アドビは、クリエイティビティカンファレンスAdobe MAXにおいて、Adobe Expressに新しく「AIアシスタント」機能(ベータ)を導入することを発表した。これは対話型のコンテンツ編集体験を提供し、誰もが数分でアイデアを優れたコンテンツとして形にできるように支援するものだという。
「Adobe Express AIアシスタント(ベータ)」は、まずAdobe Express プレミアムプランのデスクトップユーザー向けに英語のみで提供される。一般提供開始時には、Adobe Fireflyの生成クレジットシステムを通じて、すべてのAdobe Expressユーザーが利用できるようになる。より多くの生成機能を利用するための追加のクレジットも購入可能である。
AIアシスタントは、デザイン要素の文脈や意味を理解して提案を行うことで、コンテンツ制作のスキルや経験レベルを問わず、ユーザーが作りたい内容を言葉で説明するだけで、オリジナリティあふれるコンテンツをデザインできるようにする。
また、ユーザーは、AIアシスタントによる対話型のコンテンツ制作と、Adobe Expressの直感的な編集ツールによる手動の編集をシームレスに行き来し、思い通りのビジュアルを実現できる。Adobe ExpressのAIアシスタントでは、フォント、画像、背景などデザインのあらゆる要素に対して編集を行うことができ、残したい部分はそのまま維持できる。
AIアシスタントを支えるAdobe Expressのプラットフォームは、主要なチャットプラットフォームとの連携もサポートしており、対話型インターフェイスを介してAdobe Expressでコンテンツ制作ができるプラットフォームの選択肢がさらに広がる。その一環として、近日中にAdobe ExpressのAIアシスタント機能がChatGPTでも利用可能になる予定である。さらに、アドビは新たに誰でも対話型インターフェイスを通じて新しいAdobe Expressの機能や連携を構築できる「Dev MCP Server for Adobe Express Add-ons」の導入も発表した。
Adobe Express担当シニア・バイスプレジデントのゴビンド・バラクリシュナン氏は、次のようにコメントしている。
バラクリシュナン氏:Adobe Expressの新しい「AIアシスタント」機能は、ユーザーの手間のかかる作業や障害を取り除き、制作プロセスを加速させ、インスピレーションを提供します。これにより、テンプレートにとらわれない、ユーザーのユニークなブランド、ビジネス、ビジョンを体現するコンテンツを生み出せるようになります。私たちはコンテンツ制作の障壁を低くし、誰もが素晴らしいコンテンツをより簡単に制作できる世界を実現しています。
世界中の16,000人以上のクリエイターを対象としたアドビの最近の調査によると、10人中8人以上である81%が、「生成AIを活用することで、これまで作れなかったコンテンツを制作することができた」と回答している。また70%以上が「今後エージェント型AIの支援によって創造性をさらに高められることを期待している」と述べている。
対話型AIと業界をリードするクリエイティブツールが融合
「Adobe Express AIアシスタント」の登場により、Adobe Expressはコンテンツ制作のあり方を再定義する。AIモデルによる生成ツール、AIエージェントによる対話型コンテンツ制作体験、そしてアドビの業界をリードするクリエイティブツールがAdobe Express上に統合されることで、これまでにないレベルのクリエイティブ支援を提供すると同時に、必要な時にはいつでも直感的な手動での編集に切り替えることができる。
AIアシスタントはテンプレートを対話型のキャンバスへと進化させ、ユーザーはどのツールやモデルを使用すべきか、あるいはどの手順を踏むべきかを理解していなくても、画像の生成、背景やテキストの変更、オブジェクトの置換を容易に行えるようになる。他の編集ツールとは異なり、Adobe ExpressのAIアシスタントは、コンテンツのあらゆる要素に対して何度でも生成AIを使った修正を可能にし、個々の要素やアセットのレイヤー、キャンペーン全体にわたる変更を加えながら、気に入った部分を維持しながら編集を可能にする。
AIアシスタントはユーザーの曖昧な指示や主観的な意図も理解し、新たなデザイン案や便利なツールセット、文脈に沿ったプロンプトを生成する。これによりユーザーが作業に行き詰まることなくより迅速に完成へとたどり着けるよう支援する。例えば「もう少しトロピカルな雰囲気にして」と依頼すると、山岳テーマを鬱蒼とした植物や花、つる植物に置き換え、彩度調整のスライダーとカラーピッカーを表示して、鮮やかな緑、フレッシュなオレンジやピンクの色味を手動で微調整できるようにする。AIアシスタントは「新しいテーマに合わせてフォントも変更しますか?」と文脈に応じた質問を続けることもある。
アドビのクリエイティブテクノロジーとデザインインテリジェンスを統合
Adobe ExpressのAIアシスタントは、アドビの最先端クリエイティブ技術とコンテンツインテリジェンスを活用し、各作業に適したモデル、ツール、アセットを自動的に選択する。
- 最適なAIの活用:最高水準の自社およびサードパーティ製の多様なモデルやエージェントを活用し、柔軟に対応
- 業界をリードするクリエイティブツールとアセット:優れたクリエイティブツールと数百万点のプロ品質アセットを直感的な操作で利用可能
- クリエイティブの知見とベストプラクティス:プロのクリエイターによって訓練されたAIアシスタントが、構図や色の調和など深い美的感覚をコンテンツ制作に生かす
- コンテンツに関する専門知識:アドビの豊富なコンテンツ専門知識に基づき、エンゲージメントを促進する要素を理解
エンタープライズ向けAdobe ExpressにAIアシスタントが登場
Adobe ExpressのAIアシスタントに搭載予定のエンタープライズ機能は、全社員が自己完結型でブランドに沿ったコンテンツを制作、共同編集できるようにする。テンプレートロックや一括作成などの機能を通じて、あらゆる社員がリンクされたコンテンツサプライチェーンの管理性と効率性を享受できるようにするという。
新機能を先行体験したアドビの法人ユーザーからは、AIアシスタントによって社員がより高品質なコンテンツを容易に作成できるようになるとの声が寄せられている。
人材管理ソフトウェア企業Workdayは、次のようにコメントしている。
この新機能により、デザイン経験のない社員でも、作りたい内容を言葉で説明するだけで、高品質でプロフェッショナルなビジュアルを作成できるようになります。デザインのハードルを下げ、誰もがアドビならではのクオリティとスピードで創造できるようになるのです。
その他の法人ユーザーからも、社員がブランドに沿ったコンテンツを迅速かつ容易に制作できる点が評価されているという。
電通のグローバルブランド&デザイン責任者であるサクラ・マーティン氏は、次のようにコメントしている。
マーティン氏:私たちは、会話をするようにコンテンツ制作を行えるようになるAdobe Express AIアシスタントのエンタープライズ機能の進化に大きな期待を寄せています。アドビのアプローチは、デザイン経験のない社員に自信を与える一方で、プロのデザイナーにとっても煩雑な作業の効率化に役立ちます。また、ロック可能なテンプレートや承認プロセスなどの機能を活用することで、社員が必要なコンテンツを簡単に自己完結型で作成しながら、ブランディングの一貫性を保持することができます。
通信テクノロジー企業Lumenのブランド&DX担当バイスプレジデントであるモーリア・フレドリクソン氏は、次のようにコメントしている。
フレドリクソン氏:Lumenはエージェント型AIの導入においては先進企業ですが、Adobe Expressに搭載されるエージェントは、当社にとって大きな転換点なるでしょう。これにより、テキスト操作が得意なマーケターがデザインスキルを持たずとも、ブランドに沿った納品レベルのレイアウトを迅速に作成できるようになります。
アドビのAIへの取り組み
アドビは業界で最もクリエイターフレンドリーなAIアプローチを採用している。AIを人間の創造性を代替するものではなく、人間の創造性を拡張するツールと捉え、クリエイターの権利の尊重を起点とした、責任ある生成AI開発を推進しているという。