アドビ株式会社は、AIを活用した新プラットフォーム「Acrobat Studio」の日本語版の一般提供を開始した。生産性と創造性を変革するAcrobat Studioは、PDF編集や電子契約などの基本機能に加え、AIによる複数ファイルの要約・分析ができる「PDFスペース」、そしてAdobe Expressによるコンテンツ制作を一つの環境で実現する。
Acrobat Studioの新プランは、月額税込3,300円からのサブスクリプションで利用できる。また、チーム向けプランを月額税込3,960円から提供する。
Acrobat Studioは、Acrobat AIアシスタント、PDF Spaces、Adobe Express Premiumのコンテンツ作成ツール、そしてAcrobat Proに搭載されている信頼のPDFツール群やアドビ製品をシームレスに統合する。静的なファイルを、動的な対話型ナレッジハブに変えることで、ビジネスプロフェッショナルから個人ユーザー、学生にいたるまで、あらゆる人がAIを活用して仕事を進める方法を再定義する。
Acrobat Studioに含まれる主な機能と利点
Acrobat Studioを使用して、ユーザーは、PDF、その他のドキュメント(Word、PowerPoint、会議の議事録など)、Webサイトを利用し、より生産的に作業を遂行することができる。
- 「PDF スペース」:複数のPDFやWebサイトなどのドキュメントをひとつのワークスペースに集約し、対話型ナレッジハブに変換する。ユーザーは、エージェント型AIアシスタントに質問して回答や提案を得ることができる。回答にはクリック可能な引用が付き、出典を確認できるため、情報の検証が容易である。PDFスペースは共有することができるので、チームで共通のナレッジハブと対話してインサイトを得たり、コラボレーションすることが可能である。
- AIアシスタントをカスタマイズ:PDFスペース内のAIアシスタントには、「インストラクター」「アナリスト」「エンターテイナー」といった特定の役割を割り当てることができる。例えば、「インストラクター」の役割を持たせて構築されたAIアシスタントは、教師が生徒に説明するようなスタイルで情報を提示する。またユーザーが独自に役割を定義してアシスタントをカスタマイズすることも可能である。これにより目的に応じて、ドキュメントの要約、質問への回答、さらなる探究領域の提案など、適切なアウトプットを受け取ることができる。
- Adobe Expressで手軽にコンテンツ制作:Acrobat Studioでは、Adobe Express プレミアムプランの全機能とアセットにアクセスすることが可能である。プロがデザインしたテンプレートなどを活用したり、Adobe Acrobatの画面上で「画像を生成」、「画像を編集」、「画像の背景を削除」といった機能を活用して、コンテンツを素早く簡単に作成し共有することができる。
- 信頼のPDFツール:Acrobat Studioには、何億人ものユーザーに利用されているAcrobat Proの業界最高水準のPDF機能がすべて統合されている。PDFの編集、ファイル結合、紙文書のスキャン、契約書や合意書への電子署名、墨消し、比較、保護など、幅広い作業に対応可能である。
2025年にアドビが実施した、文書・資料作成を行うビジネスパーソン1,000名を対象とした調査によると、全体の54.3%が業務における生成AIの活用に好意的な姿勢を示し、その中でも70%以上が、生成AIによる業務効率化に期待を寄せているという。職種別では、特に企画・マーケティング職、クリエイティブ職、IT技術者が生成AI活用の意向が高いことがわかったという。
一方で、生成AIの活用にあたっては、「ハルシネーション(63.2%)」や「セキュリティへの懸念(58.7%)」といった課題が挙げられ、生成される情報の正確性や安全性に対する懸念が導入の障壁になっていることが明らかになった。
アドビ株式会社 Document Cloudプリンシパルプロダクトマーケティングマネージャーである立川太郎氏は次のようにコメントしている。
立川氏:Acrobat Studioは、業界標準のPDF機能に加え、AIを活用したドキュメント分析から、コンテンツ制作までを一つの環境で実現する新しいプラットフォームです。PDFスペースはドキュメントを対話型ナレッジハブに変革し、よりスマートかつ迅速な働き方を実現することで、業務の生産性と創造性の向上に寄与します。これにより、PDFをはじめとするデジタルドキュメントが再定義され、新たな価値を生み出す原動力になると確信しております。
安心の設計とAI倫理
PDFは、個人や組織が最も重要な情報を保持するフォーマットである。アドビがPDFを提供開始してから30年以上が経った今でも、AcrobatはPDFの読み取り、編集、変換のスタンダードであり続けている。
Acrobat Studioは、透明性・コントロール・セキュリティを徹底した設計により、最先端の暗号化、セキュアなサンドボックス環境、コンプライアンス対応機能、ソフトウェアの導入や更新を一括で管理、展開できる集中型デプロイを実現する。
Acrobat Studioは、ユーザーが指定したドキュメントのみを分析し、対象文書内の情報ソースに直接リンクするクリック可能な引用を提示する。これによりユーザーはAIを安心して利用できる。また、アドビは顧客データをAIモデルの学習に使用せず、サードパーティーベンダーによる使用も禁止している。