メディアコンテンツの管理プラットフォーム「Ci Media Cloud Services」

ソニーは、世界中のクリエイターが撮影・作成したコンテンツを編集・メタデータ付与・配信等の後段のワークフローに円滑に繋げられるクラウドサービスの開発を決断し、映像制作に欠かせないコラボレーションやメディア管理・運用を実現する統合プラットフォーム「Ci Media Cloud Services」を国内向けに提供開始した。

同サービスは映像クリエイターやメディア企業がいつでも、どこからでも制限なく一緒に作業できるツールを提供するために構築された、いわば、チームが安心して利用できるコンテンツのハブとなるもの。

同サービスを使うことで、素材を素早くアップロード・共有でき、物理的に離れているチーム間でもリアルタイムで共同作業可能。また、トランスコード・文字起こし・AIを利用したメタデータ付与等の処理機能の自動化が可能。新型コロナウイルス感染拡大の影響で進むリモートワークに伴い、ユーザーの新しいニーズに適応できるよう、同サービスに新機能を追加し進化させていくという。

同サービスの主な特長は3つ。1つ目は、統合プラットフォームをSaaSとして提供していること。従来のオンプレミス、もしくは、IaaSで構築されるコンテンツ管理システムに対して、クラウド上でSaaSとして構築されているため、契約後、すぐに必要な機能を利用できるというメリットがある。また、常に最新の環境へアップデートされるため、より安全に大切なメディアデータの受け渡しを行うことが可能だ。

※Software as a Service:利用者側でソフトウエアをインストールする必要がなく、インターネット上で必要な機能をすぐに利用できるのが特長

2つ目は制作から公開、アーカイブまでのシームレスなコンテンツ管理を実現できること。具体的には、以下のような各種機能で実現するという。

  • Ciワークスペース:クラウド上に設けられた仮想の作業スペース。ワークスペースごとに素材の収集・管理・共有などが行えるため、制作チームや部署など、適切なアクセス権で安全に素材の共有が可能
  • Ciメディアボックス:制作過程の素材や完パケをさまざまな条件で外部へ公開できるツール。放送局とプロダクション間のような、外部との素材共有にも活用できる
  • アーカイブ機能:容量単価が安価なクラウドストレージへのアーカイブ/リストアが可能で、メディアライフサイクル全体をサポートするシームレスな素材管理を実現
  • Ciカタログ:放送局、プロダクション、メディア配信会社などのメディアエンタープライズ向け機能。きめ細かなアクセス権の制御機能や、同一素材におけるストレージ内での重複が発生せず、異なるワークスペースやカタログへ迅速にコピーが可能

3つ目は、制作過程で活用できるさまざまなコラボレーションツールの搭載。例えば「Ciビデオレビュー」機能では、複数の制作者が同じセッションへ同時に参加し、再生位置を同期させてのプレビューや、フリーハンドで画面への書き込みをコミュニケーションしながらできる機能を搭載している。また、スポーツの得点シーンといった繰り返し発生するイベントに対して、効率的にメタデータ入力を行うための「Ciメディアログ」機能、自動生成されるプロキシを使用して、ストーリボードでの粗編が可能な「Ciラフカット」機能など、映像制作をサポートする様々な機能を搭載している。

同サービスではユーザエクスペリエンス(UX)の最適化にこだわっており、職種やITに関する知識など、バックグラウンドの異なるさまざまなユーザーが誰でも容易に使用できるユーザーインタフェースを兼ね備えた、プロユーザーの期待に応える強力なツールとなることを目指しているという。その結果、現在ではプロデューサー、ジャーナリスト、映像編集、マーケティング、IT・技術など、幅広いユーザーが利用している。

また、第三者との協業も多く、撮影機器や形式も様々というユーザーのニーズに応えるべく、さまざまなメディア形式・フォーマットのサポートにも注力している。

現在のデジタル社会では、スピード・効率性・セキュリティの両立が不可欠とし、同サービスは安全に共同作業を支援するための費用対効果の高いワークスペースとして、世界的なメディア企業で活用されているという。

ファイルの高速転送(Aspera)、ビデオのレビュー・承認、コンテンツ管理、トランスコード、アーカイブ機能が備わっており、最大で5つのスタンドアロンのシステムを1つのプラットフォームへ置き換えることが可能。別々のシステムを一本化することで、ユーザーのコストや時間が削減できるほか、業務のニーズに合わせて柔軟に拡張でき、構築・導入のダウンタイムも発生せず、すぐに利用可能な点も同サービスの強みだろう。

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