EOS R5譲りの静止画性能を持ったハイブリッドな8Kデジタルシネマカメラ登場
キヤノンは、約4500万画素の静止画性を有したハイブリッド8Kデジタルシネマカメラ「EOS R5 C」を3月上旬発売する。希望小売価格はオープン、市場想定売価は税込65万円前後。
EOS R5 Cは、赤いCマークのバッジを冠したCINEMA EOSシリーズのシネマカメラ。コンセプトは、高速、高画質な約4500万画素静止画性能を有したフォト&ビデオで、EOS R5譲りの静止画性能を持ったハイブリッドな8Kデジタルシネマカメラとしている。
ターゲットは、静止画性能と動画性能の両方に高性能を求めるユーザーとしている。近年は静止画市場と動画市場の境目が曖昧になり、写真家やフォトグラファーと名乗る制作者もスチルだけではなく、動画を撮ることが多くなってきている。逆に、YouTubeやWebの広告などをメインしている映像制作者の方も、同じ現場を同じ案件でスチールを撮らなければならない状況が増えてきている。このような動画と静止画両方に高性能を求めるユーザーに最適な機種としている。
また、小型で軽量なシネマカメラを求めているユーザーもターゲットとしており、8Kのコンテンツ制作という用途やEOS C500 Mark IIやEOS C300 Mark IIIというハイエンドなシネマ機とのBカメラ、サブカメラとしても活用できるとしている。
RFレンズ、約4500万画素35mmフルサイズセンサー、DIGIC Xの三要素を一体化
EOS R5 Cは、EOS R5と共通のデバイスコンポーネントを採用している。大口径のRFマウント、センサーは36mm×24mmの3:2の静止画をベースにした35ミリフルサイズ、映像エンジンは「DIGIC X」を搭載し、R5が持つ静止画の高速、高画質な性能とシネマカメラとしての動画性能、最大8K60Pの動画記録に対応を1台のボディーで両立する仕様となっている。
EOS R5 Cのもっとも大きな特徴的はスイッチレバーで、PHOTOモードとVIDEOモードの2つのモードを切り替えられる仕様を搭載している。EOS R5 Cは、カメラボディーは1台だがまったく異なるカメラシステムが共存し、このスイッチの切り替えでシネマカメラやR5と同等の静止画撮影を切り替えを可能としている。
EOS R5 Cはシステムごと入れ替わる仕様を採用しており、電源をオフを経由してVIDEOモードとPHOTOモードが切り替わる。2種類のモードは切り替えるごとに再起動をする仕組みで、中身のメニューやインターフェースのシステムの切り替え実現を特徴としている。動画の時で約1秒、静止画の時で0.4秒の時間を必要とするが、映像と静止画それぞれに最適化したシステムでクリエイティブと向き合える仕組みを実現している。
静止画性能では、EOS R5譲りの4500万画素を有しており、電子シャッター時で秒間20コマの高速連射が可能。オートフォーカス性能は、デュアルピクセルCMOS AFを採用。撮影画面内の広いエリアで、高機能、高精度なフォーカスを実現する。
動画撮影時は放熱ファン内蔵で、8K RAWの内部記録でも0°から40°の環境下でノンストップの記録が可能。メニュー自体がCINEMA EOSと同じで、シネマの制作に最適化されたインターフェースやメニューを採用している。
レコーディングシステムはCFexpressカードとSDカードの2スロットを搭載し、さまざまな異種同時記録など含めた映像制作に最適な記録モードを多数搭載している。
動画の性能に関しては、MP4で8K30Pに対応。4K120PはMP4もしくはXF-AVCでいずれも4:2:2 10ビットの記録が可能。センサー自体は8Kフルサイズセンサーだが、「8Kフルサイズ」「5.9K Super35mmクロップ」「2.9K Super16mmクロップ」のセンサーモードを搭載している。
さらに、それぞれのセンサーモードでビットレートを効率化した新Cinema RAW Lightに対応。高画質な「HQ」、通常画質の「ST」、軽量記録の「LP」という3種類のモードを選択可能で、いずれの3種類においても12bit RAW記録に対応。8K60Pに関してはLTのみで、これによって8K60Pでも転送ビットレートを2.6Gbpsまで抑えることを実現し、内部記録を実現しているという。
また、8Kのオーバーサンプリングによる4Kもしくは2Kの記録に対応。8K記録はビットレート自体のハードルも高いうえに記録メディアの効率も大容量が必要になってくる。そこでより効率的な収録ストレージへの圧迫を最小限に抑える形で、8Kを活かした4Kや2K記録ができるのも本カメラの特徴になっている。
フレームレートに関しては、EOS R5のハイフレームレート動画とは異なる仕様を備える。本機はCINEMA EOSで、スロー&ファーストという記録モードを搭載。撮影フレームレートを指定する形で、記録フレームレートと撮影フレームレートを別々に設定が可能。撮影フレームレートを高くすることでスローモーションの効果が得られ、記録フレームレートより下げることでアンダークランクの撮影になる。
ベースISOを使い分けることでノイズを抑えた撮影が可能
新機能として3つのベースISOモードを搭載して、さらなる高感度対応を実現している。一部のカメラに採用されているデュアルベースISOやデュアルネイティブISOと呼ばれている機能と同様の機能を搭載し、Canon Log 3またはRAW撮影時に低感度を希望したい場合はベースISOを800、高感度を希望したい場合は3200を設定して撮影することが可能。
またこのベース感度を自動で切り替えて内部的に切り替えてくれる「自動切り替えモード」を搭載。マニュアル切り替えと合わせて合計3種類のモードを搭載する。
CINEMA EOSとして初めて瞳検出や頭部検知に対応
オートフォーカスは、CINEMA EOSとして初めて瞳検出や頭部検知に対応。人物以外の動物や乗り物の被写体検知のオートフォーカスは静止画モードの時のみの機能になる。
EOS R5は、EOS初のボディー内5軸手ブレ補正機構が代名詞的な機能であったが、EOS R5 Cでは非搭載となる。その代わりに、動画モードの時は電子ISに対応。10%の画角クロップさせて、電子的に制御するデジタル的なスタビライズを搭載している。
また、カスタムピクチャーの設定でHDR PQやHLGにも対応する。Canon LogはCanon Log 3までのみの対応で、Canon Log 2には非対応となる。
フレームレートの高い撮影は外部電源供給を推奨
背面には、ファンを搭載。正面から見るとR5そのもののデザインだが、側面から見ると排熱構造が付いているのがわかる。これによって40°環境下であっても、ノンストップで記録を可能としている。
本体にはタリーを正面に搭載。レックをオンにすればタリーランプが赤く点灯し、記録している状況を確認できる。タリーはオフに設定が可能で、光らせたくない現場では切ることも可能としている。
8K60Pの撮影や5.9K RAWの60Pなど、フレームレートの高い撮影に関しては、外部電源供給を推奨している。キヤノンが提案する外部電源は2種類で、一つはキヤノン純正のUSB電源アダプター「PD-E1」を使用して給電する方法。もう1つはEOS R5 C用の新しいカプラー「DR6C」を使う方法がある。
現在のところキヤノンが動作保証する給電スタイルは、コンセント給電のみとなる。ユーザーの責任範囲内となるが、市販のUSB PDに対応するモバイルバッテリーを使った方法やカプラー給電部にVマウントバッテリーより電源供給する方法も考えられそうだ。