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ソニーは、米国ラスベガスにて現地時間4月24日から開催されている国際放送機器展「NAB(National Associations of Broadcasters) Show 2022」に出展している。

同社ブースでは「Live Your Vision」をテーマに、ソニーの最新技術を用いた、多様化するクリエイターを支えるイメージング商品群や、リモートや分散での映像制作とワークフローの効率化を支えるIP(Internet Protocol)や、クラウド技術を活用したソリューションなどを一挙に展示している。ラスベガス現地のブースのほか、ソニーの特設サイト(英語のみ)でも展示する。

1.多様化するクリエイターを支えるイメージング商品群

マルチフォーマットポータブルカメラ「HDC-3200」(新製品)

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グローバルシャッター機能付き2/3型3板式4Kイメージセンサー搭載の、コストパフォーマンスに優れたシステムカメラ。背景にLEDディスプレイがあるようなニューススタジオでも、高画質な撮影が可能。4K HDRのほか、HD 120コマの高速撮影、1080-59.94i/59.94p/29.97PsF/23.98PsFなど、さまざまなフォーマットに対応する。

カメラコントロールユニット「HDCU-3500/3100」やIPカメラエクステンションアダプター「HDCE-TX50/TX30」との接続が可能で、IP Liveプロダクションシステムにも対応する。また、従来製品のビューファインダーや大型レンズアダプター、リモートコントロールパネルとの接続もでき、既設機器を流用した柔軟なシステム構築が可能となっている。日本市場への導入は検討中としている。

大型レンズアダプター「HDLA-3505」/「HDLA-3501」(新製品)

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HDLA-3505(左)、HDLA-3501(右)

両機種とも、HDCシリーズのポータブルカメラと組み合わせて、スタジオ制作・中継制作の大型レンズ運用時に活用できる。インスタントドッキングメカニズムを備え、カメラ底部に設けられたコネクターと接続し、信号・電源・制御のインターフェースをケーブルレスで行える。また、スマートフォンやタブレット端末への電源供給が可能なUSB端子を搭載。

HDLA-3505は、従来機種と同様に、機器後面に操作パネルを配置し、カメラメニューの操作やカーソルの設定、カメラの各機能へのクイックアクセスが可能。また、新たにLCD(液晶)を搭載し、LCD上にカメラリターン映像・HDプロンプター映像の表示ができるほか、本機のHD-SDI端子に入力した映像を簡易モニタリングできる。任意に機能の割り当てが可能な5つのアサイナブルボタンも搭載しており、使い勝手に合わせてカスタムが可能。さらに、パーツを追加することで、スタジオ用ビューファインダー「HDVF-EL70」との接続も可能。

HDLA-3501は、後面パネルがなく、接続したポータブルカメラ本体にアクセスしやすい、シンプルな構造の大型レンズアダプター。本機からは、カメラメニューの制御やタリーランプのオン/オフが可能。2022年6月に発売予定。希望小売価格はHDLA-3505が税込1,980,000円、HDLA-3501が税込1,650,000円。

4K HDR対応ピクチャーモニター PVM-Xシリーズの無償ファームウェアアップデートと有償オプションライセンス

「PVM-X3200/X2400/X1800」の機能を拡充する無償ファームウェアアップデート(Ver4.0)を2022年8月に予定している。また、有償オプションライセンス「PVML-HSX1」の機能を、4K-HD変換、I/P変換、3D LUT変換に限定した「PVML-SCX1」、LUT適用後の信号出力に限定した「PVML-TDX1」を同時発売予定。

Ver4.0では、中継地名や再生準備状態などが確認できるモニター内表示(IMD)やタリー表示に対応し、クアッドビュー切り替え時にも使用できる。また、カメラの色調整に用いるクロマアップや水平垂直確認に用いるグリッドディスプレイ、機能を自由に割り当てられシステム構築に役立つパラレルリモート、クローズドキャプションにも対応。有償オプションライセンスにより利用可能となる拡張SDI出力は、収録素材のスタッフ用モニターへの配信やオフライン収録に役立つタイムコードやエンベデッドオーディオに対応する。

2波受信対応ポータブルダイバーシティーチューナー「URX-P41D

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「UWP-D21」や「UWP-D22」に代表される新UWP-Dシリーズである「URX-P41D」は、デジタルオーディオインターフェースを追加したMulti Interface Shoeに対応。別売りのMIシューアダプター「SMAD-P5」およびソニー製XDCAMカムコーダーやCinema Lineカメラ「FX9」/「FX6」/「FX3」およびミラーレス一眼カメラαシリーズなどと組み合わせると、ノイズが少ない高音質のデジタル音声をカメラに直接伝送して録音できる。

※「SMAD-P5」には後方互換性があり、従来のMIシューを搭載した一部のカムコーダーでも、アナログ音声接続で使用可能

また、外部マイク入力端子を備え、話者や演者2名に加え、インタビュアーまで含めた3チャンネルをミックスしたオーディオ録音が可能。

デジタルシネマカメラ「VENICE 2」の撮影フォーマット拡張

2023年初頭リリース予定のVer2.0により、「VENICE 2」の撮影フォーマットがさらに拡張し、以下イメージャーモードでの撮影に対応する。

  • 8.6K 17:9 最大48 FPS
  • 8.2K 2.39:1 最大72FPS
  • 8.1K 16:9 最大48FPS
  • 5.8K 4:3 最大60FPS
  • 5.5K 2.39:1 最大120FPS

また、アナモフィックレンズ使用時のZoom to Fit機能を追加し、さらに多様なコンテンツ制作のニーズに対応する。

2. IPを活用したライブ放送映像制作ソリューション

ソニーは、映像だけでなく、音声やメタデータ、同期・制御などの信号をリアルタイムにIP伝送し、遠隔地のカメラを使ったリモートプロダクションや、複数拠点をネットワークでつないだ分散ライブ制作等が可能になるIP Liveプロダクションシステムを推進しているという。

ネットワークベースのメディア伝送において高い技術を有するグループ会社のNevion(ネヴィオン)社とも連携しながら、オンプレミスやクラウドも含めて各拠点間の機器をよりシームレスにつなぐリモートプロダクションや分散ライブ制作の実現を目指しているとしている。

ソニーのIP Liveプロダクションシステムは、2022年4月現在、世界各国で160以上の中継車・スタジオシステムなどに採用されている。

Nevion社のメディアネットワーク用SDNコントローラー「VideoIPath」にブロードキャストコントローラー機能が追加

「VideoIPath」は、高度なSDN(Software Defined Network=ネットワークの経路制御の一元管理を可能にするソリューション)技術を駆使し、メディア伝送用ネットワークの高い柔軟性と耐障害性を実現する、SDNコントローラー・ソフトウェア。

今夏予定されているアップデートにより、IP Liveシステムマネージャー(LSM)が提供してきた、TSLタリーの生成やサルボ機能、エイリアスの設定などのブロードキャストコントローラー機能が追加される。これにより、IPベースの放送設備や中継車なども含むライブ映像制作のワークフロー全体を、より効率よく運用することができるという。

また、このアップデートにより、新たにソニーの制御用プロトコルである「NS-BUS」に対応することで、リモートコントロールパネル「MKS-R1620/R1630/R3210/R4020」や、SDI-IPコンバーターボード「NXLK-IP50Y/IP51Y」、ライブプロダクションスイッチャーXVSシリーズのシステムアップが可能となる。

3.リモートや分散映像制作におけるワークフローの効率化を支えるクラウドソリューション

ソニーは、クラウドを活用したソフトウェアベースの映像制作・管理ソリューションとして、5つのサービスを展開している。クラウドによる高い柔軟性と拡張性でリモートや分散映像制作ニーズに応え、ワークフローの効率化を支援するという。

  • ライブ映像制作に向け、遠隔からの映像・音声の切り替えやグラフィックス挿入などが可能なクラウド中継システム「M2 Live(エムツーライブ)」。
  • ※NAB Show 2022では、Cloud Live Production Systemとして参考出展。現時点で日本国外でのサービス提供時期は未定

  • 効率的なメディア共有・運用を実現するパブリッククラウド型(SaaS)の映像制作コラボレーションツール「Ci Media Cloud Services」
  • 現場の撮影素材をスマートフォンを介して効率的にクラウドへ転送するなど、映像制作の迅速化をサポートするカメラ連携クラウドサービス「C3 Portal」
  • 制作ワークフロー自動化、映像解析やコンテンツ管理など、複数の異なるマイクロサービスを組み合わせ、クラウド上でスケーラブルに構築可能なシステムソリューション「Media Solutions Toolkit」
  • ソニー独自の技術を含む多様なAIエンジンを統合的に活用し、制作ワークフローを効率化する「Media Analytics Portal」

クラウド中継システム「M2 Live」

5月9日より「M2 Live」のサービス提供を開始する。M2 Liveは、インターネット配信や報道中継等の様々なライブ映像制作用途を想定し、映像のスイッチング、テロップの重畳、動画ファイル再生等、多様な映像処理をクラウド上で実現する。中継現場で映像をリアルタイムに切り替えて番組制作を行う中継車などの役割がクラウド上に構築されるため、場所を選ばず遠隔からの番組制作が可能となる。

また、多彩な映像入力フォーマットに対応し、SRTやRTMPといった汎用の映像伝送プロトコルにより、幅広いカメラとの連携が可能。XDCAMメモリーカムコーダー「PXW-Z280」や「PXW-Z190」からは、ソニー独自のQoS技術に対応することで、より安定した映像伝送が実現できる。

さらにスマートフォンのカメラ映像を直接M2 Liveへ伝送するモバイルアプリも同時開発し、より機動性の高い撮影、伝送、配信システムを実現するとしている。参考サービス利用料は月額税込132,000円から(無償トライアルも提供予定)。

「Ci Media Cloud Services」が日本語UI対応、新機能も追加

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効率的なメディア共有・運用を実現するパブリッククラウド型(SaaS)の映像制作コラボレーションツール「Ci Media Cloud Services」は、5月上旬から提供開始するアップデートにより、日本語UIに対応するほか、手軽にファイルへの情報入力を行えるコメント機能や、オリジナルの高解像度ファイルから編集で使用された部分のみを切り出せる「Ciワークフロー」機能※が追加される。また、PC以外のデバイスからのアクセスや視聴を可能とする、スマートフォン用とApple TV 4K用の2種類のアプリを提供開始する。

※出力フォーマットはVFXで使用される形式のみサポート。今後のアップデートにより拡張予定

4. その他の映像制作ソリューション

映像制作の自由度と柔軟性を高めるバーチャルプロダクション

ソニーは、LEDウォールを用いたバーチャルプロダクションの取り組みを加速させている。デジタルシネマカメラ「VENICE」や「VENICE 2」、および高画質LEDディスプレイ 「Crystal LED」Bシリーズを組み合わせることにより、高品質なコンテンツ制作が可能となるという。「Crystal LED」Bシリーズは、撮影現場の照明の反射を抑える低反射コーティングと170°の広い視野角、狭い画素ピッチ(1.26mm,1.58mm)で、カメラの位置や移動に柔軟に対応できるという。高解像・広色域に対応し、幅広い明暗差のある輝度条件において豊かな階調表現が可能な「VENICE」や「VENICE 2」との組み合わせは、色再現や階調表現における親和性が高く、編集作業の軽減とクオリティの高い映像制作を実現するとしている。

魅力的なスポーツ映像制作に貢献する「Hawk-Eye Replay」

ソニー株式会社のグループ会社であるHawk-Eye Innovations(ホークアイ・イノベーションズ、以下:ホークアイ)の提供する、スポーツ映像制作向けのソリューション。インターネットに接続できる環境下であれば場所を選ばずリモートでリプレイやハイライト映像の制作が可能。Ci Media Cloud Servicesなどのクラウドサービスとも連携できるほか、ソニーのシステムカメラとの接続により、ハイフレームレート映像のスロー再生も可能になる。さらに、ホークアイの提供するプレー分析サービスから得られた多様なデータを紐づけたコンテンツ制作もでき、より魅力的なスポーツ映像制作が可能となるとしている。日本市場への提供予定は未定。

プロフェッショナル向けドローン「Airpeak S1」

2021年から発売している「Airpeak S1」をNABに初出展。Airpeak S1は、独自開発のモーターやプロペラ、制御システム、センシング技術などにより、高い敏捷性を有しダイナミックかつ緻密な飛行が可能で、フルサイズミラーレス一眼カメラα搭載可能機種で世界最小クラスを実現していることから、映像制作クリエイターの創造力を余すことなく支援するとしている。

会期中は、ブース内に設けられたステージで、「Airpeak S1」に関するプレゼンテーションも行う予定。