ソニーは、同社が取り組む放送・映像制作の最新リモートソリューションについて発表した。
放送・番組制作の現場では、放送局内に限らず自宅などの離れた環境から撮影・収録・編集・配信に至るまでの制作業務を行うケースが増えていおり、こうしたリモート環境での制作ニーズの高まりに応えて、ソニーは独自AI技術等により番組制作の映像編集・管理を効率化する新たなクラウドサービスMedia Analytics Portal(メディアアナリティクスポータル)など、より効率的で高画質な映像制作ソリューションを追求し、映像クリエイターに貢献するとしている。
放送・映像制作の最新リモートソリューションは以下の通り。
(以下、プレスリリースより引用)
■1.AI・クラウドを活用し映像制作ワークフローを効率化する新サービスMedia Analytics Portal
ソニー独自の技術を含む多様なAIエンジンを統合的に活用し、映像編集・管理などの制作ワークフローを効率化する新たなクラウドサービスMedia Analytics Portal(メディアアナリティクスポータル)を、10月から国内外で展開します。本サービスでは、オブジェクトの認識や音声の盛り上がる箇所の認識など、多様なソニーの技術を生かしたAI分析エンジンに加えて、他社製AIエンジンも統合的に活用することが可能です。
例えば、スポーツのスタッツデータ(選手のプレー内容に関する統計データ)とAIエンジンの解析結果を組み合わせて多角的な分析も可能です。これら解析結果をソニーの各種映像制作システムと連携させることで、ハイライトシーンやメタデータの自動生成など映像制作ワークフローの自動化を実現します。
日本国内では、コンテンツ管理システムMedia Backbone NavigatorX(メディアバックボーンナビゲーターエックス)が6月よりクラウドに対応しており、Media Analytic Portalと連携することでさまざまなコンテンツの管理から収録、編集、活用まで、より効率的なワークフローを実現します。
■2.ライブ映像制作におけるIPソリューションの進化
1. AR/VRシステムとカメラ映像を組み合わせる編集フローを効率化 各種リモートカメラのアップデート
リモートカメラ「BRC-X1000」、「BRC-H800」、「BRC-X400」では、ポジション情報(パン・チルト・ズーム・フォーカスなど)をリアルタイムに出力する機能(Free-Dプロトコル)に9月から新たに対応します。 この機能によりカメラの映像をAR/VRシステムと容易に組み合わせて編集可能です。例えば、放送局内の離れた環境で撮影された人物やオブジェクトと、コンピューターグラフィックスで生成した背景などを、シームレスかつリアルタイムで組み合わせるより効率的なソリューションを提供します。2. 中継先から4K IP映像伝送を実現 IPカメラエクステンションアダプター「HDCE-TX30」有償アップデート
※1「HDC-3500」「HDC-3100」「HDC-2500」「HDC-2400」
本機は、既存のシステムカメラ※1と組み合わることで、HD映像・音声信号※2などの双方向伝送に対応し、中継先など放送局から離れた環境での機動的なリモート制作を実現します。さらに、新たに2021年3月リリース予定の有償4Kアップデートソフトウェア「HZCE-UHD30」を追加することで、システムカメラ「HDC-3500」との組み合わせで※3高画質4K映像のIP伝送にも対応します。
※2IP伝送の標準規格である「SMPTE ST 2110」方式。
※3別途、「HDC-3500」用有償ソフトウェア「HZC-PRV50」、「HDCE-TX30」用有償ソフトウェア「HZCE-DIR50」が必要です。■3.放送局のライブ映像制作のリモートワークを支援 スイッチャーアプリケーションのトライアル施策
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受けている映像制作業界の方々への支援施策の一環として、放送局のライブ番組制作に用いるスイッチャー XVSシリーズをリモートで操作・制御できるアプリケーションのトライアル(試用)提案を、国内外のお客様のニーズに合わせ今春より行っています。
これにより、従来、番組制作の中枢を担うスタジオ副調整室内で行っていた番組の収録・放送等に関わるセットアップやスイッチング操作を自宅や遠隔のスタジオなどから行うことが可能です。すでに、欧州、北米の大手放送局やスポーツ番組制作用中継車、韓国のeSports番組制作等でも活用されており、局内のスタッフの人数を減らすなど感染予防等にも役立てられています。
なおソニーでは、映像伝送技術やイメージング技術を生かした最新リモートソリューションをはじめ様々な取り組みを以下の特設サイト(英語)で紹介している。