
Blackmagic Designによると、オーストラリアの映像作家であるアンソニー・ローズ氏が、Blackmagic Designのカメラで大ヒット映画の舞台裏映像を撮影したという。
ローズ氏は、マーベル・スタジオの「シャン・チー/テン・リングスの伝説」や「マッドマックス:フュリオサ」など、近年最も高い人気を得ているアクション映画の舞台裏映像の撮影を多数手掛けている。同氏は、クリス・ヘムズワース、ナタリー・ポートマン、ジョージ・ミラーなどの一流俳優や監督との作品に携わってきた。
DVDやブルーレイの時代においては、舞台裏映像は消費者に対してその価値を高めるためのボーナスとして、あるいは、クレジットシーケンス内のNG映像や映画の宣伝の一部として主に使用されていた。現在、舞台裏映像は長編ドキュメンタリーとして制作されており、映像制作のプロセスをより深く理解するため、またはお気に入りの登場人物を演じる俳優たちを知るために、何百万人もの人々が視聴しているという。
ローズ氏は次のようにコメントしている。
ローズ氏:舞台裏映像の撮影は、マーベルの社員と大学の同級生だったファッション分野のクライアントから、舞台裏映像を撮影できる人を探していると聞いたことがきっかけでした。その映画の撮影は110日間ほどかかり、私は毎日現場にいました。こういった撮影は以前にしたことがなかったのですが、素晴らしい経験となり、舞台裏映像の撮影が本当に大好きになりました。
マーベルの映画「シャン・チー」で撮影を始めた際、他の人が何と言おうとこれを長編ドキュメンタリーにすると誓いました。それから間もなく、Disney+がマーベル作品の制作過程を追う「マーベル・スタジオ アッセンブル」の配信を始めました。これをきっかけに、ニッチな視聴者に向けた"あったらいい"的なコンテンツが、突然大きな価値を持つようになりました。現在はマーベルの全作品において、約1時間のドキュメンタリーとその他の映像が制作されています。

同氏は、Blackmagic Pocket Cinema Cameraの複数機種およびURSA Mini Pro 4.6K G2に加え、最近導入したBlackmagic PYXIS 6Kなど、多数のBlackmagic Design製のカメラを使用している。Blackmagic Pocket Cinema Camera 6K G2は最も貴重なツールのひとつとなり、周りの邪魔にならず、必要な時に必要な場所にいられるようになったという。
ローズ氏:常に事前にフォーカスを合わせ、事前に露出を調整して、撮影の準備をしています。カメラをオンにしてすぐに撮影しなければならない時に備えて、露出が適切であることを確認しておきたいからです。常に撮影できる状態である必要があります。
Blackmagic Pocket Cinema Camera 6Kの気に入っている点は、カメラをオンにすると、目の位置に持ち上げる頃には、撮影準備ができていることです。起動のための数秒を無駄にすることはできません。ストーリーの始めの部分を逃してしまいます。カードのフォーマットの速度や、電源を入れてから撮影できるようになるまでの速さでは勝るものはありません。このカメラは、熱や埃をものともせず、びしょ濡れの状態でも非常に活躍しています。本当に素晴らしいカメラです。
舞台裏映像で成功したいと考えている人々に対して、同氏は次のようにアドバイスする。
ローズ氏:舞台裏で作業する際は、小型のフォームファクターであることが重要です。ひっそりと使える必要があります。大きなカメラを担いでいたら、邪魔になって撮影現場から追い出されてしまいます。自分から中に入っていく必要があります。その理由は、許可を求めると、大抵「ちょっと離れてください。他に行ってください」と言われるからです。そこにいる正当な理由があると感じてもらう必要があります。

ローズ氏:適切な装備をすべて揃えていても、怒鳴られることは時々あるでしょう。私が撮影現場から追い出されたのは一回だけで、女王からナイトの称号を与えられた非常に有名な俳優から出ていくように言われました。この業界を王国と例えるなら、その騎士(ナイト)に叱られるというのは全く別のレベルです。しかし、それを受け入れて、次の日には新たな熱意を持って撮影現場に戻ってこなければなりません。
舞台裏映像の編集とポストプロダクションのプロセスを合理化することの重要性に加え、撮影とポストプロダクションの両方に、DaVinci ResolveなどのBlackmagic Designワークフローを使用する方法について、同氏は次のようにコメントしている。
ローズ氏:カメラのSSDに収録できる機能は欠かせません。非常に長いインタビューでも途中で中断する必要なく、タレントの貴重な時間を有効に使えるので極めて重要です。クリス・ヘムズワースに「カメラのドライブを交換するまでちょっと待ってください」とは言えません。カメラに2TBのSSDを取り付ければ、必要なだけ録画できる準備ができていると監督に伝えられます。
私自身、自分で多くのポストプロダクションを行っていますし、映像作家を目指す人にもそれを勧めています。自宅に編集用コンピューターがありますが、適切なソフトウェアを使うだけで驚くほど多くの作業を行えます。ドキュメンタリーからファッション撮影、多くのCMまであらゆる映像をすべてDaVinci Resolveで編集してきました。Blackmagicのカメラと組み合わせると、一つの継ぎ目のないエコシステムとして機能するので、この手法を強く勧めます。Fairlightのオーディオ機能には特に助けられています。舞台裏映像では、近くでの会話による大きな雑音やトラックのバック音など、現場で問題が生じることが頻繁にありますが、音声分離AIツールを使用して除去できます。
DaVinci Resolveを大変気に入っています。無償であり、常にソフトウェアがアップデートされている点が良いですね。私にとって画期的な存在であり、業界の他のプロたちにとってもそうであると確信しています。唯一の欠点は、次々と追加される新機能に追いつくために、チュートリアルを頻繁にチェックしなければならないことです!


