Blackmagic Designは、DaVinci Resolve 19を発表した。DaVinci Resolve 19パブリックベータは、本日よりBlackmagic Designウェブサイトからダウンロード可能。
DaVinci Resolve 19は、パワフルなDaVinci Neural Engine AIツールと100種類を超えるアップグレードを新たに追加。エディターは、文字起こしされたオーディオを使用して話者を特定し、タイムラインクリップを編集可能。カラリストは、ColorSliceの6ベクトル・パレットを使用してフィルムのようにリッチなトーンを生み出せる。
新機能のフィルムルック・クリエイター・エフェクトでは、フィルムの測光処理をエミュレートしてシネマライクなイメージを生成可能。Fairlightでは、IntelliTrack AIを使用して動きをトラッキングし、オーディオを自動的にパン可能。Fusionで作業するVFXアーティストは、拡張されたUSDツールセットおよび新しいマルチポリ・ロトスコーピング・ツールを使用できる。カットページは、マルチカム生放送の編集、再生、速度コントロール可能なリプレイに対応した新しい放送リプレイツールを搭載。
大規模な企業では、Blackmagic Cloudの新しいOrganizationsアプリを使用して、1つの組織または会社を定義できる。グループやチームを作成し、プロジェクトをグループ全体ですばやく共有でき、個別に共有する必要はない。ストレージへのアクセスの管理、Presentationsの共有、シングルサインオンの作成も可能。また、DaVinci Resolve Studioライセンスの購入またはレンタルも可能。これにより、企業は大規模なグループ内でのライセンスの割り当てと管理が容易になる。ライセンス費は特定のプロジェクトに対して支払うことができ、完了したらライセンスを削除できる。
エディターは、文字起こしワークフローが向上したことで、文字起こしされたテキストに基づいて、クリップをタイムラインで直接編集できるようになった。アナライザーは複数の声を検出できるため、話者ごとに名前を割り当てることで、より詳細なテキストベースの検索やテキストの置き換え操作が可能。
カットページは、ライブカメラの収録をリアルタイムで選択できる機能をサポートしたため、瞬時にリプレイをオンエアでき、スローモーションやスティンガーを追加することもできる。新しいマルチソースビューアは、すべてのライブカメラ映像、または共通のタイムコードを持つクリップだけを、単一のマルチビュースクリーンに表示可能。ショットをスクラブ、再生、選択し、タイムラインに追加またはオンエアできる。あらゆるアングルにライブで切り替えることも可能。ライブカメラまたはクリップのマルチビューを見ていて、重要な事象が発生したら、その瞬間を関心ポイント(POI)マーカーで即座にキャプチャーできる。POIマーカーは同じタイムコードの位置ですべてのクリップに追加されるので、全カメラアングルでその事象をすばやく見つけてオンエアしたり、ハイライト部分をまとめたタイムラインを自動構築したりできる。
テレビの生放送はペースが速いので、カットページの新しいリプレイパレットコントロールは、明瞭かつナビゲートしやすい設計になっている。1つのキーでPOIを設定し、カメラを選択して事象をキューに入れたら、再生を選択するだけでATEM経由で自動的にオンエア可能。カメラを切り替えることもでき、終わったら再生領域を削除して、次のリプレイに備えることもできる。新しいスティンガートランジションは、動くグラフィックおよびサウンドトランジションで、プログラムがライブからリプレイに切り替わったことや、その後戻ったこと、または新しいシーンに切り替わったことを視聴者に知らせることが可能。これは、カメラの収録中に、複数のカメラをライブで確認してタイムラインに編集する最速の方法としている。
UltraNRは、カラーページの空間的ノイズ除去パレットに搭載されたDaVinci Neural Engineによる新しいノイズ除去モード。カラリストはこれを使用して、イメージの明瞭さを維持したまま、フレーム内のデジタルノイズを劇的に低減可能。時間的ノイズ除去と併用することで、動きのあるイメージからより効果的にノイズを除去できる。新しいフィルムルック・クリエイターでは、ハレーション、ブルーム、グレイン、フリッカー、蛇行、ビネットなどのシネマライクなルックを追加可能。カラリストは、露出をストップ単位で調整し、減法混色による彩度、深み、スプリットトーンのコントロールを使用して、通常は映画でしか見られないようなルックを実現できる。
新しいColorSliceの6ベクトル・グレーディングパレットでは、減法混色を用いてイメージの色濃度、彩度、色相を調整することで、リッチでフィルムライクなカラーおよびルックが得られる。カスタマイズ可能な各ベクトルスライスのパラメーターを使用すれば、カラリストはスピルなしで色を強めたり濃くしたりして、自然で美しいルックを作成できる。
Fusionページでは、VFXアーティストはuVolumeを使用して、ボリューメトリックVDBファイルをFusionに直接読み込めるので、時間のかかる変換作業が不要になる。煙、炎、雲、爆発などのエフェクトを読み込んで、クリエイティブにコントロール可能。VDBファイルの濃度、温度、カラーパラメーターを、DaVinciで完全にコントロールできる。新しいマルチポリ・ツールは、すべてのVFXアーティストのマスクを単一のリストに表示するので、ノード間の切り替えが不要になり、より高速で正確なロトスコーピングが可能になる。複雑なプロジェクトに最適で、特定のシェイプを表示、選択、追加、修正でき、それらの可視性を切り替えて一箇所からすべてのパラメーターを調整できる。
新しいIntelliTrack AIは、DaVinci Neural Engineで駆動される。Fairlightで使用することも可能で、2Dまたは3D空間で動く人物またはオブジェクトをトラッキングすることで、正確なオーディオパンを自動的に生成可能。ビデオを追跡するAIオーディオパンで、シーン内の複数の人物をすばやくパンし、それぞれの声の位置をミキシング環境でコントロールできる。AIベースの会話セパレーターFXでは、背景音や部屋の残響音に対して会話音声のバランスを調整可能。声、背景音、環境音をコントロールできるので、競合するサウンドを低減、リミックス、削除できる。野外録音や騒がしい環境のインタビュー音声に最適としている。
ダッカートラックFXは、特定のトラックに基づいて他のトラックのレベルを自動調整する。複雑なサイドチェイン圧縮や自動カーブの設定は不要。会話音声がある際に、音楽や背景ノイズが下がるように自動設定でき、高度なコントロールでオーディオミックスを微調整できる。音楽リミキサートラックFXでは、番組のスタイルに合わせて音楽を調整可能。ボーカル、ドラム、ベース、ギターなどのミュートおよびレベルを調整できる。ボーカル曲をインストゥルメンタルに変えたり、変更を自動化したり、音楽ミックスで特定の楽器に焦点を合わせたりすることも可能。
アンビソニック・サラウンド・サウンドは、新しい球体フォーマットで、オーディオエンジニアは全天球サウンドトラックの収録、ミキシング、モニタリング、書き出しを行える。1〜5次のバスとトラック、ネイティブ・エフェクト処理、2D&3Dの球体パンニング、バイノーラルおよびチャンネルベースのモニタリング、動的なビューア内メーター、ヘッドトラッキングのサポートなどが、Fairilightのネイティブ・オペレーションとして完全に統合。
Blackmagic DesignのCEO、グラント・ペティ氏は次のようにコメントしている。
これはエキサイティングなリリースで、ハイエンドのデジタルフィルム制作者のために設計したツールが追加され、大規模なユーザーのためにBlackmagic Cloudも統合されました。新しいIntelliTrack AIは、DaVinci Neural Engineで駆動され、カラーページおよびFusionページのトラッキングとスタビライゼーション、Fairlightページのオーディオパンを最適化します。カラリスト用の新しいグレーディングパレット、新しいResolveFX、強化されたUSDツール、VFX用のマルチポリ・ロトスコーピング、新しいAIを用いたFairlightFXに加えて、生放送でデジタルフィルム品質を使用できるようになる新ツールもあります。非常にエキサイティングで、ユーザーの皆様がこれらの素晴らしい新機能をどのように使用されるか大変楽しみです。
DaVinci Resolve 19は、NAB 2024のBlackmagic Designブース(#SL5005)にて展示される。