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アドビはAdobe Summit 2022において、企業のメタバース分野での成功を支援する一連のイノベーションや製品統合機能を発表した。

アドビは、現在提供している没入型の3D体験、Eコマースプラットフォーム、デジタル体験を構築する機能を基に、リアルで魅力的なバーチャル顧客体験を設計、作成し、何百万人ものユーザーに提供するイノベーションを発表した。

Adobe Creative CloudとAdobe Experience Cloudの新しい統合により、アドビの3Dコンテンツ作成ツールと顧客体験のパーソナライゼーションソリューションが、幅広い業種の企業に提供されるようになるという。

また、企業向けのプレイブックを発表し、近日リリース予定の「Substance 3D Modeler」や拡張現実(AR)ショッピングツールのプレビューを公開。さらに、メタバース対応の主な要素を含む数々のテクノロジーの進化とデジタル体験の提供に関して、The Coca-Cola Company、Epic Games、NASCAR、NVIDIAなどといった企業とのコラボレーションを発表した。

3Dを含む没入型コンテンツ制作

ゲームやインタラクティブなEコマース、教育体験など、今日の没入型体験の大部分は、アドビの業界をリードする3Dおよび没入型コンテンツ作成ツールであるAdobe Substance 3D CollectionとAdobe Aeroを使用して構築されている。

先進的な企業では、Adobe Substance 3D Stagerなどのツールを使ったバーチャル撮影をはじめとする3Dデザインワークフローを活用し、より高品質に、より速く、より効率的に製品デザインとマーケティングコンテンツを制作している。

バーチャルEコマース体験

現在、アドビは何千もの企業と連携して、デジタルストアフロントやその他のEコマース体験を強化しているという。アドビの専門性とクロスクラウド統合により、ユーザーはバーチャルな世界でバーチャルな商品と物理的な商品の両方を購入し、没入感のある体験を享受できるようになるという。

仮想空間におけるアイデンティティや所有物のポータビリティ

現在、アドビは、顧客がどこにいてどのチャネルを利用していても、一貫性がありパーソナライズされたデジタル体験が提供できるように企業を支援している。アドビは、この知見をさらに進化させ、メタバースなどの没入型体験のユーザーが、オンライン上に独自のペルソナや所有物をデザインし、バーチャル世界のどこにいてもカスタマイズされた資産を使用できるようにするとしている。

Adobe Creative Cloud担当CPO(最高製品責任者)兼エグゼクティブバイスプレジデントのスコット・ベルスキー氏は、次のようにコメントしている。

ベルスキー氏:メタバースをはじめとする没入型体験は、機能が豊富で、パーソナライズされ、魅力的で、インタラクティブなコンテンツがなければ成功しません。メタバースを先導するために、企業は今すぐ3Dや没入型コンテンツの作成を始めるべきです。将来への準備というだけでなく、現時点でも製品設計や、マーケティングおよびEコマースアセットの制作をよりよく、より早く、より安価に行えるというメリットがあるからです。

メタバースは、仮想世界を通じて人々の交流を可能にする没入体験で構成されている。そこでは、仕事、ゲーム、Eコマースだけでなく、ロボティクス、自動運転車の訓練、気候変動の研究などが共有され、新たなイノベーションの波を後押しすると予想されている。

アドビは、クリエイティブ3Dおよび没入型コンテンツ制作ツールとAdobe Experience Cloudの統合を進めている。最初にAdobe Commerce、Adobe Experience Manager、Adobe Analytics、Adobe Targetの統合を予定しているという。

またCreative Cloudアプリケーションのポートフォリオ全体にわたり、コンテンツ制作やエフェクトの適用などにおいて3D機能の統合を強化する。

アドビのデジタルエクスペリエンス事業部門担当プレジデントのアニール・チャクラヴァーシー氏は、次のようにコメントしている。

チャクラヴァーシー氏:Webの進化に伴い、Eコマース、マルチユーザー機能、バーチャル世界上でカスタマイズされた自分のアイデンティティや所持品を所有・移転する機能など、データ主導の没入型体験に対する需要がこれまで以上に高まります。Adobe Experience Cloudは、このようなパーソナライズされた没入型体験を構築する企業の取り組みにとって不可欠なものとなるでしょう。

メタバースのプレイブック

アドビは、Adobe Summitにおいて、マーケティングプロダクションやプロダクトデザインを効率化し、代理店や企業が3Dや没入型環境におけるデザインの新しい要求に適応できるよう支援するメタバースのプレイブックを発表した。このプレイブックでは、企業のメタバース対応を加速化する、パートナー提携を通じた中核的エコシステムの確立なども提案している。

没入型イノベーションのプレビュー

アドビは2022年中にSubstance 3D Collection(現在はSubstance 3D Stager、Painter、Sampler、Designer、3D Asset Libraryが含まれている)の3D機能を拡張し、新しい「Substance 3D Modeler」を追加することで、3Dビジュアルとエクスペリエンス制作を支える唯一のエンドツーエンドソリューションとして刷新する。

アドビの3Dツールは、Fortnite、Roblox、Halo、Flight Simulatorなどのトップクラスの没入型ゲームの開発に使われているまたDune、The Mandalorian、Blade Runner 2049などの優れた映像作品にも使用されている。

アドビは、直近でリリースとなったAdobe IllustratorやAdobe After Effectsの統合に基づいて、Creative Cloudアプリケーションにおける3Dコンテンツ、エフェクト、機能の統合を継続する予定。また、アドビはAR体験をオーサリングする業界最先端のツールであるAdobe Aeroも提供している。

Adobe Summitの「Sneaks」では、開発中の最先端の没入型ツールを公開している。その一環としてメタバースやその他の仮想デジタル体験とEコマース体験を接続してビジネスを支援するツールも紹介。具体的には、マーケターがwebサイト上のデジタル画像にARマーカーを埋め込むことのできるARショッピング機能をプレビューする予定だという。