかったという。
指やApple Pencilで直感的に操作可能や、パフォーマンスを発揮できるように見直しが行われている。また、Adobe XDやLightroomと同様にクラウドドキュメント対応でPSD対応を実現し、デスクトップPCのPhotoshopとiPadのデバイスをまたいでPSDで作業ができる。iPad版Photoshopは、Photoshopのサブスクリプション契約のユーザーが使用可能。
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Photoshop iPad版のユーザーインターフェイス。左側には縦にPhotoshopでお馴染みのツール群が並び、右側にはレイヤーパートが並ぶ
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Photoshop iPad版は、来年にはRAWのサポートなどを予定している
■Adobe Illustrator iPad版
iPadのIllustratorの紹介も行われた。クラウドのドキュメントをすべてiPadからアクセス可能で、iPadでデザインを開始して、仕上げはデスクトップといった連携が可能になる。特にiPad版Illustratorで特徴的なのは、Apple Pencilと連携によりペンでベジェ曲線が引けるところだ。パフォーマンスも充実しており、何千、何万というオブジェクトであっても円滑に機能が可能。Illustrator iPad版の登場によって、デスクトップ版Illustratorよりもイラストを駆使した表現が手短に制作できるようになりそうだ。
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Illustrator iPad版では、自然なシームレスな形で、Apple Pencilが使用可能
■Adobe Fresco
古いMacユーザーならお馴染みのデジタルペイントの老舗ソフト「Painter」を連想させるペインティングアプリケーションが初登場。Frescoのライブデモが行われた。PhotoshopにはiPad版が登場したが、ブラシを使って絵を描きたいならばFrescoだ。Apple iPadに加え、Microsoft SurfaceやWacom MobileStudio Proで利用可能。PSD書き出しに対応した最新バージョンがMAX Japan当日にダウンロード開始と紹介した。
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Frescoは水彩の描画も得意だ
■Adobe Aero
iPadのみで拡張現実(AR)体験を作成できる新しいツールAeroは、Photoshop、Illustratorなどのツールで作成したアセットを利用して、ARエクスペリエンスをデザインし、公開することができるソフト。スマートフォンやタブレットのiOSで無料で使用可能。
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■Photoshop Camera
Photoshopブランドのスマートフォン向けカメラアプリ「Photoshop Camera」。多くのカメラアプリはフィルターやエフェクターなどを写真を撮ったあとに適用するが、Photoshop Cameraは、シャッターボタンを押す前からAdobe Senseiの技術を活用する愉快なアプリケーションとなっている。
Photoshop Cameraの使い勝手も詳しく紹介しておこう。Photoshop Cameraは、撮影から可能。自撮りをすると、顔認識をして自動補正してくれる。続けて「レンズ」効果を適用して、より写真をよくしていくことができる。
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Photoshop Cameraは撮影から可能だ
キーノートの登壇メンバーの写真を使った例。スペクトルのレンズを適用すると、このように違ったイメージになる。
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スペクトルのレンズの適用例
ポップアートのレンズ適用例。テキストも自由に移動できるので、結構異なるイメージを作ることが可能。背景と被写体を認識してくれるので、背景をぼかすこともできる。
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ポップアートの適用例
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今年の展示会場は、AR体験コーナーに注目
展示会場でアドビが力を入れていると感じたのが、AR体験だ。これまでのWebの世界はWeb限定の体験となるが、拡張現実の世界は物理的な世界とデジタルが結ばれるので、Webよりも大きな現象になりうるという。MAX JapanでもいくつかのAeroを使った作品展示が行われていたので紹介しよう。
展示会場では、Photoshopの技法を広めている伝道師ラッセル・ブラウン氏によるテーマ展示「クジラと泳ごう!」が行われていた。iPadやiPhoneのARアプリを通して見ることで、泳ぐクジラが合成されるというもの。Aeroの機能をフルに使ったコンテンツだ。
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ラッセル・ブラウンの「クジラと泳ごう!」ブースの様子。ARアプリを通して見ると、この空間にクジラが泳いでいる様子が合成される
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実際にはクジラは見えないが、ひとまず外国人女性デザイナーの指示に従って驚く演技をする。iPadのARアプリを通して見た世界には、クジラが存在している
Adobe Creative Residencyのコーナーには、中田拓馬氏と福田愛子氏によるARコンテンツ「The Wonder Chamber ~不思議の部屋~」を展示。福田氏がコンセプトや家具の選定などアートディレクターとイラストレーションを担当し、中田氏が福田氏の描き出す世界感をARコンテンツで再現。イラストとテクノロジーの表現の可能性を目指したものだという。iPadのARアプリを通して見ることで、ガラスドームの中の薔薇が浮いたり、文字を触ると飛び跳ねる様子を楽しめるようになっていた。
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展示会場の様子。色使いが特徴の福田愛子氏のイラストを現実サイズで立体化
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iPad内のイラストの一部を触ると動く。写真の例では文字が動いていた
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何もないガラスドームだが、アプリを通して見るとイラストが色々と配置されている。蝶々が飛んでいたり、文字をタップするとに動いたりする
展示会場のカメラカメラメーカーの展示登場
今年のMAX Japanでは、展示会場にカメラ関連を扱うスポンサーブースの出展が増えていた。恒例のMAX Storeの様子も含めて展示会場の見どころを紹介しよう。
■シグマ
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多くの人が小さい筐体のfpを手にとって興味深そうに見ていた
シグマはAdobe MAX Japanに初出展。発売開始して約一ヶ月のSIGMA fpを展示していた。SIGMA fpは、Lマウント対応のフルサイズミラーレスカメラ。最小・最軽量でありながら拡張性を備え、静止画と動画の撮影が可能なのを特徴としている。
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fpは、フルサイズでありながら手のひらサイズクラスのコンパクトボディを実現している
■プロフォト
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スタジオライトメーカーのプロフォトもMAX Japanに初出展
プロフォトもAdobe MAX Japanに初出展。プロフォトといえばTTL対応のモノブロックストロボが有名だが、MAX Japanではスマートフォン用スタジオライトの「C1」と「C1 Plus」を一押しで紹介していた。光源はLEDで、定常光と瞬間光と両方に対応。瞬間光に設定すると、スマホのシャッターに合わせて定常光よりも強い光で撮れるようになる。
スマートフォン向けライトのC1やC1 Plusを展示
■キヤノン
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キヤノンブースのメイン展示はオンデマンドプリンターの「imagePRESS」だが、その裏では、CINEMA EOS SYSTEMシリーズやスチルカメラのEOSシリーズを体感できるコーナーが設けられていた
キヤノンもAdobe MAX Japan初出展。スチルカメラやシネマカメラ、プロダクションプリンターを展示して、入出力トータルでクリエイターを支援しますという紹介が行われていた。スチルカメラはEOS RやEOS RP、発表されたばかりのEOS-1D X Mark III、CINEMA EOS SYSTEMのコーナーには、EOS C500 Mark IIやEOS C200を展示。
特に興味深かったのは、RFレンズの展示コーナーだ。大三元と言われているF2.8をシリーズで展示。その中でも、発売したばかりの「RF70-200mm F2.8 L IS USM」を見てみると、これまでの70-200mmに比べてかなり短くなっている。開放F値2通しの大口径ズームレンズ「RF28-70mm F2 L USM」も面白い。RFレンズシリーズは、他社にはない個性的なレンズがラインナップされているようだ。
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EOS RやEOS RPを展示。特に注目はRFレンズの個性的なレンズ。RF70-200mmの全長が短いのにはびっくりだ
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CINEMA EOS SYSTEMには、IBC 2019で発表されたEOS C500 Mark IIやEOS C200を展示
■MAX Store
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Adobe MAX JAP目玉コーナーのMAX Store
アドビグッズを販売する「MAX Store」は今年も健在。最後にMAX Storeの様子を紹介しよう。毎年、あまりにも大人気のため、購入には整理券が必要で、整理券を持っていないと17時30分以降にならなければ購入できないルールで販売が行われていた。
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取り扱い販売アイテム数は昨年よりも増えている
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大人気なのは、起毛クッションAdobe MAX Japan 2019 Ver.。価格は税込2,500円。
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Photoshopクッションはクラウド対応の印である角丸をきちんと再現している
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Photoshopで背景が透明な状態を再現した「Photoshop背景透明ソックス」。きちんと防寒機能もある。価格は税込1,500円
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キャンバスよだれかけ。良い作に垂涎となるのかも。価格は税込1,200円
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