Hollylandは、放送やライブイベント、産業用途などを想定した大規模ワイヤレスインカムシステムの新製品群を発表した。新しいシリーズバンドルである同システムは、 Geo Central Station、Solidcom ANT01、Solidcom BPK01、 Solidcom H1を組み合わせることで、大規模な会場や分散した現場での円滑なコミュニケーションを実現するものであるという。
新システムの中核をなすのは、ハブとして機能する「Geo Central Station」である。この装置は、専用アンテナ「Solidcom ANT01」と組み合わせることで、ライセンスフリーの1.9GHz帯を使用し、最大で80台のワイヤレスベルトパック「Solidcom BPK01」を接続することができる。複数のアンテナを連携させるローミングカスケード技術により、通信範囲は400万平方メートル以上(サッカー場約560面分)にまで拡張可能である。
また、Geo Central Stationはオーディオネットワーク規格のDanteに標準で対応しており、追加の音響機材を必要とせず、ラックスペースの削減と設置の簡素化に貢献する。

同システムはモジュール構造を採用しており、プロジェクトの規模に応じて柔軟に構成を変更できる。例えば、「Solidcom H1」は単体で最大30台のベルトパックを管理できるが、Geo Central Stationと統合することで最大80台まで拡張が可能である。ベルトパックはアンテナ間をシームレスに移動できるため、広大なエリアでも途切れることのない通信を維持する。
管理機能として、最大100個の通信グループを事前に設定し、必要に応じて割り当てや切り替えができるスマートグループ管理機能を搭載している。これにより、複数のチームが関わる複雑な現場でも迅速な連携が可能となる。
ベルトパックであるSolidcom BPK01は、機動性を重視して設計された。バッテリーを含めた重量は約305グラムと軽量で、最大15時間の連続使用が可能である。Bluetooth機能も内蔵しており、ワイヤレスイヤホンなどと接続してケーブルレス環境を構築できる。また、4つのボタンには、複数チャンネルでの通話やコールアラートといった機能を任意に割り当てることができる。
さらに、クラウド機能を活用することで、物理的な会場の制約を超えた運用も実現する。遠隔地のシステム同士をインターネット経由で接続したり、現場から離れた場所にいるディレクターなどがリアルタイムでコミュニケーションに参加したりすることが可能である。また、ウェブブラウザーを通じてシステムの設定や状態確認、メンテナンスを遠隔で行うこともできる。
Hollylandの研究開発管理センターでCTOを務めるデイブ・リウ氏は、このシステムが大規模かつ分散した制作チームの進化するニーズに応えるために構築されたと述べた。その上で、「この新シリーズによって、真にスケーラブルで柔軟性があり、国境を越えたワイヤレスコミュニケーションプラットフォームを世界中のユーザーに提供することを目指す」と付け加えた。