
Blackmagic Designによると、関西テレビ放送が第44回大阪国際女子マラソンの中継で、Blackmagic Replayシステムを活用したという。同中継では、DaVinci Resolve Replay EditorおよびDaVinci Resolve Studioを含むBlackmagic Design製品を使用し、リプレイ映像をスローモーションで送出することに成功した。
大阪国際女子マラソンは、関西テレビ・フジテレビ系列で全国ネットの生中継として放送された。この大会は1982年の第1回大会以来、毎年、大阪に拠点を置く関西テレビが中継を担当している。約3時間の中継では、リプレイ映像が活用され、DaVinci Resolve StudioのAIを駆使したスローモーション映像も採用された。
当日はHyperDeck Studio 4K Proを6台用意し、6回線分の映像をBlackmagic Cloud Store 80TBに送信した。その映像をグローイングメディアとしてDaVinci Resolve Studioに取り込み、必要な部分を選択してリプレイとして使用した。コンピューターにはM2 UltraのMac Studioを使用し、UltraStudio Monitor 3GでThunderboltからSDIへの変換を行い、モニターに出力した。

関西テレビ・技術推進局の帆足聡一郎氏は次のようにコメントしている。
帆足氏:Blackmagic Replayは、システム構築もシンプルでMac Studioを追加するだけですぐに実現できたので、社内でテストをしてみました。スポーツ中継のディレクターにデモを見せて好評だったため、今回の導入に至りました。
Blackmagic Replayはレースの給水所の映像に使いました。そこに設置したカメラは倍速スローモーションの機能がなかったので、Blackmagic ReplayのAIを利用したスローリプレイを使用しました。
オペレーションを担当したのは、映像技術プロダクション・株式会社関西東通の白根健太朗氏と蒲池洋史氏。白根氏は次のようにコメントしている。
白根氏:私自身は普段リプレイのオペレーションに直接関わることはないのですが、テストの日に半日ほど触っただけでスムーズにリプレイ映像を出せるようになりました。普段リプレイ業務に携わっていないスタッフでも簡単にオペレーションができるところはメリットですね。

実際のオペレーションを担当した蒲池氏は次のようにコメントしている。
蒲池氏:DaVinci Resolve Replay Editorは、ジョグのレスポンスがとてもよく、タイムラグを感じることなくサーチできて、使いやすかったです。また、リプレイの操作中にマルチビューでサーチしながら頭出しができる機能も便利で、入力ソースのすべてを確認できるので最適な映像を見つけることができます。
大きな利点として感じたのは、ノーマルカメラの素材をAIの補正機能を用いスーパースロー(倍速スロー)として再生できることですね。ノーマルスローとスーパースローの切り替えを再起動せずに瞬時に行えるため、使いやすかったです。
従来のシステムだと、スーパースローの倍率を変更するたびに再起動が必要になり、オンエア中に切り替えができません。このカメラは4倍速にしたい、もう1台のカメラは6倍速で運用したい、という場合は、システムを2台用意しなければならないので、基本的にはスーパースローの倍率は1つに決めて変更しないようにしています。
その点、Blackmagic Replayは簡単に倍率を変更できるので便利ですね。激しい動きが少ないシーンは、滑らかで高品質なスロー映像を作成できました。
今回の中継でプロデューサーを務めた関西テレビ・柴田俊介氏は次のようにコメントしている。
柴田氏:中継によっては、コストの面でスーパースローを再生するリプレイシステムを使用できないことがあります。また、そのシステムを使うために、使用するカメラも限定されるといった制約もあります。Blackmagic Replayを使うことで、低コストでAIによるなめらかなスローリプレイが可能になったことは、非常に有益でした。


