Blackmagic Designは、新しいライブプロダクションスイッチャーとして「ATEM SDIシリーズ」を発売した。希望小売価格は以下の通り。
- ATEM SDI:税込52,980円
- ATEM SDI Pro ISO:税込121,800円
- ATEM SDI Extreme ISO:税込228,800円
パワフルかつ可搬性に優れたスイッチャーを必要とする放送者向けに作られた新製品のATEM SDIシリーズは、すばやくセットアップでき、簡単に使用できる。サイズは小型だが、ATEM SDIスイッチャーは機能が充実しており、プロ仕様の3G-SDI接続を搭載。
全入力がフォーマット変換に対応しており、内蔵のFairlightオーディオミキサーは各入力に6バンドのパラメトリックEQ、コンプレッサー、リミッターを搭載。内部DVE、クロマキーヤー、プロ仕様のトランジションにも対応。ATEM SDIではプロフェッショナルなマルチカムのライブプロダクションを効率的に制作でき、またYouTubeやFacebookなどの放送品質のライブ配信に最適だとしている。
ATEM SDIおよびATEM SDI Pro ISOモデルは4つのSDI入力、ATEM SDI Extreme ISOモデルは8つのSDI入力を搭載。さらにすべてのSDI入力が、フォーマット変換および再同期機能に対応している。ピクチャー・イン・ピクチャー用にDVEを使用することも可能。USBはウェブカムとして機能し、ビデオをコンピューターに接続できる。ProおよびExtremeモデルには配信機能が内蔵されているという。
ATEM SDIは、コンパクトなオールインワン設計で、コントロールパネルとインターフェースの両方を搭載している。フロントパネルのボタンは使いやすく、ソース、ビデオエフェクト、トランジションを選択できるという。ソースボタンはサイズが大きく、触るだけで識別できるため、出演者がスイッチング可能。また、オーディオミキシングのボタンも搭載されている。
さらに、ATEM SDI ProおよびExtremeモデルは、収録および配信のコントロール用のボタンに加え、出力の選択ボタンも搭載しているため、プログラム、カメラフィード、マルチビュー間でビデオ出力を切り替え可能。リアパネルには、カメラ用のSDIコネクター、予備のマイク入力、ウェブカム用のUSB、プログラムビデオ用のSDIの複数のAUX出力を搭載しているという。
モデルによってビデオ入力を4つまたは8つ搭載しているため、ATEM SDIに複数のカメラを接続して被写体の異なるアングルを得られる。それぞれのビデオフォーマットが異なる場合でも、全ビデオソースがスイッチャーに再同期される。ロケ先でのセットアップも簡単で、シンプルに機能するので技術的な心配は不要としている。
ATEM SDI ProおよびATEM SDI Extremeモデルは、ハードウェア配信エンジンを内蔵しており、Ethernet接続を介してライブ配信可能。YouTubeやFacebook、Twitchなどに高品質でライブ配信でき、コマ落ちも生じず、設定もシンプルだとしている。必要な作業は、配信サービスを選択して、ストリーミングキーを入力するだけ。ATEM Software Controlには、配信のセットアップを表示するパレットがあり、マルチビューにも配信ステータスが表示される。配信ステータスは簡単に把握できるデザインで、データレートインジケーターは使用中のビデオフォーマットに必要なインターネット速度を表示する。
ロケ撮影でライブプロダクションを行う場合、ATEM SDI ProおよびExtremeモデルはAppleやAndroidの携帯電話とUSBポートで接続可能なため、モバイルデータを使用できる。これはメインのEthernet接続のバックアップにもなるという。
ATEM SDI ProおよびExtremeモデルは、配信データをUSBフラッシュディスクに直接収録できる。配信と同じH.264ビデオファイル(AACオーディオ付き)を使用した長時間の収録が可能で、YouTubeやVimeoなど、あらゆるオンラインビデオサイトに直接アップロードできる。USBハブを使用して、複数のディスクへ収録することも可能。ひとつのディスクが一杯になると次のディスクに収録を継続するため、ノンストップで収録できる。収録設定およびディスクの選択はATEM Software Controlで実行でき、マルチビューに収録ステータスを表示することも可能。
ATEM SDI Pro ISOおよびExtreme ISOモデルは、全入力のクリーンフィードおよびプログラムフィードを含む、複数のビデオストリームを同時に収録できるため、ライブイベントを編集可能。ライブで使用されたメディアプールのイメージはビデオファイルと共に保存される。ビデオファイルには、同期タイムコードやカメラ番号などのメタデータタグも含まれる。カラーグレーディング、エフェクト、グラフィックを使用して、イベントを再び編集できるのだ。オーディオソースもすべて収録されるため、オーディオをプロが再ミックスできるという。
ISOモデルはDaVinci Resolveプロジェクトファイルも収録するため、ワンクリックでライブプロダクションをビデオ編集として開くことが可能。すべてのカット、ディゾルブ、メディアプールのグラフィックもロードされる。このファイルを使用すれば、編集点の微調整や、ショットを完全に置き換えることも可能。DaVinci Resolveの同期ビンでは、マルチビューでショットの編集が可能で、素早く簡単に作業できる。すべての個別収録ファイルはタイムコードに基づいて自動的に揃えられるので、全カメラアングルが完璧に同期した状態でスクロール可能としている。
各3G-SDIビデオ入力は、それぞれ専用のフォーマット変換機能を搭載。ATEM SDIは、1080p、1080i、720pのソースを、スイッチャーのビデオフォーマットに自動的に変換する。SDI出力は真の"Aux"出力なので、各SDI出力にルーティングされたソースビデオを別々にカスタマイズできる。すべての出力に、カメラコントロールおよびタリーの情報が含まれており、カメラに接続可能。ATEM SDI ProおよびATEM SDI Extremeモデルでは、内蔵のマルチビューでSDI出力を表示することも可能。
ATEM Software Controlを使用すると、ATEM SDIすべての機能を使用できるようになり、スイッチャーの各機能にアクセスできる。ATEM Software Controlのユーザーインターフェースはスイッチャーを視覚化したもので、パラメーターパレットで調整をすばやく実行できる。一般的にはUSBを介して接続するが、Ethernetを使用する場合、複数ユーザーが各自のコンピューターでATEM Software Controlを起動し、同時にATEM SDIに接続することも可能だ。スイッチャーの状態は、XMLファイルとして保存できる。クリップを再生する必要がある場合は、Ethernet経由でHyperDeckディスクレコーダーをコントロールすることもできるという。
ATEM SDI Extremeモデルは、4系統のアップストリームクロマキーヤーを搭載しており、エキサイティングなバーチャルセットを構築できる。4つの独立したクロマキーヤーを使用できるため、4台までのカメラで1つずつキーヤーを使用し、バーチャルプロダクションを構築可能。ATEM SDI Extremeは8系統の入力を搭載しているので、そのうち4つをカメラに接続し、残りの4つをバーチャルセット用のコンピューターに接続してレンダリングしたバックグラウンドを使用できる。あるいは、予めレンダリングしたスチルイメージの背景をメディアプレーヤーとメディアプールからロードすれば、カメラを動かす必要もなく、固定カメラのバーチャルセットで撮影できる。マクロを設定して、カメラを変更したり、メディアプレーヤーに適切な背景をロードすることも可能。
2つの独立したDVEに加え、ATEM SDI ExtremeモデルはパワフルなSuperSourceマルチレイヤープロセッサーを搭載。ATEM SDI Extremeは、4つのDVEレイヤーとバックグラウンドレイヤーを1つの追加の入力ソースとして認識する。ATEM SDI Extremeのすべてのビデオ入力は、SuperSource DVEとして使用でき、メディアプールのカスタムバックグラウンドにレイヤーされる。
複数のカメラを用いた大規模なライブプロダクションでは、1台のモニターで全ビデオソースを同時に確認できる機能は非常に便利だとしている。ATEM SDI ProおよびATEM SDI Extremeモデルはプロ仕様のマルチビューを搭載しており、すべてのビデオ入力に加え、プレビューとプログラムを1台のSDIモニターで確認可能。各カメラのビューには、オンエア状態が確認できるタリーインジケーターが表示される。また、各ビューのラベルはカスタマイズ可能で、それぞれのオーディオメーターも表示される。さらに、ATEM SDI Extremeモデルでは、16までのカスタムビューを選択可能。マルチビューには収録、配信、オーディオミキサーのステータスも表示される。
ブラックマジックデザインのCEO グラント・ペティ氏は次のようにコメントしている。
新製品のATEM SDIライブプロダクションスイッチャーは、高度なプロ仕様の機能を搭載したポータブルなスイッチャーを求めている放送者に最適です。3G-SDIビデオインターフェースに対応した3つの優れたモデルを取り揃えています。ピクチャー・イン・ピクチャー用のDVE、グラフィック、トランジション、 Advanced Chroma Key、Fairlightオーディオミキサーなどの優れた機能を搭載しています。極めてエキサイティングで、この新モデルをユーザーの皆様がどのように使用するか楽しみにしています。