3月21日までの期間中、アートフォト専門ギャラリー「IMA gallery」にて小池健輔氏とトーマス・ソヴァン氏による展覧会「No More No Less」が開催中だ。入場料は無料。

同展覧会は、個々人で活動するアーティストでありながら、「錬金術師」的なアプローチの共通性を持った日本人若手アーティストの小池氏とフランス人アーティストのソヴァン氏がコラボレーションし、中国の市井の人のポートレイトをベースにソヴァン氏がコンセプト、小池氏が制作をした作品を展示。2018年のパリフォトに合わせて、イタリア、フランス、中国の3つの出版社から、それぞれに異なる編集・造本で刊行され、話題を呼んだ作品だという。今回は、日本での展示のために新たにサイズの大きな新作1点を加えたシリーズ全27点が展示される。

ソヴァン氏は2015年に、1980年代初頭の上海大学の写真学科の名もない学生が制作したアルバムを中国の蚤の市で見つけた。アルバムは、オリジナルのネガ、銀塩プリント、そして匿名の教授によるコメントで構成されていたが、いわゆるごく普通のポートレイト撮影のルールを身につけるために、熱心に勉強したであろうこの生徒の痕跡がうかがえたという。この1冊を小池氏が磨き上げたカッティングの技術によって別の作品として生まれ変わらせた。アルバムに貼られていたオリジナルネガから作られた新しい銀塩プリントを、小池が豊かな想像力を働かせて、解体し、ごくありふれた市販のカッターと粘着テープを使って再構築した。

徹底した手仕事による作業は、「No More No Less」というルールに基づいている。自由でありながら、制約もあるこの文脈の中で、小池氏とソヴァン氏は、元の写真の要素だけでイメージを再構成することの可能性を、実に注意深く探求したという。