一般社団法人 日本ポストプロダクション協会(JPPA)調査・事業委員会が、2022年度「ポストプロダクション設備調査」(2022年11月の設備状況)の結果を公開した。

同調査は、JPPA会員各社のポストプロダクション設備状況の動向や市場変化を把握するために、2004年度から隔年で実施し、2019年度以降は毎年実施している。2022年度調査は、正会員社90社(2021年度調査時は88社)に対して、2022年11月現在の設備状況に関するアンケート調査を行ったもので、85社(同81社)から調査結果を得ることができた。

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調査結果によると、ノンリニア編集室は81社が645室(2021年度は77社が623室)/リニア編集室は32社が122室(同31社が152室)を保有し、合計(編集室総数)は767室(同775室)が稼働している。また、MAルームは77社が320室(同72社が297室)、グレーディング専用ルームは18社が50室(同17社が46室)を稼働しているという。

ノンリニア編集室数が増加、4K以上対応は206室

ノンリニア編集室(回答社:81社)の総数は645室(2021年度623室/回答社:77社)で、その内訳は、オンライン編集室が329室(2020年度342室)、オンライン/オフライン編集室が237室(同199室)、オフライン編集室が79室(同82室)だった。

2020年度調査で初めて前年比減となったノンリニア編集室数(2020年度調査610室/80社)は、2021年度・2022年度と2年連続でプラスに転じた。これは、主に2020年度・2021年度と続けて、東京・渋谷地区を中心として新拠点展開を行った数社の編集室増によるもの。

また、編集室の区分として「4K(以上)対応編集室」として回答しているのは、58社/206室で、2021年度調査から20室増、2017年の74室と比較すると2.7倍以上となっている。さらに、206室のうち8Kに対応する編集室は7室となっている。

なお、設備調査では各編集室の具体的な編集システムについても聞いている。調査開始2004年度当時のノンリニア編集室は、ハイエンド編集システムによる専用室が大部分を占めていたが、今回の調査では71室にとどまっており、約89%のノンリニア編集室が複数の編集ソフトウェアを有する複合的な編集室となっているという。

リニア編集室は減少傾向続く

85社のうち、リニア編集室を保有するのは32社で、その総数は122室(2021年度152室/回答社31社)で減少が続いている。調査回答では122室のうち104室がサブシステムとしてノンリニア編集システムを設置しており、リニア編集単独での編集室は大きく減少していることがうかがえる。

※リニア/ノンリニアのハイブリッド編集室はリニア編集室としてカウント

MAルームは引き続き増加傾向に

2022年度MAルーム(回答社:77社)の総数は320室で、2020年度の307室/77社、2021年度の297室/72社と比較して増加している。また、MAルーム320室のうち、121室(48社)はサラウンドに対応できると回答があった。

グレーディング専用ルームが増加

2022年度のグレーディング専用ルームは50室(回答社:18社)で、2020年度の49室/18社、2021年度の46室/17社と比較して増加している。グレーディングルーム50室のうち、4K対応マスターモニターは32式、4K対応の波形モニターは22式だった。また、スクリーン・プロジェクター方式のグレーディングルームも7室あったとのこと。

ノンリニア編集室645室のうち、グレーディングシステムを併設している部屋数は105室で、カラーグレーディングとフィニッシングを同時に行う編集スタイルの増加など、ワークフローの急速な変化が背景にあることが考えられる。

グレーディングルームは専用室として運用している部屋であり、ノンリニア編集室にグレーディングシステムを併設している部屋は含まず