Blackmagic Designは、3G-SDIからST 2110ベースのIP放送システムへの変換に対応したラックマウント式コンバーターの新製品「Blackmagic 2110 IP Converter 3x3G」を2023年6月より発売する。希望小売価格は税込84,980円。
Blackmagic 2110 IP Converter 3x3Gは、あらゆる3G-SDI機器をST 2110ベースのIP放送システムに統合するために設計されているという。ラックマウントデザインなので、機材ラックに設置して、変換を行う機器の隣に配置が可能。Universal Rack Shelfには最大3台のBlackmagic 2110 IP Converter 3x3Gを並べて設置できるため、1Uラックで合計9つの個別の入出力チャンネルを得ることができる。
さらに、イーサネットを介したリモート管理も可能。同じユニットで3G-SDIから、そして3G-SDIへの変換が同時に実行できるため、様々な種類の機器を扱える。必要な作業は、ライブプロダクションスイッチャー、ディスクレコーダー、再生サーバー、配信プロセッサーなどにBlackmagic 2110 IP Converter 3x3Gを追加するだけとしている。
複数の小型コンバーターを使用すると配線が乱雑になりがちだが、Blackmagic 2110 IP Converter 3x3Gはラックマウントでき、フロントパネルにLCDが搭載されているため、いつでも設定の変更をパネルから実行できるという。
フロントパネルのLCDでは、全入出力チャンネルのライブビデオをモニタリング可能。また、LCDはネットワーク診断ツールにも対応しているので、複雑なST 2110ベースのIP放送システムにおける問題を診断する手助けが可能。
ルーティングメニューも搭載しており、各3G-SDI出力のIPソースを選択でき、小さなルーターのように機能する。ファンによるアクティブ冷却を採用しているため、ラックに並べて設置しても高温になることはないという。また、ACとPoE+イーサネットで給電できるため、冗長性を得ることができるとしている。
Blackmagic 2110 IP Converter 3x3Gは、3つの3G-SDI出力、ループ出力に対応した3つの3G-SDI入力を搭載。さらに、10Gイーサネット接続は、3つの入力と3つの出力チャンネルを同時にサポートしている。各チャンネルは独立しているので、それぞれ完全に異なるビデオフォーマットを使用可能。各3G-SDI入力は再同期に対応しており、あらゆるSDIソースを接続でき、入力ビデオはST 2110のPTPクロックに自動的に再同期される。
また、リファレンス出力も搭載しているため、再同期を使用したくない場合は、外付けのSDI機器をST 2110のPTPクロックにロック可能。Blackmagic 2110 IP Converter 3x3Gは、100-240V AC電源に加え、10GイーサネットポートにPoE+を搭載しているため、電源ブリックは不要としている。
Blackmagic 2110 IP Converter 3x3Gは、IPビデオ規格であるSMPTE ST 2110に準拠している。SMPTE ST 2110は、IPネットワークを介して放送するビデオ、オーディオ、補助データの伝送、同期、定義を規定する規格だという。
また、SDI入力をPTPクロックに再同期が可能。あるいは、PTPクロックから生成されたリファレンス出力に外部機器をロックすることも可能。Blackmagic 2110 IP Converter 3x3Gは、SMPTE-2110-20の非圧縮ビデオ、SMPTE-2110-21のトラフィックシェーピング/タイミング、SMPTE-2110-30のオーディオ、SMPTE-2110-40の補助データに対応。さらに、マルチキャストにも対応。これは、ビデオ、オーディオ、補助データを単一のソースから複数の送信先に送信できる効率的な方法としている。
Blackmagic 2110 IP Converter 3x3GはNMOSインターフェース仕様に対応しているので、ST 2110ベースのIPビデオ機器すべてが一体となり、大きな仮想ルーターとして動作できる。また、Videohub Smart Control ProはNMOSコントローラーとして機能するため、ソースをST 2110ベースのIPネットワーク上の送信先にルーティング可能。NMOSインターフェース仕様は、IPネットワーク上でDeckLink IPなどのSMPTE 2110機器を見つけ、制御する方法を規定している。Blackmagic 2110 IP Converter 3x3Gは、IPビデオ機器の発見と登録に関するIS-04、IPビデオ機器間の接続を制御するIS-05に対応。従来型のSDIルーターのように、ソースと送信先を接続できるという。
複雑な放送システムに多数の機材が配備されている場合、機器のリモート管理は、問題の診断、設定の変更、ソフトウェアのアップグレードにおいて欠かせないという。Blackmagic Converter Utilityは無償でダウンロードでき、設定の変更やコンバーターのソフトウェアアップデートが可能。また、MacとWindowsの両方に対応している。ソフトウェアはフロントパネルのUSBポートに直接接続できる。リモート管理を行う際は、イーサネット接続およびIPネットワークを介して接続可能。これにより、大規模な施設でも1台のコンピューターからすべてのコンバーターのソフトウェアをアップデート可能。コンバーターが別の場所にある場合、これは非常に便利な機能だという。
Blackmagic 2110 IP Converter 3x3Gの3G-SDI接続は、SDおよびHD両方のビデオフォーマットをサポートしている。これにより、既存のSDI放送機器を新しいIPベースのインフラに接続できる。SDは、525i59.94および625i50の両方のフォーマットに対応。HDは、720p60までのあらゆる720pビデオ、1080i60までのあらゆる1080インターレースフォーマット、1080p60までのあらゆる1080pフォーマットをサポート。各コンバーターのチャンネルは、完全に独立して、新しいビデオフォーマットに瞬時に切り替わるので、複雑な切り替えは不要。3つの異なるビデオフォーマットを同時に使用できるという。
Blackmagic DesignのCEO、グラント・ペティ氏は次のようにコメントしている。
10Gイーサネットを搭載しているため、各コンバーターは合計3つの入力と3つの出力チャンネルに対応しています。つまり、ラックシェルフに3台設置すると、1Uラックで最大9つの独立した入出力チャンネルを使用できます。
SDIループ出力により、IPビデオを既存のSDIシステムに簡単に統合できるため、SDIとIPシステムを同時に使用できます!