Blackmagic Designは、DaVinci Resolve 19ベータ3が、Windows用のQualcommの新しいオールインワンCPU、NPU、GPUプロセッサーであるSnapdragon X Eliteをサポートしたことを発表した。Snapdragon X Eliteを搭載したARM版Windows用のDaVinci Resolve 19パブリックベータ3は、同社ウェブサイトからダウンロード可能。
DaVinci Resolveは、DaVinci Neural AI Engineのパフォーマンスを最適化するよう微調整されており、NPUアクセラレーションにより、この新しいプロセッサーを搭載したコンピューターで、Magic MaskなどのAIツールのパフォーマンスが最大で4.7倍、スマートリフレームのパフォーマンスが2倍に高速化する。
パワフルなDaVinci Neural Engine AIツールと100種類を超える機能アップグレードが新たにDaVinci Resolve 19に追加され、Snapdragon X Eliteプロセッサーでフルサポートされる。カラリストはColorSlice 6ベクトル・パレットでフィルムのようにリッチなトーンを生み出すことができ、UltraNRはカラーページの空間的ノイズ除去パレットにさらなるノイズ除去モードを追加する。
新しいIntelliTrack AIは、カラーページおよびFusionページのトラッキングとスタビライゼーションを最適化し、Fairlightページでは、IntelliTrackは動きのトラッキングを行い、オーディオの自動パンに使用できる。エディターは、文字起こしされたオーディオを使用して話者を特定し、タイムラインクリップを編集できる。
UltraNRは、カラーページの空間的ノイズ除去パレットに搭載されたDaVinci Neural Engineによる新しいノイズ除去モードだ。カラリストはこれを使用して、イメージの明瞭さを維持したまま、フレーム内のデジタルノイズを劇的に低減可能。UltraNRと時間的ノイズ除去を併用することで、動きのあるイメージからより効果的にノイズを除去できる。
フィルムルック・クリエイターFXでは、ハレーション、ブルーム、グレイン、フリッカー、蛇行、ビネットなどのシネマライクなルックを追加可能。カラリストは、露出をストップ単位で調整し、減法混色による彩度、深み、スプリットトーンのコントロールを使用して、通常は映画でしか見られないようなルックを実現できる。
DaVinci Resolve19でリリースされた新しいIntelliTrack AIは、DaVinci Neural Engineで駆動され、カラーページおよびFusionページのトラッキングとスタビライゼーションを最適化する。Fairlightで使用することも可能で、2Dまたは3D空間で動く人物またはオブジェクトをトラッキングすることで、正確なオーディオパンを自動的に生成可能。ビデオを追跡するAIオーディオパンで、シーン内の複数の人物をすばやくパンし、それぞれの声の位置をミキシング環境でコントロールできる。
AIベースの会話セパレーターFXでは、背景音や部屋の残響音に対して会話音声のバランスを調整可能。声、背景音、環境音をコントロールできるので、競合するサウンドを低減、リミックス、削除できる。野外録音や騒がしい環境のインタビュー音声に最適だ。
ダッカートラックFXは、特定のトラックに基づいて他のトラックのレベルを自動調整する。複雑なサイドチェイン圧縮やオートメーションカーブの設定は不要。会話音声がある際に、音楽や背景ノイズが下がるように自動設定して、高度なコントロールでオーディオミックスを微調整できる。
音楽リミキサートラックFXでは、番組のスタイルに合わせて音楽を調整可能だ。ボーカル、ドラム、ベース、ギターなどのミュートおよびレベルを調整できる。ボーカル曲をインストゥルメンタルに変えたり、変更を自動化したり、音楽ミックスで特定の楽器に焦点を合わせたりすることも可能だ。
また、DaVinci Neural Engineにより、文字起こしのAIワークフローも向上し、文字起こしされたテキストに基づいて、クリップをタイムラインで直接編集できる。AIによる音声テキスト化の機能を使用すると、選択したクリップが自動的に文字起こしされる。
DaVinci Resolve19では、アナライザーは複数の声を検出できるため、話者ごとに名前を割り当てることで、より詳細なテキストベースの検索やテキストの置き換え操作が可能。イン点/アウト点をマークして、テキストを編集および削除でき、これらの変更はタイムライン上の編集として反映される。サブクリップの生成、マーカーの追加、会話がない部分の削除なども可能。
DaVinci Resolve19のColorSlice 6ベクトル・グレーディングパレットでは、減法混色を用いてイメージの色濃度、彩度、色相を調整することで、リッチでフィルムライクなカラーおよびルックが得られる。カスタマイズ可能な各ベクトルスライスのパラメーターを使用すれば、カラリストはスピルなしで色を強めたり濃くしたりして、自然で美しいルックを作成可能だ。
Blackmagic Design CEOであるグラント・ペティ氏は、次のようにコメントしている。
ペティ氏:ユーザーの皆様が、当社のAIプロセスに最適化された、Snapdragon X EliteおよびWindowsで動作する長寿命バッテリーを搭載した軽量なマシンで、クリエイティブな仕事ができるようになることを嬉しく思います。ユーザーの皆様が、この新しいコンピューターや新世代の性能をどのように活用するのか、楽しみにしています。
DaVinci Resolve 19の機能
- WindowsでQualcommSnapdragon X Eliteのサポートを追加
- IntelliTrack AIポイントトラッカー。トラッキングおよびスタビライゼーション用
- タイムラインのコンテンツをソースクリップの文字起こしに基づいて編集
- 新しいColorSliceの6ベクトル・グレーディングパレット
- AI駆動のUltraNRノイズ除去による空間的ノイズ除去
- 新しいフィルムルック・クリエイターResolveFX
- 新しい後景デフォーカスで前景をブラーで分離
- Fairlightページでビデオを追跡するIntelliTrack駆動のオーディオパン
- 音楽リミキサーFXで、ボーカル、ドラム、ベース、ギターおよび他のソースをリミックス
- 会話セパレーターFXで、会話音声、背景音、環境音を分離
- ダッカートラックFXで、会話音声に対してベッドトラックのレベルを自動管理