Blackmagic Designの発表によると、Tones and Iのミュージックビデオ「Dance Monkey」が、オーストラリアのVisible Studiosにより、DaVinci Resolve Studioを使用して編集およびグレーディングされたという。

「Dance Monkey」はオーストラリアのシンガーソングライターであるTones and Iの曲で、30ヶ国以上で1位を記録し、オーストラリアでは7度のプラチナ認定を獲得し、22週間連続でNo.1の座に輝いた。YouTubeの再生回数は5億回を超え、最近のARIAミュージック・アワードでは年間最優秀ミュージックビデオなど、多くの賞にノミネートされている。

同ミュージックビデオは、プロデューサーのティム・ホワイティング氏と監督/エディターのニック・コザキス氏が経営するメルボルンのVisible Studiosにより作成された。Visible Studiosは、プロダクション/ポストプロダクションに完全対応したスタジオで、監督、脚本家、デザイナー、モーショングラフィックスアーティスト、エディターなどの専門家チームを擁しており、これまでに多くの映画、テレビCM、ミュージックビデオを作成してきた。

「Dance Monkey」のミュージックビデオ作成にあたり、Visible StudiosはTones and Iと直接アイデアをぶつけ合った。同ビデオは、「Dance Monkey」が華々しく世に出たばかりの頃に作成されたもので、作成期間は1週間弱で予算も少なかったという。

ホワイティング氏:このミュージックビデオの納期は非常に厳しかったですね。当時、Tones and I旋風が巻き起こっていたので、早急にビデオを制作する必要があったんです。1日で撮影し、2日で編集を行い、残りの1日半はグレーディングとVFXに費やしました。DaVinci Resolveがなければ、この速さでこのクオリティの作品はできなかったでしょうね。編集、VFX、グレーディングの機能がシームレスに統合されているので、タイムフレームや、ソフトウェア間のラウンドトリップによって生じる可能性のある問題について心配する必要はありませんでした。

「Dance Monkey」のミュージックビデオで、Tones and Iは老人男性に扮している。友人らが彼をゴルフコースに連れ出し、そこでダンスとパーティが始まる。撮影当日は曇り空で、太陽が隠れていたため、すべてのショットは陰鬱なグレーの背景で撮影された。これを修正するために、空の映像をマットとして取り込み、DaVinci Resolveのマッチムーブツール、キーヤー、レンズブラー、Power Windowを使用して、グレーの背景を明るい太陽のイメージへと変換した。

ポスプロで、陰鬱な空を雲の浮かんだ青空に変更することにしたので、DaVinci Resolveの機能を駆使しました。すべての作業はDaVinci Resolveのカラーページで行い、草や植物をキーイングすることで、より青々とした映像に仕上げました。今回は、1つの特定のツールを使用したのではなく、DaVinci Resolveのカラーページでノードを使って複数のエフェクトを組み合わせました。

同ビデオで使用されているもう1つの機能が、DaVinci Resolveのスピードワープだ。これは、新しく搭載されたDaVinci Neural Engineの一部で、動きの推定をアシストする機能である。

スピードワープの機能を使用して、あるフッテージのスピードを落としました。このフッテージは、ゴルフクラブの動きが非常に早く、背景には人や木や、水平のラインなどが混在しています。こういったフッテージは、これまでのオプティカルフローでは問題の原因となるのですが、スピードワープ機能では難なく扱うことができました。

エディター/監督を務めたコザキス氏とリアム・ケリー氏は、すべての編集作業にDaVinci Resolve Studioを使用した。

コザキス氏:DaVinci Resolveの編集ツールの柔軟性は非常に優れていますが、「Dance Monkey」に関して言うと、パフォーマンスが全てでしたね。6KのRAWフッテージを、高品質のディベイヤーで4Kタイムラインにスムーズに編集できるので、ピクセルを弄り回す必要はありません。フッテージによって編集作業が邪魔されることがないのです。最近、NVIDIAカードの解凍およびディベイヤー処理がのアップデートされ、このパフォーマンスがさらに改善されました。フッテージは迅速にスタビライズでき、複雑なエフェクトもタイムラインでキャッシュできます。

私たちは、ミュージックビデオ、CM、短編映画、企業ビデオなど、すべてのプロジェクトの編集にDaVinci Resolveを使用しています。オーストラリアのMezzanine Filmsがトラベルショー「Photo Number 6」を開催した時に、彼らと協力して、DaVinci Resolveベースのワークフローを開発しました。今は、地元のいくつかのプロダクションハウスも私たちのワークフローを真似していますね。ビジネスにおいてはまさに「時は金なり」です。プロジェクトのソフトウェア間での移動が不要になったことで節約できた時間は、クリエイティブな面に費やすことができます。DaVinci Resolveで編集することで、これが可能になりました。