AJAは、2024年9月13日～16日にアムステルダムで開催されているIBC 2024にて、数多くの最新ソリューションを発表した。データ管理の効率化を図るソリューション、IP対応ビデオキャプチャー、新しいカラーマネジメント機能に加え、既存製品の機能アップデートも公開され、メディア/エンタープライズ/放送/映像制作など幅広い業界のニーズに応える製品群を展示する。
AWSとの共同開発製品「Virtual KONA」
AJAは、Amazon Web Services（AWS）と共同開発したソフトウェアベースの仮想ビデオキャプチャー/再生ソリューション「Virtual KONA」を先行発表した。Virtual KONAは、AJAのビデオI/O技術「AJA NTV2」とAWSのクラウドネットワーク技術「AWS Cloud Digital Interface（CDI）」を統合したソリューション。
AWS CDIは、クラウド上で高品質な非圧縮ビデオを低遅延で伝送できる技術。これにより、Virtual KONAは、オンプレミスとクラウドの境界をなくし、リモート制作、ライブストリーミング、ポストプロダクションといった幅広いワークフローに対応可能な柔軟なソリューションを提供する。
Virtual KONAは、AWS CDIに直接接続できるプラグインを提供し、既存のAJAオーディオ・ビデオI/Oカードと同等の機能を仮想環境で実現。これにより、サードパーティのアプリケーションやハードウェアも、クラウドとローカルワークステーション間で非圧縮の高解像度ビデオやHDRコンテンツを、シームレスに入出力可能となる。
I/Oカード新製品「KONA IP25」
IPビデオおよびオーディオI/Oカード「KONA IP25」は、SMPTE ST 2110システムと従来技術の両方に対応する次世代のI/Oソリューション。10/25GbEのSFP接続を備え、マルチチャンネルのUltraHDをサポートするなど、強力な機能を搭載。KONA IP25は、双方向の非圧縮SMPTE 2110ビデオとオーディオに対応し、放送やライブ配信、ポストプロダクションなど多岐にわたる現場で活用できる製品となっている。
KONA IP25は、8レーンPCIe Gen 4.0に対応し、開発者向けにAJA SDKと統合しやすい設計となっているため、SMPTE ST 2110のワークフローをスムーズに導入できる。さらに、SDIやHDMIとの相互変換機能を備え、既存のベースバンドシステムとの互換性を維持しつつ、最新のIP技術の導入をサポートする。幅広いビデオフォーマットやHDRにも対応しており、Adobe PremiereやAvid Media Composerなどの主要な編集ソフトともシームレスに統合が可能。
openGearカード新製品「OG-C10DA」分配増幅器
新たに発表された分配増幅器「OG-C10DA」は、openGear規格に基づいた高密度な1×9アナログ分配増幅器で、8系統のBNC出力と、ループアウトまたは追加処理が可能な1系統のBNC出力を備えている。TSC/PALアナログビデオ、ビデオリファレンス、AES3-idデジタルオーディオ、LTC信号に対応し、放送やライブイベント制作での信号分配を簡易化する。
Ross DashBoardソフトウェアでの直感的なリモート操作が可能で、簡単にゲイン調整や信号分配を管理できる。電源が検出されない場合はパッシブループスルーとして動作し、電力が供給されると標準の分配増幅器として出力を行う。さらに、AJAラックフレーム製品とも互換性があり、AES3やLTCの分配にも最適な製品となっている。
openGearカード新製品「OG-ColorBox」「ColorBox v3.0」アップデート
openGearカード製品「OG-ColorBox」と、「ColorBoxファームウェア v3.0」が同時に発表された。カラーマネジメントと変換機能を備えたOG-ColorBoxは、openGear規格のフォームファクターで、高密度かつ超低遅延なカラープロセッシングを提供する。
OG-ColorBoxには、超低遅延、4K/UHD HDRおよびWCGビデオ処理、HDR/WCG変換オプション、カスタムLUT処理など、ライブプロダクション向けのカラーマネジメントワークフローを向上する機能が含まれている。最大60pの4：2：2 10-bitビデオ処理を12G-SDI接続で実現し、複雑なカラー変換やダウンコンバージョンにも対応。リアルタイムでのSDR/HDR変換や、カメラのLog処理、複数カメラのカラーコレクションなどに最適なカード型製品。
ColorBox v3.0アップデートでは、SDR to Dolby Vision Previewモードが追加され、リアルタイムでDolby Vision HDRのプレビューが可能になる。また、ColorfrontライセンスによるARRI Alexa 35 LogC4 Wide Gamut 4 WVOへの対応や、ACES AMFパイプラインの追加が行われ、.CLFおよび.CTFファイルもサポート。さらに、SDIおよびHDMI出力のカラースペースとビット深度設定機能も加わり、より多様なカラーマネジメントを実現する。
Diskover Media Edition新プラグイン/v2.3アップデート
Diskover Media Editionには、2種類のプラグインが追加された。今回新たに加わったPixitMedia社のNgeneaプラグインは、データオーケストレーションを自動化し、グローバルなデータ転送を効率化。また、Spectra Logic社のRioBrokerプラグインも追加され、メディアアーカイブの管理を強化し、アーカイブ内のデータの迅速な確認・分析を可能にする。
今回のコラボレーションにより、Diskover Media Editionがさらに効率的なデータ管理を提供し、ストレージコストの最適化を実現するソリューションとなっている。
さらに、Diskover Media Editionのソフトウェアアップデートv2.3も発表された。同アップデートでは、ユーザーインターフェイスが改善され、インストールと管理の効率が向上。また、PDFビューワーが追加され、ファイルにアクセスせずにコンテンツを確認できるようになる。これにより、ストレージの長寿命化とデータに基づく意思決定が一層容易になる。
