Blackmagic Design導入事例:A24劇場映画「Showing Up」の場合

Blackmagic Designによると、制作・ポストプロダクションスタジオであるHARBORのカラリスト、エイドリアン・シーリー氏がA24劇場映画「Showing Up」のグレーディングに、編集、グレーディング、VFX、オーディオポストプロダクション・ソフトウェアであるDaVinci Resolve Studioを使用したという。

同劇場映画は、展覧会を目前に控えた彫刻家のリジー(ミシェル・ウィリアムズ)が、アーティストとしての創造性を実現させることと家族や友人との関係を両立させ、日々の問題をこなしていく姿を描いている。

Blackmagic Design導入事例:A24劇場映画「Showing Up」の場合

2020年の「ファースト・カウ」で監督のケリー・ライヒャルトと撮影監督のクリストファー・ブローヴェルトと仕事をしたことがあったシーリー氏は、同作のグレーディングにおいて適任者だった。

シーリー氏は、次のようにコメントしている。

シーリー氏:ケリーとクリストファーと再び仕事ができて良かったです。本作は芸術を面白おかしく描いた作品です。

全体的に、控えめでクリーミーな明るいルックにし、フィルムグレインを追加して仕上げました。

シーリー氏はニューヨーク市、ライヒャルトとブローヴェルトはロサンゼルスに拠点を置いているため、リモートグレーディングで作業が進められたのだが、その点でDaVinci Resolve Studioの安定性に助けられたという。

シーリー氏:西海岸のロサンゼルスとは反対の東海岸にある自宅で本作のグレーディングを行ったので、Resolveの全体的な安定性の高さは助けになりました。

DaVinci Resolve Mini Panelを使用したのですが、本当に素晴らしいですね。文句のつけ所がありません。同時に複数のPower Windowをトラッキングする必要がある難しいシーンがいくつかあったのですが、Resolveのおかげでリモートでありながら楽に作業を行うことができました。

Blackmagic Design導入事例:A24劇場映画「Showing Up」の場合

シーリー氏:リモートでグレーディングを行ったので、マスターバージョンは投影用のDCI P3ではなくRec.709でした。

制作スタッフがプロジェクターで作品を観るために来たのですが、カラーサイエンス部門のマット・トムリンソンのおかげで、グレードは極めて精度が高く、映写用の大画面に完璧に変換されました。次にHDRに変換したのですが、主にハイライトを1~2箇所調整しただけで済みました。

同作のグレーディングにおけるチャレンジはリモートのワークフローだけではなかった。シーリー氏は、撮影において監督も撮影監督も、視覚面および技術面で抜け目なく、的確な撮影を行ったと語る。

シーリー氏:このように洞察力の高い人たちと働けて本当にラッキーだと思います。可能な限り、セットでカメラを通して、ビジョンが正確に表現されていました。

例えば、展覧会の初日のシーンは難しいものでしたが、やりがいのあるシーンの一つでした。ギャラリーの正面と後部に窓があり、カメラのアングルは両方からで、強い太陽光が差し込んだり、消えたりしていました。また、シーンの最後は、通りからギャラリー内を映す屋外のショットなのですが、1日の終わりなので明るさが異なっている必要がありました。登場人物たちが歩道に出ると、日没に近づいています。そういったことから、シーン全体にわたって色温度を徐々に変えることで、シーンの最後で時間が突如進んだかのように見えないようにしました。

グレーディングにおいては、このような楽しいチャレンジがありましたが、全体的に言って、ケリーとクリストファーのおかげで仕事が楽にできました。二人とも面白く、賢く、才能に溢れています。二人とも当初は遠隔からの作業について懐疑的でしたが、本作の制作全体を通して、離れていても二人と非常に良い関係を築くことができました。私は1988年からDaVinciでグレーディングを行っているのですが、それも役立ったと思います。DaVinciには信頼を置いています。

Blackmagic Design導入事例:A24劇場映画「Showing Up」の場合