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共同プロジェクト「メタバース プロダクション」は、dentsu Japanと協働で、CMやテレビ番組などの映像制作におけるCO2排出量を緻密に算出するカリキュレーター「Carbon Calculator for Movie Production」(カーボン・カリキュレーター・フォー・ムービー・プロダクション)を国内で初めて開発、テスト運用を開始した。

メタバース プロダクションは、テクノロジーを駆使し、映像制作における温室効果ガス削減とプロセス効率化を目指すプロジェクト。

同カリキュレーターの活用により、従来手法で撮影した場合と、環境負荷軽減に貢献する撮影手法であるバーチャルプロダクション(インカメラVFX)で撮影した場合のCO2排出量を算定、比較でき。2023年10月の本格運用開始を目指し、顧客企業にCO2排出量算定レポートを提供することで脱炭素アクションを支援するとともにバーチャルプロダクション撮影の普及に取り組むとしている。

なお、同カリキュレーターに関する取り組みの詳細については、2023年8月3日(木)、9日(水)に開催される日経BP主催オンラインカンファレンス「バーチャルプロダクション Days + 2023」内のセッションにて、テスト運用の動向やシミュレーション計測結果を含めて紹介するという。

開発背景

企業においては2050年カーボンニュートラル実現に向け、気候変動対策を考慮した経営への移行、脱炭素へ向けた取り組みが求められている。国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)が開催された英国では、広告業界3団体の主導による「アド・ネットゼロ」(温室効果ガス排出量を実質ゼロにすること)の取り組みが2020年11月よりスタートしている。

欧米の放送業界や広告業界では、すでにCO2排出量を算出するカリキュレーターの運用が定着しており、世界三大広告賞と称されるカンヌライオンズでは2023年から応募企業に対しCO2排出量測定が任意で求められ始めている。

一方、日本においては映像制作の在り方や排出係数、習慣、言語が欧米と異なるため、日本版の映像制作向けCO2排出量カリキュレーターの開発が急務だった。

Carbon Calculator for Movie Productionについて

企画から原版納品まで、映像制作ワークフローの実測値を収集し、CO2排出量を緻密に、実施ベースで算出するツール。「企画」「制作準備~撮影」「ポストプロダクション~仕上げ」の各フェーズでCO2が排出される要素を棚卸し、シンプルなインターフェースのExcelに排出要因となる数値を入力することで、映像制作におけるCO2排出量として自動算定できる。

同カリキュレーターは、企業のサプライチェーン温室効果ガス排出量の算定支援を行う株式会社ウェイストボックスと連携・開発した。英国の国際認証機関LRQAリミテッドによるISO14064‐3:2019およびISAE3000等を参照したLRQAリミテッド基準で第三者による適合性の確認を実施し、映像制作サプライチェーンにおけるCO2排出量の算定方法、算定範囲、排出原単位、係数などに関する適合性評価を受けているという。

主な特長

  • 国産の映像制作カーボンカリキュレーター。日本独自の排出係数を使用し、業界習慣を反映する
  • 各制作フェーズにおけるCO2削減手段を推奨し、削減効果を客観的に数値化
  • 制作スケジュールから予測値を入力できる機能を実装し、事前に削減方針を比較検討が可能
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LRQAリミテッドによる評価概要

評価対象 CO2排出量算定システム「映像制作に関わるCO2排出量のカリキュレーター」
対象項目 算定方法、算定範囲、原単位、係数、算定の活動、データの収集方法、プログラム
評価に適用した基準 ISO14064‐3:2019およびISAE3000等を参照したLRQAリミテッド基準
LRQAによる声明書発行日 2022年12月28日

今後の展望

現在、複数の広告映像制作案件にてテスト運用を実施するとともに、同カリキュレーターを用いてCO2排出量を算定する人材(サスティナビリティ・プロダクション・マネージャー)を育成しており、本格運用開始時にはあらゆる企業の皆様に同カリキュレーターを使用してもらえるよう、運用体制を整えているという。将来的には、現在のExcel版からウェブ版、アプリ版へと発展させ、映像制作業界での同カリキュレーター使用が常態化することを目指している。

メタバース プロダクションが提供している大型LEDディスプレイ常設スタジオ「studio PX」や大型LEDディスプレイを用いた「インカメラVFX撮影」、LEDディスプレイに投影する「背景3DCGアセット」などのPXサービスと掛け合わせ、日本国内の映像制作におけるCO2排出量評価制度を確立するとともに、2050年カーボンニュートラルの実現に貢献していくとしている。