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©Jean-Marie Hosatte

Blackmagic Designによると、ストップ・モーションの劇場映画「The Inventor」のグレーディングにDaVinci Resolve Studio、ポストプロダクションのその他の要素の合成にFusion Studioを使用して、レオナルド・ダ・ヴィンチの生涯を描く物語に命を吹き込んだという。

アカデミー賞ノミネート歴のある脚本家であるジム・カポビアンコ氏が共同執筆と監督を務めた「The Inventor」はストップ・モーションとアニメを組み合わせた作品で、スティーヴン・フライ、デイジー・リドリー、マリオン・コティヤール、マット・ベリーなど、多数の著名人が出演している。

本作を創案したカポビアンコ氏は、この壮大なプロジェクトを実現する上で重要な役割を果たした。元より同氏はレオナルド・ダ・ヴィンチに対して深い尊敬心を抱いており、それが劇場映画のコンセプトとして発展していったという。制作における完璧なパートナーを求めていた同氏は、プロジェクトに対する新しい視点が必要だと考え、フランスの独立アニメスタジオであるFoliascopeに連絡を取った。

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同社のCEOであるイラン・ウロズ氏と制作スタッフは、ダ・ヴィンチの生涯を忠実に再現するために入念なリサーチを行った。詳細なアーカイブとダ・ヴィンチ自身による絵画に基づいて、セット、機械仕掛け、服飾品などが作成された。ストップモーションとアニメを組み合わせた同作の中心であるパペットは、細心の注意を払ってデザインと製作が行われた。

ウロズ氏は次のようにコメントしている。

ウロズ氏:このような複雑で規模の大きな作品は、多くの時間とお金を要します。プロジェクトによっては24カ月を超え、その期間中は制作とポストプロダクションの複数の段階が同時進行し、オフラインとオンラインのフォーマットが混合しています。そういった作業では、複数のコラボレーターと作業を共有する必要があります。

物語を伝えるために、様々なテクニックを組み合わせるのですが、DaVinci Resolve Studioはそれを手助けしてくれています。

同社ではOpenEXRおよびACESカラーマネージメントを基盤としたパイプラインを用いており、これにより撮影セットからの手を加えていないイメージをDaVinci Resolve StudioおよびFusion Studioと互換性のあるフォーマットに変換できるため、ポストプロダクションで高い柔軟性が得られる。

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DaVinci Resolve Studioは、ストップモーションの編集のあらゆる側面を単一のソフトウェアで扱えるため、複数のアプリケーション間でのラウンドトリップを行う必要がない。これにより、同社は制作を通して、編集、VFX、カラーグレーディング、音響、書き出しを同時進行できたため、作業を高速化し、より効率的に行えたという。

Foliascopeのアートディレクター兼エディターのニコラス・フロリー氏は、次のようにコメントしている。

フロリー氏:編集を作り上げるにあたって、DaVinci Resolveは多大な役割を果たしました。本作におけるゴールは、ストップモーションとアニメを組み合わせることだったので、この二つの撮影技術と互いの関係を統合するスケジュールを練る必要がありました。

また、同社はDaVinci Resolve StudioのFairlightツールでオーディオのミキシングとマスタリングも行った。これには、会話、フォーリー、アレックス・マンデル氏によるオリジナルサウンドトラックも含まれた。

カポビアンコ氏:レオナルド・ダ・ヴィンチの世界を描くにあたっては、CGではなく、人の手により作成されたり、描かれたものを使用したいと最初から考えていました。個人的には、これこそダ・ヴィンチだと感じました。

しかし、少ない予算でストップモーションを使用することは、コスト面を意識しつつ、チャーミングで興味をそそる方法で制作する必要がありました。ダ・ヴィンチ自身がそうであるように、本作のスタイルは適切で、時間を感じさせないものに仕上がったと思います。

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