Blackmagic Design導入事例:TBS系金曜ドラマ「不適切にもほどがある!」の場合

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Blackmagic Designによると、TBS系で放送された人気ドラマ「不適切にもほどがある!」にDaVinci Resolve StudioおよびDaVinci Resolve Mini Panelが使用されたという。同作では合成を必要とするシーンが多くあり、DaVinci ResolveのFusionを使うことで、ポストプロダクションの効率化を進めることが可能となった。

「不適切にもほどがある!」は宮藤官九郎脚本の大ヒットコメディドラマ。昭和(1986年)から令和(2024年)の現代にタイムスリップしてしまった中学校の体育教師、小川市郎は、コンプライアンス意識の高い現代では「不適切」な発言を繰り返し、周囲の人々を驚かせる。しかし、そんな彼の破天荒な発言は、コンプラで縛られた現代の人々に考えるきっかけをあたえていくことになる。

同作のポストプロダクションを担当したのは、株式会社ブルのエディター武井康晃氏。武井氏は、次のようにコメントしている。

武井氏:この作品は、効率化を進めるために、カメラから光伝送で素材をベースステーションに送り、ライブグレーディングして収録されました。そのため、グレーディング自体はあまり必要がなかったのですが、現場で光量が足りず暗く撮れてしまったシーンや、監督が演出上こだわりたいシーンに関してはRAW素材からグレーディングをしました。

例えば、7話の夕焼けのシーンでは、監督からもっと綺麗に見せたいとリクエストがあったので、空の部分をPower Windowでマスクを描いてグラデーションを作りました。グレーディング時はDaVinci Resolve Mini Panelを使っています。クオリファイアーで色を分離するときの調整などで、直感的に使えて作業スピードも上がるので重宝しています。

また、DaVinci Resolveの柔軟性について武井氏は高く評価する。

武井氏:DaVinci Resolveは解像度やフレームレートを気にせずに作業することができるのが便利ですね。例えば、6Kで撮影したワイドショットを動きをつけてズームさせるようなことも、解像度を保ったままズームしたい場合は、他のソフトウェアだとまず6K解像度でタイムラインを作って、それを納品用の解像度のタイムラインに戻さないといけないんです。

また、「不適切にもほどがある!」では過去のシーンは30P、現在のシーンは60Pで撮影しました。同じプロジェクトで、30Pのタイムラインと60Pのタイムラインを柔軟に使い分けられるのでストレスなく作業ができました。

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また、同作では合成作業にDaVinci ResolveのFusionページを活用しており、ナンバープレートの差し替えや、俳優の肌の調整、テレビモニターに映像をはめ込む作業などで使用したという。

武井氏:Fusionページのプラナー(平面)トラッカーやカラーページのクラウドトラッカーなど、DaVinci Resolveはトラッキングがとても使いやすいです。

基本的に素材がある合成であればFusionで完結できます。3Dのモデリングから作らないといけないようなCG作業に関しては、外部のCGチームに作業をお願いしましたが、そのチームも合成にDaVinci Resolveを使っていたと聞いています。

武井氏は、そのほか数多くのドラマ作品をDaVinci Resolveで手がけている。最近担当したドラマ作品でもFusionが大いに役に立ったという。

武井氏:最近はドラマ作品でもlogやRAWの素材が増えてきたので、DaVinci Resolveでオンライン編集することが増えています。ある作品では、ロボットが出てくるシーンがあるのですが、傷だらけだったんです。現場ではその傷を消すことを想定して撮っていなかったので、ロボットの前を人物が通り過ぎて後から修正するのはかなり大変だったのですが、FusionでMagic Maskで人物を抜いて、かなり綺麗に修正できました。

DaVinci Resolveはアップデートが頻繁にあるのが助かっています。Magic Maskの性能もどんどん上がっているし、最近のアップデートではアスペクト比が違う素材同士でも、プラナートラッカーでのトラッキングが簡単にできるようになりました。

金曜ドラマ「不適切にもほどがある!」はU-NEXTとNetflixで全話配信中。スペシャルドラマ「不適切にもほどがある!」(仮)はTBS系にて来春放送が決定している。

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