ソニーは、ウォークマンの技術およびXperia Intelligenceを搭載したフラッグシップスマートフォン「Xperia 1 VII」を6月上旬に発売する。

カラー展開については、通信事業者モデルおよびSIMフリーモデル双方で、スレートブラック、モスグリーン、オーキッドパープルの3色。SIMフリーモデルの価格はオープン。ラインナップと市場推定価格は以下の通り。

■通信事業者モデル

  • 12GB RAM/256GB ROM

■SIMフリーモデル

  • RAM16GB/ROM512GB:税込235,000円前後
  • RAM12GB/ROM512GB:税込219,000円前後
  • RAM12GB/ROM256GB:税込205,000円前後
スレートブラック、モスグリーン、オーキッドパープルのカラーをラインナップ

Xperia 1シリーズは、これまでのモデルにおいて、デジタル一眼カメラ「α」、液晶テレビ、有機ELテレビ「BRAVIA」の技術を広範に導入し、スマートフォンに関心が高いユーザーから一定の評価を得ていた。新型Xperia 1 VIIでは、さらにポータブル音楽プレーヤー「ウォークマン」の技術を取り込み、スマートフォンにおける主要な体験である「撮る」「観る」「聴く」の三要素を強化している点を特徴としている。

新たにウォークマンの技術を導入

加えて、専用機器で用いられてきたAI技術をXperia向けに最適化した「Xperia Intelligence」と称するAIが搭載される。これはソニー独自のAI技術として、リアルタイムかつ臨場感のある体験の創出に重点を置いている。

撮る・見る・聴くのスマホで最も重要な体験を専用機の技術で支える

AIで実現する、新しい撮影体験

新型Xperia 1 VIIの最も注目すべき点は、AIを活用した新たな撮影体験の実現である。誰もが経験しうるように、貴重な瞬間をカメラの写真や動画に収めることに没頭するあまり、その瞬間を直接見ることなく終えてしまうという状況が起こり得る。

新型Xperia 1 VIIは、AIによってその課題の解決を目指す。「感動を目で楽しみながら映像はXperiaへおまかせ」というコンセプトのもと、具体的にはスマートフォンによる動画撮影の概念を変える2つの新機能が搭載される。

1つ目が 「AIカメラワーク」になる。こちらはAIで被写体を高精度に認識、トラッキングして、広い画角からきれいに取り出すことで被写体を常にセンターに捉えてくれる。強力な手振れ補正と掛け合わせることで非常に滑らかな映像をあたかもプロのカメラマンが撮ってるようなカメラワークで記録を残せるといったものになる。歩きながら撮影してるシーンでもカメラを被写体の方にむけながら歩いて行けばフレーミングがずれることなく、綺麗に残すことができるという機能になる。

もう一つの新機能「オートフレーミング」は、AIによるトラッキングを基盤としている。この機能を用いると、引きと寄りの2つの異なる画角の映像を同時に記録することができる。これにより、利用者は自身の目で捉える光景を楽しみつつ、カメラを撮影したい方向へ向けるだけで、広角映像と被写体を捉えた詳細な映像を同時に記録することが可能となる。これら2つの新機能は、撮影状況に応じて使い分けられるように設計されている。

オートフレーミングの引きの全景は「4K」、クロッピングしたの方も「フルHD」で残すことができる形で、切り出しも縦と横どちらも選べる仕様になっている。また距離に応じて被写体の距離に応じて切り出す大きさも調節しながら、映像を記録することができるようになっている。どちらも、高精度なαで使っていた被写体の認識技術、顔認識、瞳認識それから姿勢追尾といった技術をAIで行っているものになっている。

フルサイズ並みの暗所性能をもつダブル本命レンズ

新型動画機能の実現に加え、超広角カメラの進化も確認できる。2世代前のモデルのXperia 1 Vでは、24mm(広角)に前機種比で約1.7倍となる「Exmor T for mobile」が搭載され、フルサイズ並みの暗所性能を実現した。

さらに、新型Xperia 1 VIIの16mm(超広角)においても「Exmor RS for mobile」が搭載され、同様にフルサイズ並みの暗所性能を達成している。Xperiaは、広角と超広角を重視し、両方の画角において妥協することなく、より広い範囲で高品質な写真や映像を記録できるよう進化していると言える。

16mmと24mmの両方がフルフレームカメラと同等の低照度性能を実現

具体的にはセンサーとしては、約4800万画素の1/1.56型のセンサーを搭載。こちらは1つ前のXperia 1 VIから比べて約2.1倍の大型化を遂げている。さらにセンサーの進化に合わせて、今回はレンズも見直しており、ソフトウェア処理を介してなく、非常に歪みの少ないストレートな写真を撮ることができるようになっている。ソフトウェア処理をかますことがなく、高品質な画質の状態で残すことができるところも今回の進化ポイントとしている。

新しいセンサーは、48メガピクセルの1/1.56型センサー。前モデル比で2.1倍の大型化を実現している

ウルトラHDR撮影に対応とポートレート表現の向上

細かなアップデートになるが、「Ultra HDR」の撮影にも今回対応。これまでのHDRのコンテンツの表示だけでなく、新型Xperia 1 VIIで撮った写真を、そのままディスプレイで楽しむことが可能。これまでよりもより目に見た印象に近い、非常にリッチな状態のまま写真を記録することができるようになっている。

ポートレート表現においても改善が見られる。特に、肌の再現性においては、今回のモデルで向上が図られている。HDR(ハイダイナミックレンジ)への対応により、黒つぶれなどを抑制し、被写体をより際立たせる写真撮影が可能なモードとなっている。

前モデルXperia 1 VIで評価の高かったテレマクロ機能も、引き続き搭載されている。超広角レンズは、最短5cmの近接撮影に対応しており、超広角とテレマクロという二つの異なるレンズ構成で近接撮影が可能である。

Xperia史上最高の音質を実現

オーディオ機能においても進化が見られる。これまでハードウェア、ソフトウェア両面での改良、および専門の事業部エンジニアとの連携を通じて進化を続けてきたが、今回特に有線接続時の音質向上に寄与する要素として、オーディオジャック部全体に金を加えた高音質はんだを使用することで伝送ロスを最小限に抑制している。これにより、従来以上に音の損失を低減する。

高性能オーディオ統合回路に加え、Xperia 1 VIIは回路基板を再設計し、高品質なサウンドコンポーネントを実現する

また、非磁性銅メッキ加工を施した高音質抵抗により磁気干渉による音の歪みを低減している。これにより、クリアな音質の提供が可能となっている。前モデルXperia 1 VIと比較しても、個々のボーカルの音などが、より明瞭に伝わるように改善されている。

オーディオジャック部分に金含有の高品質はんだを採用することで、伝送損失を徹底的に低減

スピーカーにおいても進化が見られ、過去のXperiaシリーズにおいて最高の音質を実現している。今回のモデルにおいても、その点は着実に向上している。オーディオAIの活用においては、ソニー独自の技術である「DSEE Ultimate」が従来から搭載されており、圧縮された音源をより高解像度で再生する機能として、引き続き採用されている。

独自のフルステージ・ステレオスピーカーは、現実感のある臨場感の再現を目的として設計されている。広大なサウンドステージと自然な音色の実現を目指している

無線音質においては、Bluetoothの送信出力を前モデルと比較して約2倍に強化しており、これにより、混雑した環境下での使用においても、より安定した接続性が期待できる。

Xperiaシリーズは、多様な視聴スタイルにおいて高音質を提供することに注力しており、今回のモデルでは「有線」「スピーカー」「無線」の各方面で音質が向上し、総合的に優れたサウンド体験を提供するスマートフォンへと進化している。また、多様なオーディオフォーマットへの対応も実現している。

ハイレゾオーディオ、ハイレゾオーディオワイヤレス、LDAC、Bluetooth LEオーディオ、Snapdragon Sound、360 Reality Audio、Dolby Atmosを含む、多くのオーディオ業界のテクノロジーとフォーマットに対応している

BRAVIA画質をAIの力でXperiaに

ディスプレイにおいては、前モデルXperia 1 Vにおいて「Powered by BRAVIA」と称し、BRAVIAフラグシップモデルの画質をXperiaのディスプレイ上で再現する機能が導入されている。今回も引き続き、前モデルで導入された高画質表示機能が搭載されている。

加えて、様々な環境下での視認性向上を目指し、照度センサーを前面に加え背面にも搭載した。これにより、直射日光下はもとより、逆光のような視認性の低い状況においても、明るさや色調を最適化する機能が強化されている。この機能は、動画視聴時のみならず、カメラ撮影時にも有効であり、多様な状況下でディスプレイの見やすさを向上させる。ピーク輝度についても20%の向上を実現しており、屋外での視認性が高まっている。

AI画像調整技術は、色、コントラスト、テクスチャを含む画像品質を最適化し、BRAVIAフラッグシップモデルの画質を再現する

映像視聴体験においては、制作者が意図した色を忠実再現する「クリエイターモード」、およびソニー・ピクチャーズとの協業により調整された「Dolby Sound」が引き続き搭載されている。

制作者が意図した色を忠実再現する「クリエイターモード」を搭載

スマートフォンにおける重要な機能である「撮る」「観る」「聴く」において、専用機器の技術とAIを最大限に活用することで、Xperia 1 VII一台で高度なコンテンツ制作からエンターテインメント体験まで実現することを目指しており、ソニーの強みを示す製品の一つであると考えられる。

パワフルなスタミナバッテリー

バッテリーについては、前モデルXperia 1 VIにおいて大幅な進化を遂げ、最高クラスの持続時間を実現した。今回の新モデルにおいても、新たな機能や基本性能の向上を図りつつ、前モデルと同等の日分のアクティブなスマートフォン使用を支える大容量バッテリーを搭載する。バッテリーの長期利用に対する耐久性も維持しており、4年間の使用による劣化を抑制する設計となっている。

Xperia 1 VIIもXperia 1 VI同様、2日間のバッテリー寿命を実現している

SoCに関しては、Snapdragonの最新高性能モデル「Snapdragon 8 Elite」を搭載している。ベイパーチャンバー冷却システムを継続して採用し、高い放熱性能を確保している。

ベイパーチャンバーシステムとグラファイト熱拡散シートを採用し、熱放散を効率化しながら、前モデルと同等の薄型デザイン(8.2mm)を維持している

また、ゲーミングの機能に関しても様々なゲーマーの皆様の様々な理想とするプレイ環境を実現するために、今回もしっかりとゲームエンハンサーに対応している。

サポート体制においては、OSのバージョンアップデートを4回、セキュリティアップデートを6年間提供する。これは前モデルと比較して期間が延長されており、利用者は長期にわたり安心して製品を使用できる。

4回のAndroidアップグレードと6年間のセキュリティメンテナンスリリースを提供。最新のWi-Fi 7スマート接続機能を搭載している

Xperiaの二つのAI戦略

最後にXperia Intelligenceについては、スマートフォン市場においては、生成AI機能が注目を集める傾向にある。しかし、ソニーは、AIの活用において、クリエイターの支援とエンターテインメントの品質向上を重視する企業として、「撮る」「観る」「聴く」といったスマートフォンの本質的な体験に焦点を当て、AIが表面的に意識されることなく、リアリティや感動をリアルタイムで提供することを目指し、研究開発および機能実装を行っている。

トレンドである生成AIに関しても重要性を認識しており、Googleとの連携を通じて、Google Geminiや囲って検索といった最新機能を実装する。これにより、基本的なAI機能に加え、Xperia独自のAI機能がエンターテインメント領域で活用されるという、二つのAIの側面からXperiaを進化させていく方針としている。

より洗練されたカメラデザイン

デザインに関しては、前モデルで好評を得ている機能性触感デザインの背面や側面のグリップを踏襲している。カメラバンプは、すり鉢状から垂直に立ち上がる形状に変更することで、カメラの存在感を際立たせるデザインへと進化している。カラーバリエーションは、ストレートブラック、モスグリーン、オーキッドパープルの3色で展開される。

高性能なカメラを強調し、機能美の表現を目指している

その他、Xperiaが重視してきたカメラボタン、オーディオジャック、microSDカードサポートは引き続き搭載される。新型Xperia 1 VIIの発売に合わせて、純正カバーも同時に発売される。素材には環境に配慮したプラスチックSORPLASを使用し、撮影時のグリップ力を向上させる形状と素材は前モデルから継承される。カバーの色展開は本体と同じ3色となる。

カメラボタン
3.5mmオーディオジャック
MicroSD cardスロット最大2TB SD Card

商品箱および本体トレイにおけるプラスチックフリーを実現しており、本体内部の一部部品にSORPLASを含む環境対応素材を使用している。

商品箱と本体トレイにはソニー独自の紙素材を使用、プラチック全廃を実現