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AJA Video Systems社は、4K/UltraHDおよびマルチチャンネルHDを処理可能なフレームシンクロナイザー&アップ/ダウン/クロスコンバーター「FS4」の新しいファームウェアv3.0を発表した。同社Webページより無料でダウンロード可能。

同ファームウェアは、高度なHDRワークフローへのサポート、フレームバッファ深度の拡大(6から20フレームへ)、アンシラリーデータ管理の強化、全体的な操作性の向上など、制作のプロフェッショナルに向けた新しい機能強化を多数搭載している。

新型コロナウイルスの感染が拡大する中、拡張現実(AR)とバーチャルカメラを使用する撮影が急速に普及した。ライブ制作時にはそれらのソースと、その他のソースとを長時間同期するように求められ、追加処理に当てる時間が必要になった。

AJA FS-HDRと同じ機能強化が組み込まれたFS4 v3.0アップデートでは、デバイスのフレームバッファ深度が拡大され、最大20フレームの遅延の設定が可能となった。

HDR制作が増えている現在、ビデオペイロードID(VPID)の管理が求められている。シグナルチェーンにある機器の多くは、この重要な情報を無視あるいは削除している。

FS4 v3.0では、SDI出力に付加されるVPIDのHDR要素をチャンネル毎に設定する機能が加わった。この機能は一貫性のある正確なVPIDが必要とされるワークフローには不可欠だという。モニター出力を使用する場合にはSDI VPIDを上書きすると、HDMI EOTFや測色のインフォフレームも上書きされる。

HDRワークフローをより強化するため、FS4 v3.0には新しいHDRテストパターンと、強化されたウェブUIのステータスページが含まれ、より多くのVPID情報を表示できるという。

FS4 v3.0では業界要件とユーザーからのフィードバックに応え、幅広いフォーマットとさまざまなコンバージョンに対応する、アンシラリーデータのパススルー機能や変換機能を強化したとしている。

広告の挿入にSCTE-104マーカーを使用する伝送アプリケーションでは、FS4でSCTE-104パケットの自動パススルーが可能となった。

FS4の新しいTimecode Xlatorは、アンシラリータイムコード(LTC、VITC1、VITC2)をパススルーまたは変換する。クローズドキャプションのパススルーに対応する一連の変換機能も拡張されている。

さらに、拡張版シングルチャンネルモード(ESC)では、4K/UltraHDと2K/HDの同時出力が可能で、2K/HD出力には独自のダウンコンバージョンが適用されるという。

このモードでは4KまたはUltraHD信号に対して処理が実行されるだけでなく、SDIモニター出力を介してダウンコンバージョンも可能なため、HDまたはSDどちらのニーズにも対応する。

Bexel社の副社長兼チーフエンジニアで、FS4 v3.0ベータテスターでもあるEdd Bonner氏は次のようにコメントしている。

FS4 v3.0にはHDRとSDRを必要とする、大多数のプロダクションにとって大変有用なアップデートが含まれています。昨夏のプロジェクトで、FS4にはHDR/WCG測色のパススルーおよび固有のペイロード識別子を転送するために必要な、VPID管理の欠如に気付きました。

そこで、AJAに連絡したところ、今回もしっかり期待に応えてくれました。FS4にオリジナルのHDR/WCGビデオソースVPIDをパススルーしたり、上書きできる機能が追加されたのです。本当に助かりました。今回のようにクライアントの期待以上に応えてくれるAJAの熱意は、当社がAJA製品を導入し続ける理由のひとつです。

FS4 v3.0を早期に導入したMobius Productions社の社長、Jason Rudolph氏は次のようにコメントしている。

今年の初めに手掛けた大規模なハーフタイムショーのプロダクションでは、HDRの信号パスをスタジアムのコントロールセンターまで維持しながら、スタジアムのLEDパネルへ送る必要がありましたが、FS4プロセッサとAJAの最新のファームウェアのおかげで見事にやり遂げられました。

12G-SDI HLG BT.2020信号を取り込んで、クアッドリンク3G-SDIへ変換できたので、シグナルチェーン全体でHLG BT.2020信号を維持しながら、ファイバーを介してスタジアムのコントロールへと信号を送信できました。すべて問題なく進行できたのは、AJAのおかげです。AJAからは素晴らしいサポートを受けました。

AJA Video Systems社の社長Nick Rashby氏は以下のようにコメントしている。

AJAは継続的なファームウェアアップデートにより、ツールの機能を強化し、新たなプロダクションの課題に真正面から取り組むお客様を支援します。FS4 v3.0もユーザーからいただいたフィードバックを参考に、主要なリクエストにお応えしました。多数の新機能で、現場が抱える最新の要求に対応します。