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ソニーマーケティング株式会社は、クラウドベースで効率的なメディア共有・運用を実現する統合プラットフォーム「Ci Media Cloud Services」を、より手軽に運用可能な契約プランを新たに発売する。

現在提供しているエンタープライズネットワークプラン、カンパニーネットワークプラン(各600,000円~/月、120,000円~/月、税別サービス利用料)に加えて、「カンパニーネットワーク エントリープラン」を2022年5月上旬から提供開始予定。サービス利用料は月額税込38,500円。

カンパニーネットワーク エントリープランは、上位プランと比較し、バンドルされるアップロード容量(100GB)、ダウンロード容量(100GB)、ストレージ容量(500GB)を少なく設定することで、費用を抑えながらカンパニーネットワークプランと同等の機能をより手軽に利用できる。上位プラン同様に従量課金制となるため、開始時のコストを最小限に抑えつつ、利用状況に合わせた運用に対応する。

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さらに今回のアップデートにより、全プランにおいて、日本語UI対応や、スマートフォン/Apple TV 4K用アプリのリリースなど、共同作業における制作ワークフローを改善する新機能を追加し、使い勝手が向上するという。

Ci Media Cloud Servicesは、2013年にアメリカで開始した、ソニー初のパブリッククラウド型の映像制作コラボレーションツール(SaaS)。メディアの管理や制作コラボレーションに特化したクラウドサービスで、インジェスト(取り込み)、素材管理、プレビュー、粗編集、パッケージのディストリビューション(配布)、クラウド上でのアーカイブなどの多様な機能が一つのプラットフォームで利用できる。映画制作をはじめ、映像制作業界で広く使われており、2020年11月から国内向けにサービスを開始している。主なアップデート内容は以下の通り。

日本語UIに対応

Ci Media Cloud Servicesは、映像制作プロフェッショナルのさまざまな要求に応えつつ、専門知識を持たないユーザーでも直感的に必要な作業が行えるように、UIや操作フローなどのUX(ユーザー体験)を最適化しているという。今回のバージョンアップでは、従来の英語UIに加えて、Webブラウザー使用時、要望が多かったという日本語UIに対応する。ブラウザー上で表示される操作画面、ポップアップメッセージ、外部ユーザーへメディア共有する際に使用される公開用Webページなどが日本語に対応し、さらに便利に利用可能だという。

スマートフォン/Apple TV 4K用アプリのリリース

スマートフォンの普及や視聴環境の変化を受けて、PC以外のデバイスからのアクセスや視聴のニーズが高まっている。その要望に応え、今回新たにスマートフォン用とApple TV 4K用の2種類のアプリを提供開始する。デバイスの特性を活かして、用途に合わせた使用が可能。

スマートフォン用アプリ「Ci:View&Share Media」は、クラウド上にあるメディアの検索やプレビューに加えて、外部ユーザーとのメディア共有などの操作が可能。スマートフォンのディスプレイに合わせて表示画面を最適化し、視認性を確保する。Apple TV 4K用アプリ「Ci:MediaBox Screener」は、ロケ地などで収録された撮影素材や編集されたパッケージ素材を、離れた場所にいるプロデューサーや制作チームメンバーに共有し、大型テレビでの確認や試写を手軽に実現するという。

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Ci:View&Share Mediaの使用例とUI
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カメラ連携クラウドサービス「C3 Portal」との連携強化

2021年11月から提供を開始しているカメラ連携クラウドサービス「C3 Portal」向けのスマートフォン用アプリ「C3 Portal App」から直接Ci Media Cloud Servicesへアップロードが可能。対応カメラと「C3 Portal App」を予め接続しておくことで、撮影した素材をスマートフォン経由で、自動で素早くクラウドへアップロードできるようになる。カメラマンの負担を軽減し、インジェストから編集までのワークフローを短縮するとしている。

制作ワークフローのさらなる改善に寄与する新機能

Ci Media Cloud Servicesは、SaaSで提供されているため、ユーザーが常に最新の状態で使用できるように定期的な機能追加や改良を行っている。今回のアップデートで、共同作業における情報共有や制作時のワークフローを大きく改善する各種機能を追加。

コメント機能により、ファイル単位の共通のメタデータとして、手軽にファイルへの情報入力が可能になる。コメントはタイムコード情報を持ち、チャット形式で表示されるため、コメントへの返信記入時や、対応完了時に解決フラグを入れることができる。

また、ソーシャルメディア登録用のファイル作成にも対応。メディアのプレビュー画面で切り出したい範囲を指定すると、クリッピングツールが起動し、エフェクトやプリセットを選択するだけで、ソーシャルメディアへの登録に最適化されたファイルが生成できる。

Ciワークフロー機能では、オリジナルの高解像度ファイルから編集で使用された部分のみの切り出しが可能。

※出力フォーマットはVFXで使用される形式のみサポート。今後のアップデートにより拡張予定

従来はオフライン編集後、ポストプロダクションにすべての高解像度ファイルを素材として提供する必要があったが、ビットレートが高く、ファイル容量が巨大なため、クラウドからのダウンロードに要する時間やコストが課題だった。本機能により、EDLを登録することで使用箇所のみを切り出すことができるため、時間とコストを大幅に節約するだけでなく、外部ユーザーとの共有機能「メディアボックス」の作成までを自動化でき、ワンストップでのメディア管理を実現するという。

※Edit Decision Listsの略。他の編集ツールからプロジェクトのタイムラインを移行するために使用されるカットリスト情報を指す

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クリッピングツールによる、ソーシャルメディア用登録ファイルの作成画面