ARRI、タリーシステム「Gen.2」、カメラコントロールパネル「CCP Live」発表[NAB2023]

ARRIは、同社のスタビライザーTRINITYとARTEMISをよりライブ・マルチカメラ放送に適したものにする2つの新製品、タリーシステム「Gen.2」とカメラコントロールパネル「CCP Live」を発表した。

両製品はラスベガスで開催されるNAB SHOW 2023のARRIブース(ブース番号C6325)で直接体験することができる。

ARRIのカメラスタビライザーシステム(以下:CSS)部門が提供するARTEMISとTRINITYは、映画やテレビシリーズだけでなく、スポーツ中継、トークショー、ゲームショー、イベントなどでも使用されている。同スタビライザーはスタジオでの撮影はもちろん、中継車からカメラをコントロールする屋外での撮影でも、ライブプロダクションでのユニークでダイナミックなカメラワークを可能にする。

ARRIのタリーシステムGen.2は、タリーワークフローをデジタル時代に移行させ、カメラコントロールパネルCCP Liveは、オペレーターにモニター出力とタリーインターフェースを追加する。両製品は、ARRI マルチカムシステムや他社製マルチカメラセットアップの一部として使用する場合でも、ARTEMISとTRINITYの現行製品および旧世代製品と互換性がある。

タリーシステムGen.2

ARTEMISとTRINITYは、ライブでマルチカメラを使用する場合、通常の放送用カメラと同様に、カメラの後ろにいるオペレーターやカメラの前にいるプレゼンターやパフォーマーに、どのカメラがライブ放送しているかを知らせるためのタリーシステムを必要とする。そのため、カメラ信号が放送されているか否かに応じて、赤色の小型LEDランプが点灯・消灯する仕組みとなっている。

ARRIタリーシステムGen.2は、通常レンズの下に取り付けられ、タレントから見えるホストモジュールと、カメラマンのモニターの上に取り付けられるクライアントモジュールの2つのコンポーネントで構成。ホストモジュールの赤ランプとクライアントモジュールの赤ランプを瞬時に点灯させるためには、タリートリガーを必要とする。

ARRI、タリーシステム「Gen.2」、カメラコントロールパネル「CCP Live」発表[NAB2023] ARRI、タリーシステム「Gen.2」、カメラコントロールパネル「CCP Live」発表[NAB2023] ARRI、タリーシステム「Gen.2」、カメラコントロールパネル「CCP Live」発表[NAB2023]
Gen.2

タリーシステムGen.2は、3つの異なるトリガー技術に対応しているため、汎用性が高いことが大きな特徴だという。1つ目はカメラに搭載されたタリーLEDをフォトセルで検出するクラシックトリガー、2つ目はタリーモジュールと直接通信できるようにカメラに特別なケーブルを接続する方法、3つ目はARRI マルチカムシステムの一部としてALEXA Mini、AMIRA、AMIRA Liveカメラを使用する際に新しいARRI CCP Liveからトリガーする方法だ。また、同システムはデジタルであるため、将来のトリガー技術にも対応可能。

従来のアナログタリーシステムは、カメラに搭載されたLEDライトの明るさに依存しており、その明るさは可変で、経年劣化の可能性もあった。そのため、マルチカメラの場合、カメラごとに異なる明るさのタリーライトが表示されることがあり、オペレーターやタレントが混乱する可能性があった。タリーシステムGen.2は、この問題を解決し、カメラ間のばらつきに関係なく、完全に一定の明るさを提供するという。

カメラコントロールパネルCCP Live

既存のカメラコントロールパネルCCP-1を応用したARRIの新しいCCP Liveは、ライブ、マルチカメラ制作のために特別に設計されたという。どちらもALEXA Mini、AMIRA、AMIRA Liveのビューファインダーポートに接続し、ビューファインダーを使用しない場合はコントロールデバイスとして機能する。CCP Liveは、正面から見るとCCP-1と同じように見えるが、背面にSDIビデオ出力とタリーインターフェースが追加されている点が異なる。

ARRI、タリーシステム「Gen.2」、カメラコントロールパネル「CCP Live」発表[NAB2023] ARRI、タリーシステム「Gen.2」、カメラコントロールパネル「CCP Live」発表[NAB2023]
CCP Live

マルチカメラのプロダクションでは、映画のような外観を持つARRIカメラと、滑らかなカメラムーブを実現するARRIスタビライザーの使用が増えているという。ALEXA Mini、AMIRA、AMIRA Liveを使用してUHDで50/60fpsで撮影する場合、カメラのSDI出力の両方がOBトラックやコントロールルームへのビデオフィードに使用されるため、オペレーターのモニターには何も残らない。CCP Liveは、オペレーターのリグのモニターやワイヤレスフォーカスプラーのモニターに使用できる3つ目のSDI出力を提供することでこの点を解決する。

また、CCP Liveは、タリーシステムGen.2と理想的に組み合わされるタリーインターフェースを提供し、コンパクトなホストモジュールをレンズの真下にマウントして、すっきりとしたカメラ構成にすることを可能にする。さらに、CCP LiveによりOB技術者はカメラメニューに迅速かつ簡単にアクセスできる。

ARRI CSSプロダクトマネージャーのカート・シャーラー氏は、次のようにコメントしている。

シャーラー氏:2023年のNABのブースでは、新しいタリーシステムGen.2とカメラコントロールパネルCCP Liveを展示できることを誇りに思います。両製品は、ARRIの映画的な美しさと耐久性のある機能を放送界に提供するという我々のコミットメントを反映しています。これらの製品は、ARRI CSS製品の放送ワークフローへの迅速かつ優れた統合を促進し、TRINITYおよびARTEMISスタビライザーをより幅広いプロダクションで利用できるようにします。また、ARRI マルチカムシステムをさらに発展させるとともに、サードパーティとの柔軟な互換性を確保しています。

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