株式会社アマナは、東映株式会社ツークン研究所と共に、3DCGと先端テクノロジーを組み合わせて制作する人物CG「デジタルヒューマン」を制作する新しいプロジェクトを開始した。
来るべきメタバース時代のコミュニケーションマーケットにおいて、サステナブルなビジュアル制作ができる画期的な施策として、今後、多方面でのニーズが期待されるとしている。
同プロジェクトでは、母親、父親、子どもの3人からなるデジタルヒューマンのファミリーを制作、企業広告やコミュニケーションツールに登場するモデルとして展開。このデジタルヒューマンのファミリーは、バーチャル上の存在ながら、年齢、職業に始まり、衣・食・住の嗜好や家族のライフスタイルに至るまで、現実に存在する人間像に匹敵するペルソナをディテールまで作り込んでいる。単なるビジュアルイメージにとどまらない点が特徴だ。
人格を備えたデジタルヒューマンは、ストーリーを語ることが可能になり、コミュニケーションにリアリティと奥行きが生まれる。今回のキャラクタライズは、"家族(Family)のあたらしい明日(Asu)をつくる"アマナのWebメディア「Fasu(ファス)」が担当。同メディアが培ってきた知見を生かし、既成概念に囚われない新時代のファミリー像を描き出しているという。
アマナは2000年代以降、CF制作や企業の製品開発において自動車や家電などのプロダクトCGや、インテリアや街並み・自然風景などの空間ビジュアルのCG制作を数多く手掛けてきた。最新技術をアップデートしながら、高いクオリティのクリエイティブとノウハウを生み出してきたという。
一方、東映ツークン研究所は映像制作を通して限りなくリアルな人間に近づける表現を目指してデジタルヒューマンの研究開発に取り組んできた。
アマナはもっとも難しいとされてきた人物CGの制作に取り組む中で、同研究所と出会い、コラボレーションが実現したという。
この協業によって、広告ビジュアルを構成するプロダクト、空間、人物の全てを撮影することなくCG上での制作が可能になり、同時にシチュエーションモデルのキャラクターに商品やサービスの魅力や特徴を効果的に反映できるようになるとしている。
さらに今後、デジタルヒューマンのモデルをライブラリー化することを考えているという。アーカイブはバーチャル上のモデル事務所のような機能を果たすが、リアルと異なり、いつでもどこでも必要なモデルを自由にキャスティングが可能だ。
また、全身はもちろん、手や足などのパーツモデルも展開。肌の色、体型、衣装などを自由に変更できる体制の構築を目指すとしている。
これにより、ビジュアルの海外展開やコミュニケーションのサポートほか、様々なビジネスチャンスへの展開、転用が可能になるという。同社は、クオリティ、コスト、リスクヘッジなど、モデル起用のあらゆるフェーズで生じるデメリットをミニマムにし、モデル表現の可能性を大きく広げるデジタルヒューマンの可能性、そして未来に期待してほしいとしている。
「デジタルヒューマン」について
デジタルヒューマンは、リアルな質感や動きを追求し、3DCGと先端テクノロジーを組み合わせて制作される人物CGキャラクター。エンターテインメント業界におけるゲームや映画の登場人物を始め、アパレル業界のファッションモデルとして目にする機会が増えているほか、今後さらに表現の幅を広げる存在になると期待されている。
デジタルヒューマンのメリット
メリット1:広告ビジュアル制作のDXを推進
リアルでの撮影プロセスをデジタル化。ビジュアル制作の全工程をCG空間で進行することにより、いつでも、世界のどこからでも制作に参画できるため、グローバルかつ24時間フルタイムでの制作活動を可能にする。また、人の移動や撮影資材を削減することでの環境への配慮や制作コストの削減にもつながるという。
メリット2:ブランディングとコンプライアンスの強化
唯一無二のオリジナルモデルを制作したり、シチュエーションに合わせて最適なモデルを起用し、質の高いコミュニケーションを演出することで、自社ブランドへの共感を高めることができるとしている。
また、リアルな撮影で発生するモデルの肖像権使用に伴う競合排除や契約期間、展開メディアなどの条件がフリーになり、煩雑な契約業務などの負担から解放されるだけでなく、モデルの経歴や起用後に発生するトラブルのリスク回避を可能にする。
メリット3:表現可能な領域の拡大
メタバースやWeb上のコミュニケーション、デジタルサイネージなど、多彩なコミュニケーションメディアへの展開に対応。モデルのフィッティングやポージングも自由自在に設定できるため、同じポーズやシチュエーションでのカラーバリエーションのニーズなどには短時間で多くのビジュアル制作を可能にする。