株式会社コルグは、インターネット動画配信システム「Live Extreme」の最新となるVersion 1.13をリリースした。
コルグが2020年9月に発表したインターネット動画配信システム「Live Extreme」は、オーディオ・クロックを配信システムの軸とした「オーディオ・ファースト思想」や、ロスレス/ハイレゾ・オーディオに対応した高い音質が好評だという。
これまでに150公演ものコンサートやイベントの配信に採用されてきた。また、昨今は新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の流行が落ち着き、有観客イベントが復活しつつあることから、ライブ・ビューイング・イベントの音質や画質の向上を求める声が高まりつつある。
Live Extremeは、高音質・高画質という特長を活かして、これまでも数々のライブ・ビューイング・イベントに活用されており、2024年2月2日に開催された「Yamaha Presents WONK x Distance Viewing」では「ヤマハ銀座スタジオ」から「グレースバリ銀座店」に、4K映像と48kHz/24bitのロスレス音声信号が伝送され、ライブ会場に迫る映像、音、空間演出の迫力をそのまま遠隔地に届けることに成功したという。
ライブ・ビューイング・イベントにおいては、収録会場と視聴会場の音響特性が異なることから、収録会場のPAミックス(ステレオ)を伝送するのではなく、楽器ごとのステム信号を伝送し、視聴会場でミックスし直した方が良い結果が得られるという。前述のイベントでは、FLACの限界である8チャンネル(うち1チャンネルはヤマハ新開発の「GPAP」に収録された照明データ、残りは楽器ごとのステム・ミックス)で伝送されたが、より多くのチャンネルを伝送できれば更に品質を向上できると考えられるとしている。
非圧縮PCM(最大192kHz/24bit x 16ch)の音声伝送に対応
Live Extreme Encoder v1.13では、エンコーダーへの入力チャンネル数が最大12chから16chに拡張されたほか、音声コーデックとして新たに非圧縮PCMでの配信に対応した。これにより、最大192kHz/24bit×16chの音声伝送が可能になる。
この音声を再生できるデバイスは限られているため、家庭向けの配信には不向きだが、ライブ・ビューイングやインスタレーションにおけるステム・ミックスや立体音響の伝送に最適だとしている。
AURO-3Dの対応フォーマット追加
AURO-3D特有のトップ・スピーカーを含む、AURO 10.1(5.1+4H+1T)、AURO 11.1(5.1+5H+1T)、AURO 13.1(7.1+5H+1T)のエンコードに対応。また内蔵HPLエンコーダーでも、これらのスピーカー配置に対応した。
レコードのダイレクト・カッティング向け機能追加
Live Extreme Encoder内でレコード・カッティング用のアドバンス信号を生成して配信できるようになった。これにより、収録会場とカッティング・スタジオの拠点間伝送に、Live Extremeの高音質配信技術(最大PCM 384kHz/24bit、DSD 5.6MHz)を利用できるようになった。
低速回線での配信安定性向上
ネットワーク・バッファ量やマニフェスト・ファイルのアップロード・タイミング等を最適化することにより、配信現場のインターネット回線が不安定な場合でも、途切れのない配信を実現できるようになった。
Live Extreme Encoderの音声仕様比較
仕様 | version 1.12 | version 1.13 |
最大入力チャンネル数 | 12ch | 16ch |
最大配信チャンネル数 | 5.1ch(Apple Lossless) 7.1ch(FLAC) 11.1ch(Auro Codec) |
5.1ch(Apple Lossless) 7.1ch(FLAC) 13.1ch(Auro Codec) 16ch(非圧縮PCM) |
AURO-3Dフォーマット | <最大96kHz> AURO 9.1(5.1+4H) AURO 11.1(7.1+4H) |
<最大96kHz> AURO 9.1(5.1+4H) AURO 11.1(7.1+4H) |
<最大48kHz> AURO 10.1(5.1+4H+1T) AURO 11.1(5.1+5H+1T) AURO 13.1(7.1+5H+1T) |
||
HPL | HPL11(7.1+4H)まで | HPL13(7.1+5H+1T)まで |
レコード・カッティング用 アドバンス信号生成機能 |
― | 1.1秒(33rpm) 0.9秒(45rpm) |
ネットワーク・バッファ量 | 最大40秒(実効値) | 最大300秒 |