![Pixomondo、車両撮影を支援する「PXO AKIRA」発表。オールインワンの移動体撮影システムを実現[CES2025]メイン写真](https://jp.static.pronews.com/pronewscore/wp-content/uploads/2025/01/250117_Pixomondo_10.jpg)
ソニーは、CES 2025のプレスカンファレンスで「ソニーの10年後にありたい姿」をテーマにした「Creative Entertainment Vision」の紹介を軸に、モビリティやスポーツ、エンターテイメントなどの新しい発表を行った。
今年は特に音楽、ゲーム、アニメといったエンターテイメント分野に注力しているが、それ以外の中で特に目を引いたのはバーチャルプロダクションの車両撮影を支援する画期的なモーションプラットフォーム「PXO AKIRA」の発表だ。
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントの傘下でバーチャルプロダクションやVFXを手がけるPixomondoの発表で、カーシーンをはじめとする乗り物の撮影は、非常に労力を要する。移動体シーン撮影の現行手法は、道路の閉鎖や警察の協力を求めたりプロセストレイラーも必要だったりして、高コストになる。さらに天候に左右され、安全上の懸念もあり、創造性を妨げている。そこでPXOのイノベーションラボは、こうした課題の解決を目指して、オールインワンの移動体撮影システム「PXO AKIRA」を開発した。
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バーチャルプロダクションの技術の中でも車撮影のニーズが高まってきている。特に、バーチャルプロダクションによる車体への反射表現は、グリーンバック合成などよりも、より高い評価を得ている。しかし、これまでは車をスタジオに搬入して、カーチェイスなどの激しいシーンは、人の手で車を揺らしたり、逆にカメラの方を揺らしたりするアナログな方法で実現していた。このため、リアリティに限界があり、激しいシーンの表現には困難が伴っていた。
Pixomondoは、「モーションプラットフォーム」「ロボットカメラクレーン」「LEDボリューム」「レーシングシミュレーター」を組み合わせることで、車両ベースの撮影に新たな移動体撮影システムを提供する。独自設計のモーションプラットフォームは、乗用車、バイク、ヘリコプターなどあらゆる移動体を、このソリューションで撮影が可能。360°回転が可能で、LEDパネル内で再現された仮想空間とリアルタイムで同期して、リアリスティックな移動体の動きを実現できる。
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プログラム可能なロボットカメラは、高精度かつ柔軟性があり、移動体の全方向からのカメラワークを再現できる。Unreal Engineベースのプリビジュアライゼーション・プラットフォームにより、プリプロダクション段階でスタジオのデジタルツインを構築し、最終的な撮影にスムーズにビジュアルアセットを移行できる。
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ドライビングシミュレーターにより、撮影開始前に撮影者は仮想空間で走行ルートをテストし、改良することも可能。拡張性の高い3Dコンテンツライブラリにより、実写・仮想空間を問わず、3Dの背景をダイナミックかつリアルタイムで作り出すことができる。LEDスタジオのコンテンツと組み合わせることで、PXO AKIRAは、カメラの動きとモーションプラットフォームが同期した高品質なインカメラVFXを実現し、ポストプロダクションの作業時間を大幅に削減できる。
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Pixomondoはカナダを中心に7箇所に制作拠点を構えており、最初はカナダのスタジオに導入予定としている。今後は国内のソニーPCLなどにも広がっていく可能性はあるかもしれないが、現時点ではまだ何も決まっていないという。
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