株式会社理経は、東京エレクトロンデバイス株式会社(以下:TED)、日本ヒューレット・パッカード合同会社(以下:HPE)、ATEME HQ(以下:ATEME社)と、TEDが設置する放送業界向けの検証ラボ「TED BI Lab」を活用した共同試験に参画した。
従来の映像伝送メディアは同軸ケーブルを用いたSDIが主流とされていたが、近年はフルハイビジョン対応、フレームレートの増加、4K/8Kなどの高精細映像の必要性が高まり、放送用ネットワークの限界が指摘されている。そこで放送業界においては、放送機器に双方向通信可能な光ファイバを用いたIP技術を採用し、主要な伝送媒体として用いるケースが増えてきているという。
また、理経がATEME社のソフトウェアとHPEのサーバを国内調達し、理経技術センターにおいてこれらを組み合わせて製品化することが可能になり、これまで以上にサーバの構成、設定内容に関しての理解を深め、ユーザーが安心して保守支援を利用できる環境を整えることができたという。
共同試験概要
理経およびATEME社は、「TITAN Live エンコーダ」に映像伝送規格(SMPTE ST2110)のソースを入力して、動画配信プロトコル(低遅延 HLS/DASH)による配信を用い、低遅延インターネット動画配信を評価した。
同試験では、「TITAN Live エンコーダ」、HPE社のサーバおよび、NVIDIA社(旧:Mellanox Technologies, Ltd)のLANに接続するための拡張装置10/25GのNICを使用。TED BI Labにて用意された、アリスタネットワークス社製ネットワークスイッチを中心とした100Gbpsの高速IPネットワークで非圧縮映像の伝送が可能なシステムを用いて、「ATEME社 TITAN Live エンコーダ」における低遅延モードとの相互接続を評価した。
アリスタネットワークス社製ネットワークスイッチは、時間を同期させるPTP(Precision Time Protocol)を処理可能なハードウェアスイッチ。同検証によって、ST2110信号を用いてマルチビットレート・エンコーディング信号を低遅延で出力でき、相互接続が可能であることを確認した。従来の同軸ケーブルを用いたSDIによる映像素材の信号入力から、エンコードはじめとする配信処理までの放送システムをALL-IP化することで、4K/8K時代における効率的で柔軟に高精細なコンテンツの伝送を実現する放送システムの構築へ向けた提案が可能になるとしている。
同検証での評価ポイント
(以下、プレスリリースより引用)
- SMPTE ST 2110による非圧縮映像の信号入力
- SMPTE ST 2022-7による映像信号のヒットレス切替
- NMOS IS-04(SDP)ネットワークに組み込まれた映像信号
- IP マルチキャスト
- PTP 信号の同期信号
- NMOS AWMA IS-04 IS-05による入力信号制御
- 低遅延マルチビットレート・エンコーディング出力
- 低遅延HLS/DASH出力
ATEME社「TITAN Live エンコーダシステム」は特定のハードウェアに依存せず、汎用サーバやパブリック・クラウド上などで動作するソフトウェア。同製品は低遅延モードが強みで、低遅延マルチビットレート・エンコーディング出力や、低遅延HLS/DASH出力が可能。
今後は、国内放送局での放送設備IP化に向けた設備更新に伴う需要に対して、4社で協力して提案活動をしていくとしている。