Blackmagic Designによると、ビリー・アイリッシュの「ハピアー・ザン・エヴァー・ワールドツアー」で、Blackmagic Design製品を用いたマルチカム・ライブプロダクション・ワークフローが使用されているという。

スチュアート・マーサー氏率いるビデオ制作専門会社のVis-A-Visが、コーチェラ・ヴァレー・ミュージック・アンド・アーツ・フェスティバルでの生演奏を含む、1年間43公演の同ツアーを担当した。同社は舞台上の映像を受け持ったほか、フェスティバルの演奏をYouTubeチャンネルで配信する作業も行った。

会場は毎晩異なるが、核となるセットアップは基本的に同じで、その中にはSMPTEファイバーで接続した6台のBlackmagic URSA Broadcast G2が含まれる。これに加え、独立したファイバーソリューションと共にPoleCamシステムにリグ組みしたBlackmagic Micro Studio Camera 4Kなど、複数の小さめのカメラシステムも使用されている。

マーサー氏:舞台周辺のカメラはすべて、Blackcamのレールカメラシステムに取り付けられています。物語を伝えることは非常に重要です。そういった意味で、一貫性は必要不可欠です。これらの位置は、SmartView 4KとSmartScope Duo 4Kプレビューモニターを設置したコントロール室からすべて遠隔で操作しています。これらのモニターにより、オペレーターが送信(TX)信号と受信信号を確認できます。

メインの制作デスクは、ATEM Constellation 8KライブプロダクションスイッチャーにATEM 2 M/E Advanced Panelを組み合わせて構築されており、ハードウェアによるコントロールが可能となっている。信号の管理には、Smart Videohub 12G 40×40ルーターと複数のHyperDeck Studio HD Miniレコーダーを使用。エンジニアラックにはTeranex AVスタンダードコンバーターが設置され、アップ、ダウン、クロスコンバージョンを行っている。

ツアーのビデオパッケージとして、マーサー氏はPRGの5mmのLEDパネルを使用することを指定した。

マーサー氏:これは投影したくなかったんです。

16×9のスクリーンを舞台左右に配置し、縦方向のスクリーンを舞台上に、また中央にLEDパネルを設置しているので、大画面表示用にライブ映像をあらゆる面に送信できます。

コーチェラの準備においては、ツアーで使用されているビデオワークフローのほとんどがフェスティバルの舞台でも使用された。

マーサー氏:これには、disguiseのxRとNotch Blocksを統合して、ビリーが歌う後ろに美しくダイナミックな背景を作成することも含まれました。

Vis-A-Visは、特別出演のゲストやYouTubeでのライブ配信にも対応する必要があった。その結果、2台のURSA Broadcast G2カメラと、配信専用の制作デスクが追加された。

マーサー氏:ライブ配信用のワイドショットに対応するために、ATEM Production Studio 4Kを起動した2つ目のデスクを私の横に配置し、配信にワイドショットを挿入しました。

ビリー・アイリッシュを含む、多数のアーティストがコンサート終了直後に自らのInstagramに行く傾向があると同氏は説明する。

マーサー氏:多くの場合、アーティストからフィードバックを得ることがあるとしたら、SNSで見たクリップに基づいた意見です。多くのファンが画面を撮影し、コンテンツをSNSで共有するので、私たちが制作するものはベストである重要性は未だかつてないほど高くなりました。これは、どこで、いつファンが観るかに関わりません。