アドビ株式会社は、全国のビジネスパーソン1,000名を対象に行った「画像生成AIの業務活用実態調査」の結果を発表した。
同調査では、頻度の差はあるが、全ての回答者が業務で何らかの画像生成AIを活用していることが分かった。また、画像生成AIを業務で活用している人も約60%おり、社内業務の効率化やアイデア創出など、創造性と生産性を両立するツールとして定着しつつあることが分かった。
一方で、著作権や情報管理に関する懸念も依然として存在しており、安心して利用できる環境整備の必要性が示されている。さらに、画像生成AIで作成したコンテンツの来歴情報開示に関心を示すビジネスパーソンが多く、信頼性や透明性を重視する意識の高まりも明らかになった。
生成AIの活用は20〜30代を中心に日常業務で定着
画像生成AIを「業務で活用していない」と回答した人は全体で0%だった。20~30代の約半数が「ほぼ毎日」または「週3~4回」利用していると回答し、特に若手世代を中心に画像生成AIが日常業務に浸透していることが分かった。主な用途は業務効率化や時間短縮で、幅広い業務シーンで活用されている。
約6割が画像生成AIを社内業務で活用
画像生成AIの利用頻度は、「ほぼ毎日」「週1〜2回以上」を合わせて約6割に達し、日々の業務で実践的に活用されていることが分かった。主な用途は「アイデア出し(40.7%)」「社内向け資料の挿絵・デザイン(38.0%)」など、社内での業務効率化と表現力の向上に活用されている。一方で、社外向け資料での利用は約2割に留まっている。
画像生成AIの利用における主な懸念点は「著作権侵害リスク」、「情報漏洩」
画像生成AIを活用しながらも、感じている懸念として、「著作権侵害リスク(30.9%)」「肖像権・プライバシー侵害(30.4%)」「情報漏洩リスク(27.7%)」が挙げられた。さらに、約7割が「著作権侵害に対するリスクがなければ、業務で画像生成AIを使用する機会や用途が現在よりも増えると思う」と回答しており、安心して利用できる環境整備の必要性が示唆された。
また、画像生成AI未使用層の約4割は「著作権侵害に対するリスクがなければ使いたい」と回答しており、潜在的な利用意欲があることも示された。
約6割が画像生成AIコンテンツの来歴情報開示へ関心
画像生成AIで作成したコンテンツについて、作成経緯や利用したAIツールなどの来歴情報の開示が必要と回答した人は約6割に上った。主な理由として「信頼性と透明性の確保(54.3%)」、「著作権・知的財産保護(54.8%)」、「偽情報・フェイクコンテンツ対策(45.7%)」が挙げられ、ビジネスパーソンの間で画像生成AIを活用する上で信頼性と透明性を重視する意識の高まりがうかがえる。
安全性・透明性の確保に向けたアドビの取り組み
同調査の結果から、画像生成AIはすでに多くの職場で活用が進む一方、著作権や情報漏洩リスクに対する懸念も依然として存在することが明らかになった。アドビでは、AI倫理原則に則り責任を持って画像生成AIツールの開発に取り組んでいる。
Adobe Fireflyのトレーニングには、Adobe Stockをはじめとする適切な使用許諾を得たコンテンツおよび著作権の保護期間が満了したパブリックドメイン素材のみを使用しており、顧客の個人コンテンツをトレーニングデータとして利用することはない。また、Adobe Fireflyは、著作権や知的財産権を侵害するコンテンツを生成することがないよう開発され、安心して商用利用できるよう設計されている。
さらにアドビでは、デジタルコンテンツに「成分表示ラベル」のような改ざん防止メタデータを付与する「コンテンツクレデンシャル」を製品に実装し、コンテンツの出所や制作過程の可視化を推進している。また、暗号技術を活用した来歴証明の標準化を目指す「コンテンツ認証イニシアチブ」を設立し、現在では5,000を超える企業や組織に支持されている。アドビは、今後も信頼性と透明性の高いデジタルエコシステムの実現に向けて取り組んでいくとしている。
調査概要
- 調査方法:インターネット調査
- 調査対象:日本全国の20~60代のビジネスパーソン男女1,000名
- 調査期間:2025年10月29日~2025年10月31日
※構成比(%)は小数点第ニ位以下を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合がある