DaVinci Resolve事例:カンヌ映画祭グランプリ受賞作品の場合

Blackmagic Designによると、今年のカンヌ映画祭に出品されたCompartment No. 6(フィンランド語原題:Hytti nro 6)がDaVinci Resolveでグレーディングされたことを発表した。

アスガル・ファルハーディー氏の「A Hero」と共にグランプリの栄冠を得た同作は、ロサ・リクソム氏の2011年の小説を原作としており、ユホ・クオスマネン氏が監督、ヤニ=ペッテリ・パッシ氏が撮影監督を務めた。

コダック500Tカラーネガフィルムで撮影された同作は、フィンランド人の若い女性がモスクワから列車に乗って、北極圏の考古学的な遺跡を訪ねる姿を追った物語。見知らぬロシア人男性と相部屋になり、最初は迷惑に感じていた女性だったが、この偶然の出会いは徐々に二人の距離を近づけていくことになる。

同作のカラリストであるサンドラ・クラス氏は次のようにコメントしている。

グレーディングを開始する前に、ルックに関して監督と撮影監督と入念な打ち合わせを行いました。様々なカラーが混在するソースの初期段階のスキャンは、彩度が極度に高いルックだったのでとても気に入りました。本作は90年代を時代設定としているので、フィルムが使用されていた当時の映画の深みのあるルックを目指していました。

夜間の列車内で撮影したためシャドウが少し露出不足となり、表情が見えにくくなってしまったので、顔にウィンドウを配置してトラッキングし、明るくしました。しかし、この作業によって、既存のフィルムグレインの上にデジタルノイズが生じてしまいました。

これには、選択的にノイズ除去を適用し、他の部分に対して自然に見えるようにグレインの一部を残しながら、露出を上げた部分を目立たないようにしました。

DaVinci Resolveの彩度、色相、輝度のコントロールを大変気に入っています。シンプルなツールで、繊細な変更が適用できます。本作では、これらのコントロールを使用して、不自然なルックにならないように、照明や光が強すぎる部分を調整しました

DaVinci Resolveでカラーグレーディングされたカンヌ映画祭出品作品は以下の通り。

(以下、プレスリリースより引用)

コンペティション部門

  • 「Benedetta」 – サージ・アンソニー(Serge Anthony) / M141
  • 「Bergman Island」 – ピーター・バーナーズ(Peter Bernaers) / The Post RepublicおよびStudio L’Equipe
  • 「Everything Went Fine」 – リシャード・ドゥーシー(Richard Deusy) / M141
  • 「Flag Day」 – ステファン・ソネンフェルド(Stefan Sonnenfeld) / Company 3
  • 「Hytti nro 6」 – サンドラ・クラス(Sandra Klass)
  • 「Red Rocket」 – アラスター・アーノルド(Alastor Arnold) / Fotokem
  • 「The Divide」 – クリストフ・ブスケ(Christophe Bousquet) / M141
  • 「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊」 – ギャレス・スペンスリー(Gareth Spensley) / Molinare
  • 「The Restless」 – フィーリ・ジールマーカーズ(Veerle Zeelmaekers) / Studio L’Equipe

ある視点部門

  • 「ブルー・バイユー」 – トム・プール(Tom Poole) / Company 3
  • 「Gaey Wa’r」 – ジュンクン・シェン(Junkun Sheng) / Cutting Edge Pictures
  • 「Good Mother」 – エリー・アコカ(Elie Akoka) / M141、ある視点部門のEnsemble Prizeを受賞
  • 「Lamb」 – エガート・バルドビンソン(Eggert Baldvinsson) / TrickShot、ある視点部門のPrize of Originalityを受賞
  • 「ONODA 一万夜を越えて」 – ガディエル・ベンデラック(Gadiel Bendelac) / Micro Climat Studios
  • 「The Innocents」 – エミル・エリクソン(Emil Eriksson) / Zentropa

批評家週間

  • 「Anaïs in Love」 – サージ・アンソニー(Serge Anthony) / M141
  • 「Olga」 – シャール・フレビル(Charles Fréville) / Micro Climat Studios
  • 「Softie」 – ヨブ・ムーア(Yov Moor) / Micro Climat Studios
  • 「Une jeune fille qui va bien」 – リシャード・ドゥーシー(Richard Deusy) / M141
  • 「Zero Fucks Given」 – ループ・ブレンタ(Brenta) / Cobalt Films

特別招待作品

  • 「Bigger than us」 – リシャード・ドゥーシー / Lumières NumériquesおよびPoly-Son
  • 「Mi Iubita Mon Amour」 – ビンサン・アモ(Vincent Amor) / Poly-Son
  • 「The Crusade」 – リシャード・ドゥーシー(Richard Deusy) / Poly-Son

短編

  • 「Lili Alone」 – ヨブ・ムーア(Yov Moor) / Poly-Son
  • 「Soldat Noir」 – シャール・フレビル(Charles Fréville) / Poly-Son

コンペティション外

  • 「Bloody Oranges」 – ガディエル・ベンデラック(Gadiel Bendelac) / Micro Climat Studios
  • 「スティルウォーター」 – トム・プール(Tom Poole) / Company 3

ミッドナイト・スクリーニング

  • 「Suprêmes」 – マチュー・カプラン(Mathieu Caplanne) / Poly-Son
  • 「Tralala」 – ヨブ・ムーア(Yov Moor) / M141

カンヌ・プルミエール

  • 「Hold me tight」 – リシャード・ドゥーシー / Poly-Son
  • シネマ・デ・ラ・プラージュ
  • 「Tom Medina」 – ヨブ・ムーア(Yov Moor) / Poly-Son

監督週間

  • 「A Brighter Tomorrow」 – クリストフ・ブスケ(Christophe Bousquet) / Poly-Son
  • 「Between the Waves」 – ローラン・リポル(Laurent Ripoll) / Poly-Son
  • 「Clara Sola」 – ピーター・バーナーズ(Peter Bernaers) / Studio L’Equipe
  • 「Our Men」 – ピーター・バーナーズ(Peter Bernaers) / Cobalt Films
  • 「Returning to Reims」 – アミン・ベラダ(Amine Berrada) / Micro Climat Studios
  • 「The Sea Ahead」 – ピーター・バーナーズ(Peter Bernaers) / Cobalt Films

ACID

  • 「Down with the King」 – アレックス・バーマン(Alex Berman) / Goldcrest Post NY
  • 「Soy libre」 – ループ・ブレンタ(Brenta) / Cobalt Films