Blackmagic Designの発表によると、中国のダークコメディ「Billion Coward(英題)」が、Guangzhou Red Cube Film所属のポストプロダクション・アーティストたちにより、DaVinci Resolve Studioで編集およびグレーディングされたという。
同名の演劇をベースにした「Billion Coward」は、大ヒットコメディ「Goodbye Mr. Loser(英題)」のプロデューサーである蒋海波氏がプロデュース。張子棟、于莎莎、黄才倫ら人気コメディアンが出演している。ある意気地なし男がタイで元彼女と遭遇し、複雑な強盗事件に巻き込まれていくというストーリー。同作は、中国の配信ウェブサイトTencent Videoでプレミア公開された。
「Billion Coward」のポストプロダクションを担当したのは、ポストプロダクション・ディレクターであるパン・シーウェン氏が率いるエディター/カラリストチーム。パン氏は、エディター、DIT、テクニカルディレクターとして、「Chasing the Dragon」「Racer Legend」「Choy Lee Fut Kung Fu」「Once Upon a Time in Shanghai」「Xiang Jiu Xiao」「The Dawn of Chinese Soviet Republic」(いずれも英題)などの作品に携わってきた。
パン氏:2006年にエディターとしてPearl River Film Studioに参加して以来、私の編集ツールはフィルムスプライサーから最新のソフトウェアアプリケーションへと進化を遂げてきました。ワークフローの効率性を向上するために、2018年にDaVinci Resolveワークフローへと移行しました。DaVinci Resolve Studioは編集、カラーグレーディング、VFX合成など多目的に使用できるツールであり、一緒に仕事をしていた多くのカラリストたちがDaVinci Resolve Studioを使用していたことが移行の理由です。
「Billion Coward」では、特に効率的なワークフローが必要でした。同作は当初は劇場で公開される予定になっていました。劇場への映画の配送には通常少なくとも半年必要なのですが、このプロジェクトに関しては3ヶ月しかありませんでした。エディターとカラリストの両者がDaVinci Resolve Studioを使用しているため、コンフォーミングの必要がありません。このおかげでサードパーティ製の編集ソフトを使用したワークフローと比べると、大幅に作業時間を削減することができました。
編集タイムラインをカラリストに送信しても、それで編集作業完了ではありません。監督、撮影監督、プロデューサー、事務局から変更の依頼が来ることがあるので、タイムラインがエディターとカラリストの間を行ったり来たりすることになります。
DaVinci Resolve Studioを採用していなければ、ほんの数秒の些細な調整でもアシスタントエディターが編集点を揃えるのに2〜3日かかることでしょう。ましてタイムライン中に多くの変更が散らばっている場合は、膨大な時間のロスになります。DaVinci Resolve Studioのおかげで、コストだけでなく時間も節約できました。
編集が完了すると、プロジェクトファイルはシニアカラリストのイン・ヨンファン氏へと送られた。同氏はファイルをDaVinci Resolve Studioで開き、最終的なタイムラインを確認してすぐに仕上げのグレーディングを開始した。
マスターが劇場上映に関するすべての技術要件を満たすよう、Pearl River Film Production Centerの200平方メートルのカラーグレーディングシアターにあるDaVinci Resolveシステムが最終的なグレーディングに使用された。しかしコロナ禍により、クライアントはプレミア公開を劇場からオンライン配信へと変更。このため、オンライン配信用のREC.709マスターを作成する必要が生じた。
DaVinci Resolve Studioで、DeckLink 4K Extremeを使用してDCI-P3タイムラインをREC.709モニターに出力しました。これにより、調整が必要なショットを簡単に見つけることができました。その後、LUTでこれらのショットのカラースペースを変換したので、REC.709バージョンを迅速に作成することができました。