ライカカメラ社は、ライカ「SL3-S」を2025年1月25日に発売する。「ライカSL3-S」の開発における最大の特徴は、プロフェッショナルな写真撮影と映像制作における高い要望への対応としている。最重要課題となったのは、写真・動画いずれも最高水準の画質が得られ、最適な操作スピードと信頼性を兼ね備えたカメラであったという。
「ライカSL3-S」の中核をなすのは、総画素2400万画素の35mmフルサイズ裏面照射型CMOSセンサー、4800万画素および9600万画素相当での撮影が可能なマルチショットモード、そして新しいオートフォーカスシステム。
オートフォーカスシステムについては、IP54相当の防塵・防滴性能を備えた堅牢なフルメタルのボディに、最新世代の位相差検出AF(PDAF)、デプスマップ(物体認識AF)、コントラスト検出AFという3種類の検出方式のメリットを融合させたオートフォーカスシステムを搭載している。
このオートフォーカス機能をフルに活用しながら最大30コマ/秒の連続撮影が可能。この連写機能により「ライカSL3-S」はライカ史上最も連写速度が速いシステムカメラを実現。ダイナミックレンジは最大15ストップ、ISO感度の設定範囲はISO 50からISO 200000と非常に広く、さまざまな状況で高画質な写真と映像を実現できるという。
「ライカSL3-S」では、ライカSLシステムとしては初めて、コンテンツ認証イニシアチブ(CAI)が推進する枠組みに基づいたコンテンツクレデンシャル機能を搭載する。使用したカメラの機種、撮影者、画像の来歴などのメタデータを撮影画像に付与するこの機能を使えば、画像の改ざんを防ぐことができる。画像に付与したこれらの情報は、無償で利用できるツールで確認が可能。認証可能な情報を画像に埋め込むことで、画像の真正性を担保したり画像編集の透明性を確保したりできる仕組みとしている。
動画撮影機能については、最大で6K/3:2のオープンゲートで動画を撮影できる。オープンゲートには撮影した動画を幅広い用途に活用できる柔軟性があるという。例えば、オープンゲートで撮影した動画を、画質を劣化させることなく、構図を後から決定して、縦長の4K/9:16動画に編集することができるという。
また、5.9K 30fpsのRAW動画をHDMI出力して外部ディスプレイレコーダーに記録することも可能。さらに、高速なCFexpress Type Bメモリーカードに対応しており、5.8K 30fpsのApple ProRes 422 HQ動画やC4K 60fps動画を記録時間無制限でカメラ内記録できる。USB接続すれば動画を外付けSSDへダイレクトに記録することも可能。このように、「ライカSL3-S」ではさまざまなシーンや用途に対応できる高い柔軟性を確保しているという。
専用のタイムコードインターフェースにより、映像や音声の同期においてプロフェッショナルレベルの作業が可能。画像処理エンジンには「LEICA MAESTRO IV」を採用。この画像処理エンジンは膨大なデータをスムーズに処理できるため、L-Logの色域での撮影でも色再現、ダイナミックレンジ、ノイズ低減のすべてにおいて優れた画像を実現できるとしている。その性能から、「LEICA MAESTRO」は世界中で高く評価されているという。
汎用性に優れたインターフェースとさまざまな機器が使える接続性も、プロフェッショナルのシームレスなワークフローをサポートする。インターフェースとしては、CFexpress Type Bメモリーカード用スロット、SDメモリーカード(UHS-II)用スロット、USB Type-C端子(高速データ転送、テザー撮影、SSD接続、充電用)、フルサイズのHDMI 2.1端子(外部液晶ディスプレイや外部記録メディアとの接続用)を装備する。
また、Bluetooth接続とMIMO技術を利用したWi-Fi接続により、ライカ専用アプリ「Leica FOTOS」との高速かつ安定した接続が可能で、最大サイズのDNGデータもスピーディーに転送できる。
「ライカSL3-S」は「Made for iPhone」「Made for iPad」としてApple社の認定を受けており、付属のUSB Type-Cケーブルを使用してiPhoneやiPadとの直接接続が可能。2025年にはアドビ社が提供する「Frame.io」の「Camera to Cloud」機能にも対応予定。「Camera to Cloud」機能とは、撮影した静止画や動画をカメラから「Frame.io」のクラウドにダイレクトにアップロードしてその後の作業を行うことができる機能。
レンズマウントはライカLマウント。ライカのSLレンズやライカの他システム専用のレンズはもちろん、超広角から超望遠までバラエティ豊富に揃うLマウントアライアンス各社のLマウントレンズも使用できる。また、マウントアダプターを装着することでさまざまなシネレンズも使用できる。シネレンズで撮影する際はメニューで設定を行う。
「ライカSL3-S」ではLマウントによって幅広いカメラシステムのレンズに対応する高い互換性を確保している。定評あるMレンズについても、Mレンズでの撮影にも適した特殊な設計の撮像素子により、その卓越した性能を最大限に引き出して撮影できるという。
優れた描写力とコンパクトなサイズというMレンズの特徴は、ライカSL3-S」と組み合わせれば写真撮影でも動画撮影でも大きなメリットとしている。それに加えて、最大5段分の手ブレ補正効果を発揮するボディ内蔵手ブレ補正機能を活用すれば、用途の幅はさらに広がるという。
ファインダーにはEyeResファインダーを採用。光学系はガラスレンズを使用して精巧につくられており、576万ドットの高解像度と120fpsの高フレームレートにより、常に被写体がクリアかつなめらかに表示される。また、露出プレビュー機能を使えばどのような露出と構図で撮影できるかを事前に確認が可能。
背面には高度な可動メカニズムを採用したチルト式の高精細3.2型タッチパネル液晶モニターを搭載し、アングルの自由度もさらに広がるという。
「ライカSL3」からの流れを受け継いだ操作性とデザインも特長のひとつとしている。エルゴノミクスデザイン、操作時の感触、ユーザーインターフェース、メニューの操作性では、「ライカSL3」開発時と同様にさらなる洗練を目指したという。その結果、グリップの形状やボタン類のレイアウトなど、デザイン全体に改良を加え、より直感的に操作できるようになっているという。
写真撮影と動画撮影でメニューを独立させるなど、メニュー全体の構成とアイコンもよりわかりやすくなり、操作性はさらに向上。プロフェッショナルの映像制作のニーズに応える「Cineモード」も搭載している。
FNボタンにはよく使う機能を割り当てることが可能。メニューでの操作もタッチ操作で行えるので、直感的かつ快適にカメラを扱える。また、カメラの向きに合わせて液晶モニターに表示されるユーザーインターフェースも自動的に縦横表示が切り換わるため、写真・動画双方においてスムーズに撮影を続けられるという。
さらに、軽量・コンパクト化、手にしっくりとなじむフォルムも魅力としている。アクセサリーについては「ライカSL3」に対応するものはすべて「ライカSL3-S」でも使用可能としている。