DxOは、高度なRAW写真編集ソフトウェア「DxO PhotoLab 9」を発表した。DxO PhotoLab 9は、DxOウェブサイトにおいて、macOSおよびWindows向けに入手可能である。
新規ライセンスの場合は税込み29,999円、DxO PhotoLab 7または8からのアップグレードは税込14,999円。
バージョン9では、AIによって強化されたマスク機能が導入された。これにより精密な選択が可能になり、フォトグラファーはこれまで以上に緻密な部分調整を行うことができる。
さらに、今回の新機能には、ノイズ除去、デモザイク、レンズシャープネス最適化における部分調整も含まれる。編集体験をよりスムーズにする、ワークフローの広範なアップグレード、メタデータを使用した強力な一括ファイル名変更オプション、AppleのHEIC/HEIFおよびProRAW画像のサポートもある。
製品戦略担当副社長であるジャン=マルク・アレクシア氏は、次のようにコメントしている。
レクシア氏:バージョン9は、RAW写真編集における大きな前進です。AIによるマスキングは、比類のない精度を可能にします。PhotoLab 9の他のすべての機能と組み合わせることで、マスキングの精度が大きく向上するでしょう。これは、我々のフラッグシップ編集ソフトウェアの過去20年間のアップグレードの中で、おそらく最大のものです。
DxO AIマスク機能の導入、オブジェクト自動選択の新しいスタンダード
新たなAIマスクは、人工知能の力を活用して、スマートでピクセル単位の精度で、範囲選択できる。ユーザーは3つの異なる方法でマスクを作成可能。写真の様々な部分にマウスカーソルを重ねてクリックしたり、選択対象のオブジェクトを含む画像の領域を囲むように矩形を指定したり、あるいは、様々な被写体の種別、例えば空、人、顔、髪など、事前定義された対象のリストから選択することもできる。
事前定義済みのオブジェクトのリストは、単なるクイック選択以上の強力な機能を備えている。例えば、フォトグラファーが「髪」を選択していくつかの調整を行ったとする。こうした調整は、画像をまたいでインテリジェントにコピー&ペーストしたり、選択内容のコンテキストに対応したプリセットとして保存することもできる。複雑なレタッチも、より速く、よりスマートに行うことができ、そして一貫性を保つための労力も必要ないという。
DxO AIマスクとU Pointテクノロジーの組み合わせが、高精度を達成
AIマスクは、その他の部分調整ツールとスムーズに統合させることで、柔軟性と操作性を実現する。範囲選択はDxOの誇るU Pointテクノロジーを使用して、さらに洗練できるとしている。AIマスク、コントロールポイント、コントロールライン、グラデーションフィルター、ブラシツールを組み合わせて使用することで、フォトグラファーは、最先端のAIにとってさえ高度すぎるような、非常に複雑なマスクを作ることができるという。
これは、複雑な選択範囲を細かく処理することが困難な競合ツールに対して、大きな優位点となる。
卓越したコントロールが可能な部分調整による、対象を絞ったノイズ除去とレンズシャープネス最適化
緻密な操作を必要とするフォトグラファーのために、DeepPRIMEノイズ除去技術とDxOの独自のレンズシャープネス最適化では、部分調整を使用してターゲットを絞ることができるようになった。
PhotoLabの自動処理は元々、優れた結果を提供してきたが、この強化によって、ユーザーは最高レベルの緻密さで画像を微調整できるようになった。特に、新しいAIマスクと既存の部分調整ツールを組み合わせることで、非常に高い精度を実現できるという。
よりスマートで高速なワークフロー
DxO PhotoLab 9には、写真の整理をより迅速かつ直感的に行うために設計された、多くのワークフローの改善も盛り込まれている。こうした新機能の中には、画像のスタッキング、フォルダとプロジェクトの「お気に入り」システム、また、カスタマイズモードからプロジェクトパレットへの直接アクセスも含まれている。
さらに、よりクリーンでより多彩な編集経験を実現するために、移動されたフォルダを簡単に再配置することもできるようになっている。
パワフルな一括ファイル名変更
DxO PhotoLab 9では、新たに強力な一括ファイル名変更ツールが導入され、ユーザーは元のファイルと編集後のファイルの名前を完全にコントロールできるようになった。ファイル名は、画像のメタデータ、EXIF情報、またはカスタム文字列の使用に基づいて自動的に生成され、整理や後処理を効率化する。
ユーザーは独自のプリセットを作成、保存することもでき、プロジェクトやワークフロー全体で一貫した命名規則を簡単に適用できる。
iPhoneの画像サポート
バージョン9では、Apple独自のiPhone画像形式(HEIC/HEIFおよびProRAW)をサポートしており、iOSデバイスで撮影した写真の編集がこれまで以上に簡単になっている。この互換性の拡張により、DxOの優れた画像処理ツールをiPhoneで撮影した写真に組み合わせて活用したいと考えているフォトグラファーにとって、シームレスなワークフローが保証される。
DeepPRIME XD3 X-Transの導入
2年前、DxOは最も要求条件の厳しいファイルに対応するために、より強力な処理を行う「eXtra Detail」エンジンとしてDeepPRIME XDを導入した。その後もこの技術は進化を続け、極端なISO値で撮影された画像に対しても、かつては不可能だったレベルの結果を保証できるようになった。
また、DxOはDxO PureRAW 5の一部としてリリースされていた技術プレビューを経て、DeepPRIME XD3の正式版のリリースと、すべてのX-TransカメラからのRAWファイルへの対応を発表。画像品質はまさに前例のないものであり、極端な低光量環境下で撮影された画像のノイズ除去とディテール回復が、これまでにないレベルで可能になっているという。