Blackmagic Designの発表によると、2021 HPA Tech Retreatのスーパーセッション用に作成された、全5セグメント構成のマルチフィルムプロジェクト「The Found Lederhosen」の数セグメントにおいて、DaVinci Resolve StudioとURSA Mini Pro 12Kが使用されたという。短編映画「La Inquilina」の編集には、Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)およびAmazon Simple Storage Service(Amazon S3)で起動したDaVinci Resolve Studioが使用された。

スーパーセッションは、世界中の様々な制作で用いられているワークフローとテクノロジーを探る、2日間のインタラクティブなイベント。「The Found Lederhosen」は、同イベント1日目の鍵となる役割を担う。「The Found Lederhosen」で映画制作者のヨアキム・JZ・ゼル氏が焦点を当てるのは、新型コロナウイルスによる世界的な隔離措置の中で実際に使用されたツールやテクノロジー、ワークフロー、そして今回の短編映画をリモート作業で完成させたアーティストたちだ。

今回のイベントに向けて、ロンドン、ドバイ、モンゴル、メキシコシティー、ブリスベン、ハリウッドの映画制作者たちは、リモートコラボレーションおよび急速に発展するテクノロジーを実証するために、ボランティアで短編映画を作成した。スーパーセッションでは、ゼル氏が、各制作者がどのようにして安全な環境を維持したまま、リモート接続によるコラボレーションが可能なクラウドベースのクリエイティブなワークフローを構築したかを説明する。

ゼル氏:「The Found Lederhosen」は、7つの作品、6つの都市、5つのオーディオミックス、4つのカラースペース 、3つのクラウドストレージサービス、2つのトランスミッターで構成されています。これは甚大な努力の結果であり、新しいリモートワークフローにおいて何が実現できるのかを明確に示しています。

これらの作品で用いられたバーチャルポストワークフローは、制作よりもさらにグローバルなものです。世界中のポストアーティストたちが、まるで隣の部屋にいるかのようにコラボレーションしました。それを可能にした大きな要因のひとつが、DaVinci Resolveです。

「La Inquilina」の撮影監督兼プロデューサー、サンドラ・デ・シルバ・デ・ラ・トーレ氏と彼女のチームは、DaVinci Resolve Studioを使用して、デイリー、編集、オーディオ編集、カラーコレクション、書き出しなど、ポストプロダクションの様々な作業を行なった。同チームは、DaVinci Resolve StudioをAmazon EC2 G4インスタンスおよびAmazon FSxで起動してファイルを共有し、編集を行なった。これにより、コロンビアを拠点とするエディター兼カラリスト、ディエゴ・ イアーマ氏と、メキシコシティーにいるデ・ラ・トーレ撮影監督のシームレスなコラボレーションが実現した。

デ・ラ・トーレ氏:AWSで起動したDaVinci Resolve Studioのコラボレーションツールによるバーチャル接続は、「La Inquilina」のポストプロダクションにおいて極めてパワフルなワークフローでした。

現在のパンデミックがある中で、HPAのプロジェクトに参加し、世界中の制作者たちとリモートコラボレーションすることは、私にとって非常に魅力的な機会でした。世界中の様々な場所に多くの仲間たちがいて、同じ目的で物語を作っていると知ったときは、素晴らしい気持ちになりました。私たちは、現在の状況をサポートするだけでなく、世界中の映画制作者たちにとって新しいレベルの繋がりをもたらす新しいワークフローを試し、理解するという目的を共有していました。

DaVinci Resolve Studioは、「The Found Lederhosen」用にロンドンとモンゴルで制作された映画「KINTSUGI」でも使用された。受賞歴のある映画制作者・女優のバヤロチェチェゴ・ アルタンゲレル氏がプロデューサーを務め、リトアニアを拠点とするアレクサンドラス・ブロカス氏が編集した同作品は、ロンドンでアートを学ぶ3人の留学生がレベル4のロックダウンを経験する物語だ。DaVinci Resolve Studioは編集、カラーコレクション、オーディオミキシングに使用され、ロンドンの監督・プロデューサーとリトアニアのブロカス氏はDaVinci Resolveのコラボレーション機能でつながった。

アルタンゲレル氏:DaVinci Resolveのコラボレーション機能のおかげで、編集を繰り返し調整する作業なども簡単に行えました。今回のポストプロダクションにのぞむ上で心配していた問題は一切起こりませんでした。当初、編集は他のNLEで始めたのですが、アレックスに説得され、すべてDaVinci Resolveで行うことに決めました。その結果、作業が効率化され、クリエイティブなビジョンも満たすことができました。

DaVinci Resolveを使用してロンドンでデイリーを編集し、ファイルをアレックスに送りました。コンフォーム作業は必要ありませんでした。Dolby Vision用のグレーディングと準備作業はロンドンで、サウンドミキシングはDaVinci Resolveを使用して台湾で行われました。本当にグローバルなチームです。

ドバイの作品「Neo-Bedouin」は、撮影監督のマーク・パスクイ氏と監督のアビア・アブダラ氏が、今回のパンデミックにインスピレーションを受け、URSA Mini Pro 12Kで撮影したSFファンタジー作品だ。

アブダラ氏:URSA Mini Pro 12Kの解像度は、撮影現場でクリエイティブな決断を行う上で必要な自信を与えてくれました。特にVFXを含まれるショットですね。Blackmagic Designのカラーサイエンスであれば、ドバイの砂漠での撮影など、低照明条件やその他の難しい状況でも、理想的なルックが得られることが分かっていました。

ゼル氏:「The Found Lederhosen」のミッションは、あらゆるプロジェクトがあらゆる場所で制作可能であり、それが最先端のワークフローによって実現されることを示すことでした。今回のプロジェクトにおいて、多くの映画制作者たちがDaVinci Resolveを使用したのは自然なことだと思います。世界で最も使用されているポストツールだからです。

DaVinci Resolve Studioを共通プラットフォームとして使用し、世界に広がる才能を集結することは、「The Found Lederhosen」を制作する上での鍵であった。また、DaVinci Resolve Studioが幅広いフォーマットおよび仕様に対応していることも重要だった。これは、各制作者がそれぞれ異なるカメラシステムで撮影しているにも関わらず、すべてをACESおよびDolby Visionでフィニッシングする必要があったためだ。

ゼル氏:今回の作品では、制作者およびポストアーティストたちがいつでも情報を交換し、協力して作業できる環境を作ることが必要でした。DaVinci Resolveは全アーティストの手元にあり、最大規模のグループ作業が行われました。信頼できる素晴らしいプラットフォームでした。

とりわけ「La Inquilina」で使用された、AWSでResolveを起動するワークフローは、新しいパワフルなリモートワークフローの素晴らしい実例だと思います。ロサンゼルス、メキシコ 、コロンビアの映画制作者たちとポストアーティストたちは、高品質の作品を制作する上での柔軟性、順応性、拡張性を得ることができました。AWSとResolveの併用によって実現した自由な共同作業は、本当に素晴らしいと思います。