ソニーは、35mmフルサイズ対応αEマウントレンズとして、焦点距離85mm、開放F値1.4の大口径標準単焦点レンズGマスター「FE 85mm F1.4 GM II」を2024年9月20日に発売する。価格オープン価格。市場推定価格は、税込で約30万円前後を想定。

FE 85mm F1.4 GM IIは2016年4月28日に発売した「FE 85mm F1.4 GM」(以下、I型)以来、8年ぶりの後継機。I型は王道のポートレートレンズとして多くのクリエイターに高い評価を受けていたが、今回はI型の良さであった解像とボケを洗練させつつ、一方で課題として上がっていたオートフォーカスの性能、重さ、大きさを大きく克服を遂げており、隙がなくなった最高峰のポートレートレンズ新商品としている。

妥協を許さない光学性能

進化点のポイントは、超高度非球面XAレンズが1枚増えて計2枚搭載している。エレメントの効果的な配置を工夫したことによって諸収差を最小限に抑制。I型で見られていたオニオンリングボケや輪線ボケが、より素直でなめらかなボケを実現できるように改善した。

I型同様にEDガラスは2枚搭載しており、よりボケの色づき、パープルフリンジの発生を抑制。また、ナノARコーティングも「II」に進化。よりフレアとゴーストを効果的に抑制するという。

レンズ構成は11群14枚
初代「FE 85mm F1.4 GM」と比較して高解像・高コントラストを実現

高速、高精度、高追随、静粛なAF性能

合焦スピードはI型比で最大3倍を実現。被写体へのAF追随性はさらに向上しており、従来比で最大約7倍の向上を遂げている。α9 IIIの120コマ/秒の高速連続撮影にも対応する。I型でネックであった動画撮影は120fpsに対応。よりスムーズなオートフォーカシングが可能になっている。

大幅なオートフォーカスの向上を実現できた背景として、アクチュエーターの進化が寄与しているという。I型では巨大で重いレンズ群をピント合わせで動かすために当時、駆動力が最高だった回転式のアクチュエーター「リングドライブSSM」を採用。デメリットとしてオートフォーカスするときに振動とちょっとした音が発生していた。また、直動式ではなく回転式で、動作効率が落ちてしまっていた。

II型では、直動式のXDリニアモーターに構造転換することで、より静粛かつスムーズ高速なオートフォーカスが新型において実現ができているという。

映像制作のニーズに応える動画性能

オートフォーカス、高速化、かつ静粛化している。I型での動画撮影では動作音の問題で動画での使用はあまり適さなかった。85mm単焦点で動画撮影という認識があまりなかったと思われるが、今回のII型にあたっては、動画撮影時にも問題なく使用できる進化を遂げている。

小型軽量設計

重さ約180g量で質量比20%に当たる80gの軽量化を実現。重量は642gと軽くなり、体積も約13%小型化している。長さに変化はないが、径の部分が短くなっている。

フィルター径77mmは変わっていないが、根元部分のスリム化に成功している。アクチュエーターと根元の部分にリングドライブSSMを搭載していたが、直動式のXDリニアへも変更により、その分根本の体積をより削ることができている。

I型は根本が出っ張っていたために、グリップした際に干渉することがあったが、そこをスリム化できたことによってより操作性は向上している。

使用環境を選ばない操作性や信頼性

撮影中不用意に絞り値が変わらないアイリスロックを新しく搭載。レンズ表面に指紋、ほこり、水滴、油、泥などが付きにくく、付着しても簡単に除去可能なフッ素コーティングを採用している。また、フォーカスホールドボタンは今まで一つの採用だったが、もう一つ追加されて合計2つII型には採用されている。

付属の丸型のフードも改良を加えられている。I型よりも少し長さが長くなった新型丸型フードを同梱している。