Blackmagic Designの発表によると、ロックバンドFoo Fightersのデヴィッド・グロール氏による新作ドキュメンタリー「What Drives Us(原題)」が、複数のBlackmagic Designカメラで撮影されたという。リンゴ・スター、スティーヴン・タイラー、ベン・ハーパー、ジ・エッジ、スラッシュなどロック界の大御所へのインタビューに、URSA Mini Pro 4.6K G2およびBlackmagic Pocket Cinema Camera 4Kが使用された。また、このドキュメンタリーの編集およびカラーグレーディングには、DaVinci Resolve Studioが使用されている。
「What Drives Us」は、道が続いている限りどこにでも赴き、誰かの為に音楽を演奏するという、バンドやアーティストたちの献身を描いている。同ドキュメンタリーは、多くの世界的なミュージシャンにインタビューを敢行。そして"手に入る車でロードトリップに出る"という、ロックバンドの通過儀礼にフォーカスしている。グロール氏は、同作を撮影するにあたり、ジェシカ・ヤング氏を撮影監督として起用した。
ヤング氏は、何時間ものインタビュー映像を内包するドキュメンタリーの撮影と向き合うこととなった。スケジュールが厳しく、またグロール氏やインタビューを受ける人の所在地の都合もあり、ヤング氏はデイリーの撮影をシネマトグラファーのトッド・ベル氏と共有することにした。
ヤング氏は2台のURSA Mini Pro 4.6K G2をメインのインタビューカメラとして使用した。他のスタッフはBlackmagic Pocket Cinema Camera 4Kを使用したが、操作を簡単に習得できたため、すぐに撮影に参加してとっさのシーンをキャプチャーすることができたという。ヤング氏は、同氏とグロール氏がこのドキュメンタリーに対して持っていたビジョンを説明する。
ヤング氏:「What Drives Us」はインタビュー映像とアーカイブ映像が組み合わさっています。最初は"パンク"なアプローチ、つまり、普通過ぎて失敗するよりはルールを作らず自由にやろうと思っていました。主題は、ミュージシャンたちがライトバンにぎゅうぎゅうに乗り込んで、何があってもツアーを敢行することです。夢を追っている間は、粗末な食事、不十分な睡眠、上手くいかないギグ、危険な道路状況などを乗り越えていくという多様なストーリーです。
照明は自然なまま残し、フレームからはみ出す画面いっぱいのクローズアップを用いたりしました。ワイドアングルのフレームの端にフォアグラウンドのエレメントが乗っていることがよくあります。クローズアップのフレームは居心地の悪さを感じるほど近づいており、バンドメンバーたちとワゴンに詰め込まれているような雰囲気にしています。
インタビューはそれぞれ異なる場所で行われたため、ヤング氏と撮影チームは事前にロケハンを行うことができなかった。インタビュー当日に様々なことが決められたので、シンプルにする必要があった。
私もトッドも過去にBlackmagic Designのカメラを使用したことがあり、優れたイメージを得られることを知っていました。Blackmagic Designのカメラは高ダイナミックレンジに対応しており使い勝手も良いため、このような撮影で起こりうる問題にも対処でき、驚くほどクリエイティブに撮影を行うことができます。
そして他の撮影スタッフはBlackmagic Pocket Cinema Camera 4Kを使用したので、多くの優れたショットを撮ることができました。カメラのオペレーションは少人数で行い、一人のアシスタントを共有します。アシスタントはインタビューの撮影中にBlackmagic Pocket Cinema Camera 4Kを回し、デヴィッドの質問や笑いの発生に協力することもよくあります。
このように即興での対応が求められることや、グロール氏のインタビューが中断しないようにする必要があることも、ヤング氏がBlackmagic Designのカメラを使用した理由である。
私はこれまでBlackmagic Designのカメラを愛用してきました。Blackmagic Designのカメラはとても信頼性が高いと思います。正確に数えたわけではありませんが、100人以上のデヴィッドのインタビューに同席したので、彼の好むインタビューの進め方や会話の仕方を理解しました。
場合によってはカットしたり撮り直すこともありましたが、このプロジェクトではほとんどの場面をロングテイクで撮影しているので、ファイル破損の心配が付き物でした。特にテイク2を撮らなかった場合や、スターとの撮影で再撮影のチャンスがおそらくない場合などですね。このため、Blackmagic Designのカメラの信頼性は非常に重要でした。
ヤング氏は、URSA Mini Pro 4.6K G2にZeissのSuper Speedプライムレンズを装着し、Blackmagic Pocket Cinema Camera 4Kは、12-35mmと35-100mmのMFTズームレンズを切り替えて使用した。コーデックはBlackmagic RAWを8:1の圧縮率で使用。
Blackmagic RAWは優れたフラットベースです。このラティチュードやレンジはまさに私たちが必要としていたものです。複数のカメラのイメージを簡単にマッチできるだけでなく、作品中に使用したアーカイブフッテージのルックに、カラーグレードを寄せることができました。Blackmagic RAWは、ストーリーをシームレスに展開させるために非常に役立ちました。
インタビューの撮影では、バックグラウンドに邪魔が入らないように人物の頭部と体を撮影できるアングルは限られています。インタビュー映像では、視聴者が話し手の後ろにあるランプに気を取られたりせずに、話の内容に集中できるようにしたいのです。Blackmagic Designのカメラで撮影したため、ポスプロの段階でリフレームが可能だったので、2つ目のアングルを必要に応じてクリーンにしました。
複数のカメラを使用するプロジェクトでコストを抑えたい場合には、Blackmagic Designのカメラは最高の選択肢だと思います。この作品は、DaVinci Resolveでフィニッシングを行ったので、フッテージをポストワークフローに組み込む際に、問題は一切ありませんでした。