富士フイルム株式会社は、独自の色再現技術による画質と小型軽量を実現する「Xシリーズ」の最新モデルとして、ミラーレスデジタルカメラ「FUJIFILM X-H2」(以下:X-H2)とレンズキット「XF16-80mmF4 R OIS WR」を2022年9月29日に発売する。希望小売価格はいずれもオープン、X-H2単体モデルの市場想定価格は税込26万円前後。
新開発X-Trans CMOS 5 HRセンサーと高速プロセッサー「X-Processor 5」を搭載
新開発の裏面照射型約4020万画素「X-Trans CMOS 5 HR」センサーの搭載と画像処理のアルゴリズムの刷新により、高いS/N比を維持したまま解像度を向上。Xシリーズでもっとも高い画質を実現するという。新センサーでは画素構造を改良し、より多くの光を効率的に取り込むことが可能。ISO125を常用感度として利用でき、日中の屋外での撮影や明るいレンズによるボケ味を活かした写真撮影に最適としている。
新センサーの搭載により、露光時間の制御をより高い精度で実現。電子シャッターの最速シャッタースピードを従来モデルの1/32000秒から約2.5段分拡張し、1/180000秒に向上。晴天のビーチやゲレンデなどの照り返しが強い環境下でも、大口径レンズを用いて絞り開放での撮影が行えるほか、スタジオなどで一瞬を切り取る写真撮影も可能だという。
4倍の解像力と忠実な色再現による撮影が可能な「ピクセルシフトマルチショット」をXシリーズとして初めて搭載。ボディ内手ブレ補正機能によりイメージセンサーを高精度にシフトさせ自動撮影を行うことで、1回のシャッターで20枚の画像を取得。専用ソフトウェア「Pixel Shift Combiner」を用いて取得した画像を処理することにより、約1.6億画素の画像を生成可能。コマーシャルフォトや文化財のデジタルアーカイブ用途に最適としている。
肌のレタッチを自動で行う「スムーススキンエフェクト」をXシリーズとして初めて搭載。ポートレート写真などで行われるレタッチの手間を軽減することができ、より短時間で完成度の高い画像データを作成可能。新たにディープラーニング技術を活用し、オートホワイトバランスの性能を向上。AIにより、オレンジがかった暖かみのある電球色を正確に識別し、より精度の高いホワイトバランスを実現可能としている。
プロの映像制作ニーズにこたえる充実の動画性能を実現
Xシリーズとして初めて8K30P 4:2:2 10bitの映像記録に対応。X-H2S同様の放熱構造を採用し、約160分の8K30P動画撮影を可能。また、8Kの豊富なデータ量から高品質な4K映像を生成する「4K HQ」モードも新たに搭載。高画素センサーを活かした解像感の高い映像を生成可能。
ProRes 422 HQ、ProRes 422、422 LTの3つのApple ProResコーデックに対応。ProRes撮影時にはProRes 422 Proxyなどのプロキシ撮影も可能。8K動画の編集負荷を軽減し、撮影からポストプロダクションまでワークフロー全体を効率化・省力化できるという。
動画撮影時に使用可能なデジタルズーム機能を新たに搭載。単焦点レンズ装着時でも、解像感を損なうことなく最大2倍のデジタルズームを実現可能。また、電動ズームに対応した交換レンズ「XF18-120mmF4 LM PZ WR」との組み合わせでは、シームレスに光学ズームからデジタルズームに切り替わり撮影できるため、滑らかな映像表現を実現できるという。
HDMI経由で最大8K30P 12bitのRAWデータ出力が可能。ATOMOS社製の「NINJA V+」でApple ProRes RAW、Blackmagic Design社製の「Video Assist 12G」でBlackmagic RAWとして記録可能。また、ダイナミックレンジを13+stopに広げた「F-Log2」を搭載しており、ポストプロダクションでの自由度が大きく向上するとしている。
ディテールを正確に捉える進化したAF性能
ディープラーニング技術を用いて開発した被写体検出AFを搭載。動物・鳥・車・バイク・自転車・飛行機・電車をAIで検出可能。ピントを合わせたまま狙った被写体を自動的に追尾するため、シャッターチャンスや構図に集中して撮影が行える。
イメージセンサーの高画素化により位相差画素の数が増加したことで、動物の毛や細かい葉っぱなどの高周波な被写体に対してAF-Sの合焦精度が向上。風景撮影やポートレート撮影などでより正確なピント合わせが可能。また、X-H2Sと同じAFの予測アルゴリズムを採用し、AF-C使用中も安定したフォーカシングを実現できるという。
AF/MF時にピントを合わせたい箇所を拡大できるフォーカスアシストの倍率を従来モデルの2倍となる最大12倍に拡大。また、動画撮影時のMFをより精緻に行うための機能としてフォーカスメーターを新たに搭載し、より正確なピント調整が可能としている。
AFのアルゴリズムを最適化したことで、動画撮影時のAF精度を大幅に向上。より正確なピント合わせが求められる8K動画撮影も安心して行えるという。
撮影を強力にサポートするハードウェアとワークフロー
5軸、最大7.0段のボディ内手ブレ補正機能を搭載。夜景などの暗い撮影シーンでも、快適な手持ち撮影が可能。ファインダー倍率0.8倍、576万ドットのEVFを搭載。ファインダー使用時に瞳の位置ずれにより発生する像流れや歪みを抑制し、高い視認性を実現したという。表示フレームレート約120フレーム/秒の滑らかさで、被写体の速い動きを正確に把握できるとしている。
X-H2Sと同様に、いつでも設定内容を確認できる天面の液晶画面や、プロの過酷な撮影にも対応する高剛性ボディなどを採用。シャッター半押し時のシャッターストロークやAF ONボタンの押し心地の調整を行っているため、快適な操作性を実現できるという。動画撮影ボタンは独立して配置。モニターを自在なアングルに調整できるバリアングル構造の162万ドット背面液晶モニターを搭載している。
CFexpress Type BカードとSDカードに対応したデュアルスロットを採用。ファイルトランスミッター「FT-XH」と組み合わせることで、有線LAN/無線LANによるリモート録画機能が使用できる。最大4台のカメラを同時接続し、パソコンなどのブラウザ上で「各カメラの撮影設定の確認や変更」や、「複数台のカメラを用いての動画の同時記録」「撮影設定の保存/読み込み/コピー」を実現可能。