
Blackmagic Designによると、フィリピンの劇場映画「Sinagtala」が、Blackmagic URSA Mini Pro 12Kデジタルフィルムカメラを使用してBlackmagic RAWで撮影され、DaVinci Resolve StudioでカラーグレーディングとVFXが行われたという。映画の封切に合わせて公開された、主演キャストによる生演奏を捉えたミュージックビデオにも、Blackmagic Designの撮影およびポストプロダクション・ワークフローが使用された。
フィリピン監督組合に所属するマイク・サンデハス氏が監督、LPS所属のドム・ディカイコ氏が撮影監督を務めた同作は、リードシンガーであるパオラの死後、疎遠になったバンド仲間たちが大人として成長していく姿を描いている。パオラが事前に録画した感動的なビデオを精神的なガイドとして、各メンバーが自分の過去と向き合い、音楽を通じて自分の目的を再発見していく。
サンデハス氏:本作は、親密な物語部分と様式化されたコンサートのシーケンス、そして視覚的にも感情的にも個性あふれる演技を融合させています。
中心となるストーリーを印象づけるために、はっきりとした視覚的なコントラストを作成することを目指しました。パオラのビデオは明るく天使のような雰囲気があり、ビデオを鑑賞するバンドメンバーは暗い室内での雰囲気を感じさせる映像にしました。

ディカイコ氏:バンドのメンバーは各自の葛藤に立ち向かいますが、互いが因果関係を持っています。物語の進行につれ、登場人物ごとに異なる雰囲気の照明と、トーンやカラーの違いが重要になることはわかっていました。
それを念頭に置き、レンズの特性に合わせて調整でき、優れたダイナミックレンジが得られ、様々な照明条件で撮影してもポストプロダクションで余裕を持って調整できるカメラを探しました。
同氏は、URSA Mini Pro 12Kが様々な視点を反映し、撮影の技術的要件を満たすと判断し、同カメラを撮影に採用した。
ディカイコ氏:物語の部分は、DZOFILM Pavoを使用して、8K 6:5と2x アナモフィック・デスクイーズをミックスして撮影し、シネマライクな深みを作り上げました。
パオラの収録済みのビデオでは、コントラストのある質感を作り出すために、ZEISS CP.3レンズを使用して、4K DCI解像度で撮影しました。
同氏はURSA Mini Pro 12KのRGBWセンサーについて以下のようにコメントしている。
ディカイコ氏:特にクラブのシーンや、青い色調のみにすることにした最後のコンサートの撮影では、センサーの限界を試すのが楽しかったですね。通常、これを行うと、赤と緑のチャンネルにノイズが生じ、青チャンネルの彩度が上がりすぎてしまいますが、本作ではセンサーがすべてを美しく処理してくれました。

同氏がベースグレードとしてLUTを確認したことに始まり、カラリストのロキ・マグシーノ氏はDaVinci Resolve Studioを使用したポストプロダクションにおいて同氏と緊密に連携し、シーンの雰囲気や要件に応じて様々なパレットを作成した。
マグシーノ氏:各登場人物の個々の問題と全体的な断絶を強調する上で、シアンの暗いパレットを選択しました。そのルックはストーリーと共に進化し、バンドの再結成に合わせて、徐々に暖かく希望に満ちたトーンに移行します。
Filmpost Studiosのフィニッシング・エディター主任であるマービン・パンギ氏は、カラーページのフェイス修正とビューティーツールが、特定の回想シーンにおいて、過去と現在を区別できるように微妙な調整を行う上で重要な役割を果たしたとコメントしている。
パンギ氏:カラーページでもFusionでも、Resolveはエフェクトを自然で控えめに抑えてくれたので、斜めの分割画面の合成、画面の置き換え、オブジェクトの削除などの複雑なVFXを扱う上で非常に役立ちました。
さらに、最終的な書き出しフォーマットよりも高い解像度で撮影したため、品質を損なうことなく、ショットのリフレームやズームインを行える柔軟性が得られました。
サンデハス氏:究極的には、感情のつながりと視覚的なストーリーテリングが重要であり、素晴らしい演技と優れた映像を融合させて、ファンにとってより没入感のあるものにしています。物語の部分と様式化した演奏シーンをBlackmagic Designの単一のワークフロー内でシームレスにミックスできることは、チーム間で協力する上で非常に重要な役割を果たし、作品全体のインパクトを決める上でも欠かせない要素でした。


