Blackmagic Designによると、ロサンゼルスのTCLチャイニーズシアターにて開催される2023年ダンス・ウィズ・フィルムズ映画祭で初公開される短編映画「Black Maria」が、Blackmagic URSA Mini Pro 12Kデジタルフィルムカメラで撮影され、編集、グレーディング、VFX、オーディオポストプロダクション・ソフトウェアであるDaVinci Resolve Studioを用いて、グレーディングされたという。
現代のギャング映画である「Black Maria」は、地元のギャングの妻で、暴力好きな小悪党のアナ・モラレスを描いている。悪名高いアジェンデ兄弟が彼女の家の前に現れたことで、アナは夫の恐るべき真実と向き合うことになる。脚本/監督のマーカス・アルビーノ氏は、プロダクションスタジオCloak and Cauldronの共同設立者であるバーバラ・エステル・デヘスース氏と共に、オリジナルのストーリーを作り上げた。
当初から、制作チームはギャング映画の型にはまらない作品を目指していたという。
アルビーノ監督:私が描きたかったのは、異なるタイプの"強さ"です。暴力のための暴力ではなく、この世界の日の当たらない場所で良識を保ち続けるための絶え間ない奮闘です。
ブラッド・フリッゼル氏をプロデューサーに迎え、制作チームはシネマトグラファーの適任者を探すことになった。この役を任されたカイル・マコノヒー氏は、すぐにチームにインパクトを与えた。
アルビーノ監督:カイルの照明と構成のセンスは本当に素晴らしいです。彼は、大胆な赤と緑、強烈なクローズアップ、トラッキングショット、決定的瞬間を捉えるワイドショットなどを提案しました。また俳優に、じっくり時間をかけて役に没頭する機会を与えたんです。
フリッゼル氏にとって、Blackmagic Designカメラを使用することは当然の選択であった。
フリッゼル氏:Blackmagicのカメラで得られる解像度や品質は、特にこの価格帯のカメラでは、比類ないものです。プロジェクトの予算が少なくて自腹を切っている場合、最終的な作品のクオリティを犠牲にせずに節約できるお金は1ドルでも多い方が良いですよね。
マコノヒー氏もまた、Blackmagic Designカメラを使い慣れており、このプロジェクトでURSA Mini Pro 12Kを使いたいと考えていたという。
マコノヒー氏:これまでに何本かの劇場映画をBlackmagicカメラで撮影したのですが、カラーサイエンスがとても気に入っています。Blackmagicカメラは他のカメラと比べて、ハイライトを美しく保ち、空をきれいに撮影できるので、素晴らしいグレーディングを実現できます。
同作では、クラシックなスタイルの作品を目指したという。
アルビーノ監督:「ゴッドファーザー」に見られるような、1950年代から60年代のエレガンスな雰囲気と、現代の理想や理念を組み合わせたいと考えていました。
ザラついた画質を実現するため、1970年代のロシア製LOMO球面レンズで撮影することになったが、超高解像度とビンテージレンズの組み合わせにより、独特のスタイルが生まれた。
アルビーノ監督とマコノヒー氏は、最初はカメラを固定して、古い映画に見られるようなクラシックで静的なルックを計画していたが、すぐによりニュアンスのあるアプローチに切り替えた。
アルビーノ監督:私たちは、視聴者がすべての瞬間に没頭し、興味を保ちながら、一つの乱暴で暴力的な結論に至るようにしたかったんです。最初のシーンの最初のテイクを撮影した後、私はキッチンを見回し、カイルと私は何をするべきか確信しました。私たちは12Kカメラをリグから外し、カイルの肩の上に乗せました。その後、撮影期間の約半分の間、そのままのカイルが肩乗せで撮影を続けました。
カラーグレーディングに関して、アルビーノ監督とフリッゼル氏は、長年一緒に仕事をしているケーシー・メリル氏をチームに迎え、同氏はプロジェクトの核心に踏み込んだ。
メルリ氏:マーカスから連絡が来て、すぐに参加することを決めました。私たちはすぐに、ロケ地や設定、衣装、小道具、文化など、物語に登場するあらゆる小さなディテールについて話し合いを始めました。私たちは、現代の犯罪一家にスポットライトを当て、強い母権制の存在や人身売買が彼らのビジネスの汚点になっていることに焦点を置きました。
メルリ氏は、10年前にサンフランシスコのアカデミー・オブ・アート大学に在籍していた頃からDaVinci Resolveを使用していた。
メルリ氏:DaVinci Resolveは、ユーザーインターフェースが素晴らしいですね。私のバックグラウンドはグラフィックデザインなのですが、他のグレーディングソフトよりも、設計時にシンプルさが考慮されている点で、DaVinci Resolveのインターフェースが気に入っています。DaVinci Resolveのインターフェースには様々な機能がありますが、各セクションにグリッドと必要なトグルがあり、目への負担や気を散らすものが少ない繊細な設計になっています。
「Black Maria」では、最終的なルックに行き着くまでに何度かグレーディングをやり直す必要があった。
メルリ氏:「Black Maria」は、グレーディングだけで何日もかかっています。最初のグレーディングは、暗くてムーディーすぎました。壁、服、髪の質感が影に埋もれてしまっていたので、様々なデバイスで視聴するには、もう少し明るさが必要だと全員が感じていました。そこで、黒や中間色をかなり調整して戻したのですが、今度は明るくなりすぎてしまいました。作品に適した全体のムードを保ちつつ、影のディテールが見える明るさを保つという、このバランス調整が難しかったですね。3回目のグレーディングで、完璧なバランスにたどり着くことができました。このグレーディングをチームに投げたところ、全員から賛同を得ました。
メルリ氏は、あるシーンをとても気に入っているとしている。
メルリ氏:終盤のコーヒーテーブルを囲んだシーケンスです。登場人物間の会話、笑い、ボディランゲージが、彼らのストーリーにおけるそれぞれの到達点を示しています。このシーンは非常に上手く機能していると思います。また、終盤のシーンでは、新聞に現在上映中の映画のコーナーがあり、そこに私たちがかつてグループで取り組んだプロジェクトの映画ポスターを載せました。ノスタルジーをこっそりと詰め込んだ遊び心です。これで作品がより特別なものになりました。
アルビーノ氏によると、Blackmagic Designワークフローを採用したことは、力強い選択であった。
アルビーノ監督:現代の市場には、インディーズの映像制作者用のカメラやポストプロダクションソフトウェアが溢れかえっています。この作品は、私やチーム全体にとって、品質とできることの範囲を大きく飛躍させてくれました。自分ではコントロールできない要因があったとしても、Blackmagic Design製品なら、ペースの速い環境において、私たちが求める美的感覚に最も適した高品質の映像を得られると確信していました。また、DaVinci Resolve Studioは、現在のビジネスにおける垂直統合の最良の例だと思います。振り返ってみると、数々の作品がそれを物語っていると思います。