アドビは、Adobe Premiere Proの最新アップデート「v23.2」を公開。HDRメディアの自動トーンマッピング機能が追加されたほか、オフライン編集でのシーケンスロックもサポートし、インターネット接続が一時的に中断された場合も作業を続けることができるようになった。
自動トーンマッピング
新機能である自動トーンマッピングでは、同じシーケンスで様々なタイプのフッテージや異なるカラースペースの操作が容易になるという。ログフッテージからiPhone HLGやその他のHDR形式まで一貫したカラーを維持しながら、rec709(標準ダイナミックレンジ)シーケンスでカメラメディアをミックスアンドマッチ。広い色域を自動的に調整して、ハイライトが白飛びすることなくシーケンス内で正確に表示できる。
同機能では、次の3つのフッテージを調整できる。
- iPhone HLG
- Panasonic Log、Sony S-Log、Canon Logなどのログベースのビデオ
- その他のHDR形式(HLGカラースペースなど)
同機能はデフォルトでオンになっており、シーケンス設定でオンまたはオフにできる。
Log(対数)ビデオをトーンマッピングするには、一般環境設定でLog(対数)ビデオのカラースペースの自動検出を有効にして、自動検出と変換を有効にする。完了したら、ビデオをRec.709タイムラインにドラッグ&ドロップできる。
オフライン編集のシーケンスロック
Team Projectsは、オフライン編集のシーケンスロックもサポートしており、インターネット接続が一時的に中断された場合でも作業を続けることができる。中断されている間は、変更を公開したり、他の共同作業者から最新の更新情報を取得したりはできないが、編集内容をシーケンスのコピーとしてローカル保存が可能だ。オンラインに戻ったら、「公開」ボタンを使用して編集内容をチェックインできるという。
また、2人以上の共同作業者が同じシーケンスをオフラインで編集した場合、最初にオンラインに戻ったユーザーに、チームプロジェクトに変更を公開する選択肢がある。他の共同作業者は、インターネットに再接続すると競合について警告され、プロジェクト内のすべてのユーザーが利用できる新しいシーケンスとして作業内容を公開する選択肢が与えられる。
起動時のリセットオプション
起動時に、新機能リセットオプションを使用して、アプリの定期的なメンテナンスやクリーンアップ、トラブルシューティングができるようになった。リセットオプションは、Cmd、OptionまたはShift キー(macOS)、またはCtrl、AltまたはShiftキー(Windows)などの任意の修飾キーを長押しして、チェックボックスで選択できる。
以前は、プラグインキャッシュの削除やサードパーティのプラグインのバイパスは手動で処理していたが、リセットオプションを使用すると、Premiere Proでこれらのアクションが実行できるという。
そのほか、オーディオやキャプション、編集などの以下の問題を修正した。(※以降リリース記事より転載)
オーディオ
- Premiere Pro を複数回終了して再起動すると、オーディオが途切れる
- 書き出された.wavファイルの開始時にオーディオの不具合が発生する
- プライマリオーディオデバイスオフセット環境設定への変更が保存されなかった
- エッセンシャルサウンドパネルオーディオカテゴリ(ユーザーが割り当てたもの)を含むAAFクリップを書き出すと、「オーディオエフェクトを書き出すことができません」メッセージが表示される
- 書き出されたAAFのタイムラインの先頭に移動したクリップがリミックスされる
- エッセンシャルサウンドパネルが取り消しまたはやり直し後に正しく更新されない
キャプション
- SRTファイルの「メディアタイプ」フィールドおよび「キャプションメタデータ」フィールドが正しく表示されない
- テレテキストまたはOP-47からの高さ1倍のテキストが、サイドカーファイルまたは埋め込みキャプションで高さ2倍として書き出される
- キャプションセグメントをダブルクリックすると、編集ツールが表示される代わりに、エッセンシャルグラフィックスパネルの「参照」タブが開いていた
編集
- プログラムモニターでマルチカメラ角度を切り替えたときに、クリップにオーバーレイが表示されない
- プロジェクトを開いたときにオーバーレイが表示されない(またはプログラムモニタービューを切り替えると非表示になる)
- GPUレンダリングを使用してAMEまたはPremiere Proを介して書き出す場合、出力サイズ全体にストレッチが適用されなかった。書き出されたファイルが、まだピラーボックス化されていた
- タイムコードパネルが、線のモードを変更した後に正しく表示されない
書き出し
- 書き出し先の名前に2バイト文字(中国語、日本語、韓国語など)または拡張ASCII 文字(アクセントやウムラウトなど)が使用されている場合、H.264およびHEVCの書き出しが失敗する
グラフィック
- テキストレイヤーに内側のストロークがある場合、テキストレイヤーでシャドウ効果のサイズの拡大が失敗した
- モーショングラフィックステンプレートが異なるコントロールを持つ別のテンプレートに置き換えられたときに、エッセンシャルグラフィックスパネルのコントロールが使用できなくなった
- Premiere Proグラフィックに変換コントロールが適用されたエフェクトを、エッセンシャルグラフィックスパネルで移動できなかった
- 複数の一致するグラフィックが検出されましたダイアログで「いいえ」をクリックした場合でも、テンプレートを置き換えることができた
- バージョン527.43から528.23までのNVIDIAドライバーを使用するWindowsシステムで、NVIDIA GeForce ExperienceとPremiere Proを同時に実行すると、クラッシュする可能性がある