Blackmagic Designによると、ソフトバンク株式会社(以下:ソフトバンク)が、VR配信サービス「VR SQUARE」で4K VRライブ配信をするために、Blackmagic DesignのATEM Constellation 8KライブプロダクションスイッチャーやTeranex Mini Converterなどの製品を活用し、配信ワークフローを構築し活用しているという。
ソフトバンクが提供するVR体験ができるアプリVR SQUAREは、スマートフォンから様々なVRコンテンツを楽しめ、人気アイドルのライブコンサート映像やオリジナルコンテンツ、舞台やスポーツなど様々なジャンルのコンテンツをVRで視聴できる。
同社サービス企画本部小山瑛二氏は、次のようにコメントしている。
小山氏:ソフトバンクのVRサービスVR SQUAREは、大容量通信を行う5G時代にふさわしいサービスを作ろうというコンセプトで始まりました。
ソフトバンクは、様々なライブパフォーマンスを行う劇場などと技術パートナーとして協業してVRライブ配信用のシステムを常設している。同システムでは、右目と左目用にそれぞれカメラやスイッチャーが使われ、それぞれの映像をスティッチングしてVR映像を作っている。
導入機材は、ATEMConstellation 8K、会場に設置している4Kカメラの出力を光ファイバーに変換するためのTeranex Mini HDMI to Optical 12Gおよび光ファイバーからSDIに変換しスイッチャーに接続するためのMini Converter Optical Fiber 12Gで、これらを1セットとして様々な会場で運用している。
小山氏:ソフトバンクでは秋葉原のAKB48劇場や福岡PayPayドームなどにこのシステムを常設しています。また、AKB48の大規模コンサートではこのシステムを可搬型にしたものを会場に持ち込んで運用しています。
常設の会場では、現場のスタッフが簡単に操作できるようにしています。右目と左目のカメラを同期させた状態でATEMスイッチャーに送り、スティッチング処理をしてサーバーに送出しています。これによりVR SQUAREアプリでVRライブ映像が視聴できます。
同社コンテンツ企画部コンテンツ推進課課長の五十嵐和夫氏は、次のようにコメントしている。
五十嵐氏:このVR配信のプロジェクトがスタートした頃は、長机を並べて10人くらいスタッフがいて、という形で行うことが多かったのですが、そのやり方だと数がこなせず。機材を毎回組み上げてバラして、という工程も大変なので何とかコンパクトにできないかと考えて今のスタイルになりました。
4K VRライブ配信をするためには、8K対応で入出力も十分にあるスイッチャーが必須でした。またコンパクトなシステムにしたいということもあって、大きなコントロールパネルを使うようなものでなく、19インチラックに収まってソフトウェアから操作できるようなものが良かったのです。ATEM Constellation 8Kはそれらの要件を満たし、さらに価格も手頃なのも大きなメリットでした。
毎年、VR SQUAREで膨大な数のコンテンツを配信しているソフトバンクは、ATEMスイッチャーの安定性も高く評価している。例えば、配信システムを常設しているAKB48劇場では毎月20公演ほど、アイドルグループAKB48の公演の配信を実施している他、日本武道館のような大型のコンサートホールでのコンサートを含め年間250以上の公演で配信を実施している。
小山氏:年間多くの配信を行なっていますが、ATEMスイッチャーはトラブルもなく非常に安定しています。
AKB48劇場では、カメラが舞台に据え置きになっているので、現場オペレーションを最小化し、リモートオペレーションを組み合わせて運用しています。配信開始前に現地の電源を入れてもらい、遠隔でオペレーターがサーバー上で映像を確認できるようにしています。基本的にはライブ配信の開始と終了をオペレーターが遠隔で操作するという感じで運用しています。
VR配信では、カメラは全て定点カメラで、通常の配信に必要なカメラワークやスイッチングの部分は視聴者の目線で行われるため自動化がしやすいという。
五十嵐氏:観客席の位置よりもずっと近くで撮影しているので臨場感もありますし、自分のお気に入りのメンバーにフォーカスしてライブを見るということも可能なので、満足度は高いようです。
現在は4Kでの配信ですが、VRの場合は実際に視聴者が見る部分は4Kの画像のうちの一部分なので、本当は8Kのような、さらに高解像度のものが適しています。そのクオリティを見据えたサービス開発をしていきたいですね。