Matterportは、建設管理ソフト「Autodesk Construction Cloud」との新たな統合ツールを発表した。これにより、MatterportとAutodesk Buildを使用するプロジェクトチームは、重要なプロジェクト管理ワークフローで容易に共同作業を行うことができる。また、Autodesk Buildの情報提供依頼(RFI:Request for Information)プロセスを強化し、従来のコミュニケーション方法からMatterportを活用した没入型デジタルツイン技術へと転換できるようになる。

平均的な建設プロジェクトで作成されるRFIは800通以上

建設プロジェクトでは、何百人もの関係者が関わっており、その多くが文書や画像を頼りに設計から建設までのプロセスを調整している。プロジェクト管理ツールは、これらのさまざまな資料を整理する負担を軽減してくれるが、複雑な2Dや3Dファイルに依存する現在のプロセスでは、プロジェクトの不正確さや関係者間の誤解を招くことも多く、手戻りやコストのかかる遅延を引き起こすという。

プロジェクトに関する情報格差を解消するために、建設技術者はRFIを提出する。一般的なRFIプロセスでは、建設チームと設計チームが文書や画像に問題を直接ラベル付けし、各プロジェクト関係者が不完全なデータや参考資料を明確にするために、新しい情報を基にドキュメントを更新するが、これは面倒で時間がかかるプロセスだという。

一般的にドキュメントは複数のフォーマットにまたがり、関係者が指摘するたびに更新されるため、最新の情報を追跡するのは困難だ。Navigant Construction Forumの調査によると、平均的な建設プロジェクトでは、800通以上のRFIが作成され、1週間あたり50通以上のRFIが提出されているという。RFIの受信、記録、検査、対応という管理作業で、1通に費やされる時間は平均8時間にもなる。また、研究論文「Construction Disconnected(Thomasら、2018年)」によると、不正確な文書によってデータ不足や不完全なデータが生じており、これが米国の建設業界で起こる手戻りの原因の48%を占めていると推定されている。

デジタルツイン内でより効率的なRFIプロセスを実現

MatterportとAutodesk Buildの統合ツールは、この文書化プロセスに変革をもたらすという。現場の状況を視覚的に記録するシステムが構築できるようになり、ユーザーは空間のデジタルレプリカ内で直接依頼を作成し追跡することができる。現在では、Matterportのユーザーは、写真のようにリアルなデジタルツイン内で指摘したい箇所に正確にAutodesk RFIピンを配置でき、プロジェクトの関係者は誰でも実世界に存在しているものと同じ空間コンテキスト(文脈)で問題を捉えることができるため、理解度が向上するだけでなくプロジェクトの遅延も低減され、問題解決の迅速化が図れるようになった。

Matterportのアドオンを直接Autodesk RevitにインポートすることができるMatterport Revitプラグインや、AutodeskユーザーがMatterport空間をBIM(.rvt)やCAD(.dwg)ファイルに変換できるMatterport BIMファイルなど、これまでのアドオンや統合を基盤としており、建築士、エンジニア、建設技術者のコラボレーションソリューションをより効率化できるとしている。

Matterportは、Autodesk App Storeにてすべてのサポート対象地域で利用できる。今後のアップデートにより、Matterportのデジタルツイン内にAutodesk Construction Cloudのさらに深化したサポートと機能が組み込まれる予定だという。