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株式会社タムロンは、高輝度中赤外レーザー技術を用いた世界初の「採血のいらない非侵襲血糖値センサー」を開発するライトタッチテクノロジー株式会社(以下:LTT社)へ出資した。

出資の狙い

現在、世界の成人の約9人に1人が糖尿病患者であるとされており、その数は2050年に8億5,300万人へ達すると予測されている。糖尿病の治療には正確な血糖値測定が必須だが、1日に何度も注射針を刺して採血を行う必要があり、肉体的苦痛や精神的ストレスが大きい。このため、針を使わない「非侵襲型センサー」による血糖値測定の実用化が強く求められている。

LTT社は、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(QST)発第1号ベンチャーとして、先端レーザー技術を駆使し、世界初の「採血のいらない非侵襲血糖値センサー」を開発してきた。現在は、センサーの大幅な小型化を実現し、在宅用医療機器やウェアラブルデバイスとしての製品化を目指しているという。

タムロンは、今回の出資を機に、同社の先端レーザー技術と自社の光学技術をはじめとする基盤・コア技術を組み合わせたシナジー創出の可能性を模索する。技術戦略である「撮るから測るへ」の深化を加速させ、新たな領域での社会課題解決に資する製品の創出を目指すとしている。

非侵襲型血糖値センサーについて

同センサーは、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(QST)で生み出された「高輝度中赤外レーザー技術」を基盤とし、LTT社がレーザーの小型化とさらなる高輝度化を実現したものである。この独自技術により、日々の採血に伴う痛みや心理的負担から患者を解放する、針を刺さない非侵襲型の測定を実現した。

最大の特徴は、わずか5秒で完了する「無痛かつ高精度」な測定方法である。従来、非侵襲測定は皮膚の水分などの影響を受けやすく、精度確保が困難とされてきたが、本技術では高輝度レーザーを用いることで、ノイズに埋もれない正確な信号取得を可能にした。これにより、国際規格(ISO15197)に準拠する高い信頼性を確保している。また、針や試験紙を使用しないため、医療廃棄物を発生させない環境配慮型の側面も持つ。

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非侵襲型血糖値センサー(左:カーボヘルスセンサー、右:モバイル型センサー)

高輝度中赤外レーザーについて

中赤外線は物質を精確に識別できる特性を持つことから「分子の指紋」と呼ばれているが、従来の光源では輝度が不足し、透過時の情報損失が課題となっていた。これに対しLTT社は、従来の光源に比べて小型かつ高出力を実現した「高輝度中赤外レーザー」を開発した。十分な輝度と安定性により、生体深部の微細な成分情報を瞬時に捉えることが可能となった。

かつては大型設備を要したこの技術も、現在では小型化が進んでいる。こうした技術革新により、中赤外レーザーは医療分野や環境分野をはじめ、幅広い産業領域において人々の健やかな暮らしを支える技術として、社会実装が期待されているという。