ニコンの子会社、ニコンイメージングジャパンは「ニコン Z マウント」を採用したフルサイズ/FXフォーマットミラーレスカメラ「ニコン Z6III」を2024年7月12日に発売する。希望小売価格はオープン。ニコン公式ストアの価格は税込435,600円。
「Z6III」は、「ニコン Z シリーズ」のフラッグシップモデル「ニコン Z9」(2021年12月発売)や、「ニコン Z8」(2023年5月発売)と同等の高い性能や操作性を継承しながら、独自の最新機能を搭載した有効画素数2450万画素モデル。世界初の部分積層型CMOSセンサーと「Z9」「Z8」と同じ画像処理エンジン「EXPEED 7」の採用により、動く被写体の捕捉性能の向上や、多様な映像制作のニーズに応える動画撮影機能を実現。フラッグシップモデルを上回る明るさ、解像度、広色域を実現した電子ビューファインダー(EVF)をはじめ、最新の機能・性能を惜しみなく搭載している。
さらに、新サービス「Nikon Imaging Cloud」との連携で、ユーザーの映像表現の幅を拡げる新機能「イメージングレシピ」や撮影画像の他社クラウドサービスへの自動転送にも対応し、利便性や楽しみ方が拡大。充実した機能・性能により、多彩な映像表現に挑戦したいクリエイターはもちろん、プロフェッショナルフォトグラファーによる本格的な撮影もサポートするという。
主な特長
世界初、部分積層型CMOSセンサーが実現する高い撮影性能
イメージセンサーの上下の積層部に高速処理回路を多数配置した、世界初の部分積層型CMOSセンサーを採用。この新センサーによる高速読み出しと、「Z9」「Z8」と同じ高速画像処理エンジン「EXPEED 7」により、シャッターボタンの全押しから最大1秒間遡って記録ができる「プリキャプチャー」では、最高120コマ/秒(C120)で撮影できるほか、60コマ/秒(C60)ではフルサイズで「Z9」「Z8」よりも高画素の約24メガピクセルでの撮影が可能。
さらに、20コマ/秒の高速連続撮影時にはEVFの表示とびを抑え、被写体の動きを滑らかに確認できる。これにより、走る野生動物や飛んでいる野鳥などの決定的瞬間を捉えやすくなるという。
動画制作の自由度を高める6K動画撮影
高速読み出しが可能となった新CMOSセンサーの採用により、4K動画制作用の素材としても柔軟に活用できる12bit 6K N-RAW/ProRes RAW HQの内部記録と10bit 5.4K ProRes 422/H.265動画の撮影を実現。4K動画や需要の高まるスマートフォン向けフルHD縦型動画制作の際にも、トリミングやズーミング、トラッキング、ブレ補正などが可能になり、編集の自由度が上がるという。
また4K UHDは6Kからのオーバーサンプリングにより、高精細な動画を作成可能なほか、小型ボディでありながら効率のよい放熱設計と動画撮影時の省電力化により、4K UHD/60pで最長125分の動画撮影が可能。さらに、10bit フルHD/240p H.265での撮影が可能となり、最大10倍の印象的なスロー動画制作も行えるなど、高い動画性能・機能により動画制作における自由度を高めている。
撮影に没頭できる高輝度、高解像、広色域対応のEVF
EVFは「Z9」「Z8」を超える明るさの4000cd/m2に対応し、屋外の極めて明るいシーンでも黒つぶれしにくく見やすいファインダー像を実現。ニコン史上最高の576万ドットの高い解像度を実現しているほか、ミラーレスカメラ史上初となるデジタルシネマ向け規格「DCI-P3」相当の色域をカバー。画面の周辺まで高解像に被写体を確認できる上、赤い花などで起きやすい色飽和を抑えたり、HLGで撮影時のイルミネーションなどの輝度の高い被写体も、より明るく確認することを可能としている。
上位機種から受け継ぐ性能と信頼性、操作性
部分積層型CMOSセンサーと、フラッグシップモデルと同じ高速画像処理エンジン「EXPEED 7」の組み合わせにより、AF演算サイクルの高速化を実現。「飛行機」モードを含む9種類の被写体検出にも対応する。
また、低輝度側のAF検出範囲は「Z9」「Z8」を上回る-10EVまで拡張され、より暗いシーンでもピントが合いやすく、撮影シーンの幅を拡げる。堅牢性、信頼性は「Z8」と同等の性能を備えており、移動時の不意な振動からイメージセンサーを守るVRロック機構の搭載や-10度までの耐寒性能などにより、さまざまな環境での撮影をサポートする。
また、充実したカスタム設定やダイヤル位置などの操作系、「リッチトーンポートレート」や「美肌効果」、「人物印象調整」といったポートレート撮影機能も「Z9」「Z8」から継承している。
映像表現の幅をさらに拡張する新機能
「Z6III」はニコンのPC用閲覧/現像/編集ソフトウェア「NX Studio」を使った、より自分らしい自由な画作りの表現ができるピクチャーコントロール「フレキシブルカラー」に新たに対応。色別に色相、彩度、明度をコントロールできるカラーブレンダーや輝度ごとに色相、彩度、明度を組み合わせて調整できるカラーグレーディングなどの機能を備えており、自分の表現したい色に直感的な操作で調整することが可能。「NX Studio」で作成した設定はカスタムピクチャーコントロールとして書き出し、「Z6III」に登録することで撮影時にいつでも使用可能。撮影中のライブビューにも反映されるため、仕上がりをイメージしながら撮影することができる。
さらに新サービス「Nikon Imaging Cloud」では、ニコンによるおすすめや、著名クリエイターが監修したカスタムピクチャーコントロールを「イメージングレシピ」として提供。レシピは最大9個まで「Z6III」にWi-Fiで送信することができ、憧れのクリエイターの画作りなど新たな表現を簡単に試せることで、映像表現の楽しみをさらに拡げる。
また、「Nikon Imaging Cloud」との連携により、パソコンやスマートフォンを用いずに「Z6III」のファームウェアのバージョンアップが可能なほか、「Z6III」がWi-Fiに接続された際に撮影画像を自動で転送可能。画像は事前設定で外部のストレージサービスへ自動転送することができ、撮影した画像の保存や共有がより便利になるという。
その他の特長
- 「Z シリーズ」で最高の8.0段の手ブレ補正効果を発揮
- フォーカスを合わせた部分を中心に手ブレを補正し、画面周辺の被写体でもシャープに捉える「フォーカスポイントVR」を搭載
- ピクチャーコントロールに、透明感あふれる美しい肌の質感描写を実現する「リッチトーンポートレート」を搭載
- ポートレート撮影に効果的な「美肌効果」機能、「人物印象調整」機能を搭載
- 複数枚のRAW(NEF)ファイルを合成することで約9600万画素の画像制作を可能にする「ピクセルシフト撮影」機能を搭載
- 動画撮影時に有効な電子手ブレ補正機能を搭載
- 動画撮影時に単焦点レンズを使用してもズーミングが高画質で行える「ハイレゾズーム」に対応
- 5種の電子シャッター音の選択と5段階の音量設定が可能
「Nikon Imaging Cloud」の主な特長
「Nikon Imaging Cloud」は、カメラとダイレクトにつながることで、ユーザーの映像体験をサポートする便利で楽しい機能を提供するクラウドサービス。「イメージングレシピ」は色相・明暗別の色味や明るさ、コントラストなどを調整した自分の画作りをレシピとして保存できるほか、公開されたレシピに含まれるピクチャーコントロールをダウンロードできるサービス。ニコンのおすすめやクリエイターが監修した独自のレシピがラインナップされており、これまで触れてこなかった新たな表現に出会い挑戦することで、多彩な表現を楽しめる。
画像転送機能では、カメラがWi-Fiに接続されると、撮影済の静止画が「Nikon Imaging Cloud」や事前に設定した外部ストレージサービスに自動で転送・アップロードされるため、データ移行作業の大幅な時間短縮が可能になる。さらにファームウェアバージョンアップ機能では、自動更新設定をしておくことで、カメラが指定時間に自動で最新ファームウェアにアップデートされる。PCやスマートフォン、メモリーカードを使ったアップデートの手間が不要になるほか、いつでもカメラを最新のファームウェアにアップデートした状態で使用できる。
「パワーバッテリーパックMB-N14」の主な特長
「パワーバッテリーパックMB-N14」(2024年7月12日発売予定)は、「Z6III」、「Z7II」、「Z6II」用の別売パワーバッテリーパック。Li-ionリチャージャブルバッテリー 「EN-EL15c」を最大2個装填でき、静止画撮影可能コマ数、動画撮影可能時間を約1.9倍に拡張できる。「Z6III」と同等の防塵・防滴性能を備えるほか、-10℃でも動作可能な耐寒性能を持ち、厳しい環境下で長時間撮影するシーンで大いに役立つ。
また、装填した2個のバッテリーのうち一方を抜いても、もう一方に電池残量があれば電力供給が継続するホットスワップに対応。カメラに装着していない時にもUSB端子を介して装填しているリチャージャブルバッテリーを充電することも可能。