ソニーは、HDR対応のLEDウォールとソニーVENICEおよびVENICE 2シネマカメラを統合するUnreal Engine用の機能コレクションである「Virtual Production Tool Set」に新しい追加機能をリリースした。
ボリュームや部分的なLEDウォールのようなバーチャルプロダクションセットは、例えばエキゾチックなセットが必要な映画制作者が実際にロケ地に赴く必要がなくなる、ユニークなオプションであるという。
しかし、LEDウォールやボリュームを使用した撮影には、デジタルシネマカメラとLEDウォール間の正確な色合わせなど、独自の課題が伴うという。そのような技術的な課題に対処するため、ソニーは同追加機能のリリースにいたったという。
追加された「Camera and Display Plugin」「Color Calibrator」は、プリプロダクションとプロダクションの効率化をもたらし、アナモフィックレンズや、ROE、Planar、ソニー独自のCrystal LED VERONAシリーズなどのディスプレイを含む、競合他社のHDR対応LEDウォールとの互換性も持つという。
バーチャル VENICE のシミュレーション
Unreal EngineのCamera and Display Pluginを使用すると、クリエーターはデジタル環境内でバーチャルVENICEカメラを利用できる。デジタル版ソニーシネマカメラは、選択した露出指数とNDフィルターをシミュレートし、LEDウォール上の浅い被写界深度を再現することができる。同機能はカメラ部門とバーチャルアート部門(VAD)を統合するだけでなく、ユーザーによりクリエイティブなコントロールを与えるという。
Camera and Display Pluginは、カスタムモアレ警告を表示することで、レンズの選択やカメラの配置にも役立つという。LEDウォールのピクセルピッチやその他の仕様を使用することで、撮影者はカメラに最適な場所を見つけ、バーチャルプロダクション技術によって引き起こされる可能性のあるアーティファクトを回避できる。モアレ警告は撮影中も有効で、カメラ部門はLEDウォールが引き起こす可能性のある問題を積極的に把握可能だという。
以前は、球面レンズだけが同機能セットに対応していた。今回のリリースで、サポートがアナモフィックレンズにも拡大され、映画制作者が利用できるクリエイティブツールのリストが増加した。
さらに、バーチャルカメラの設定は、エクスポートして、セットで使用するVENICEまたはVENICE 2で直接利用が可能。
MacbethのColorChecker Chartのように、Color Calibratorは撮影現場のカメラシステムによって記録された独自のグリッドをLEDウォールに表示する。
これらの測定値は、LEDコントローラー、カラーマネージメントツール、またはUnreal Engineで使用される専用の3D LUTを生成するために分析される。どのLEDウォールを使用しても、記録された色はVENICEの意図した外観と一致するという。
新しいツールセット
ソニーのCamera and Display PluginとColor Calibratorは、ハードウェアとソフトウェアの間のギャップを埋めるだけでなく、プリプロダクションとプロダクション間のギャップをも埋めるものだという。
2つのツールを自由に使うことで、映画制作者はバーチャルセットで作業する際に、迅速かつ簡単に色の正確さ、被写界深度、モアレの低減を得ることができるという。
Camera and Display PluginとColor Calibratorは、Unreal Engineのマーケットプレイス、またはsonycine.comから無料でダウンロード可能。