Blackmagic Designの発表によると、カラリストのタシ・トゥリュー氏が「アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ」の制作において、編集、カラーグレーディング、VFX、オーディオポストプロダクション用ソフトウェアのDaVinci Resolve Studioを使用して、複数のフォーマットでクリエイティブな意図の一貫性を保ちながら、劇場公開用マスターを仕上げたという。

「アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ」では、ジェームズ・キャメロン監督が、ジェイク・サリー、ネイティリ、そしてサリー一家を中心とした新しい冒険で、視聴者をパンドラの世界へと誘う。ジェームズ・キャメロン監督とジョン・ランドー氏がプロデュースした同作は、最高品質の劇場上映を追求してきた同シリーズの伝統を引き継いでいる。

「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」に携わり、キャメロン監督の過去作品の多くのリマスター作業も経て同シリーズに戻ったトゥリュー氏は、これまでの長い共同作業の経験をカラーグレーディングに活かした。監督がクリエイティブ面で何を重視し、どのような進め方を好むのかを深く理解していたという。

トゥリュー氏は、次のようにコメントしている。

トゥリュー氏:いつものように、ジム(キャメロン監督)の方針により、明るさのレベル、フレームレート、アスペクトレシオなどを変えた複数の上映用マスターを作成する必要がありました。どの劇場で観る場合でも、すべての観客が最適な上映を体験できるようにするためです。

トゥリュー氏:私の仕事は大きく二つあります。ひとつは、この作品におけるジムのビジュアル的な方向性を実現すること。もうひとつは、様々な上映フォーマットで仕上げる複数のバージョンの間で、クリエイティブ面の一貫性を保つことです。すべての観客の鑑賞体験を最大限に高めるためです。

観客に最高の体験を提供するために、できる限りの工夫を重ねています。

「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」で記録的な数のマスターを作成した経験を踏まえ、トゥリュー氏は「アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ」において、さらに規模が拡大した劇場用マスタリング工程に対応する必要があったという。これには、BarcoによるHDRの2D版と3D版も含まれ、劇場公開用マスターは合計16種類に及んだ。同作は15本のリールに分けられ、各リールはそれぞれ独立したDaVinci Resolve Studioプロジェクトとして管理され、納品用に複数のタイムラインが作成された。

Dolby 3Dが基準グレードとして用いられ、各リールが最終承認に近づくにつれて、他のバージョンはそれぞれの上映仕様に合わせて調整された。多数のバージョンを分かりやすく管理するため、トゥリュー氏は、技術的な修正、基準となるグレード、トリム用のセクションをあらかじめ組み込んだ、固定のノードツリーを標準化した。また、DaVinci Resolve Studioのツールを活用して、変更された箇所を確認セッションの際に正確に把握できるようにした。

複数のタイムラインを扱う中で、トゥリュー氏は、ColorTraceなど、DaVinci Resolve Studioの定評ある機能も活用し、各バージョン間でグレーディングやサイズ調整の変更を反映させた。特に、アスペクトレシオが同じバージョンでその効果が発揮された。

VFXの更新やステレオ映像のチェックに対応するため、トゥリュー氏はDaVinci Resolve Studio用のカスタムスクリプトのライブラリを拡大し、「アバター」シリーズ向けに特別に作成されたツールも用意した。これらのスクリプトにより、更新に伴う主な作業が自動化され、新しいショットのコンフォームや、複数バージョンへの変更の反映において、手作業が大幅に削減された。

トゥリュー氏:ボタンひと押しで、タイムラインのインデックス作成、新しいショットの読み込み、それらのステレオマージおよびカット挿入、グレードのコピー、グループ設定のコピー、さらに複数のタイムラインバージョンへの変更の反映まで行えました。

おかげで、より多くの時間をクリエイティブな工程に費やせました。

またトゥリュー氏は、カラーの連続性が特に重要となるシーケンスについても言及した。その中には、強い青緑色のスポットライトと暖かい炎の光に照らされた、浜辺で対峙する場面があり、カットのつながりが不自然に感じられないよう、ワイドショットとクローズアップの間で慎重なバランス調整が求められたという。

「アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ」は現在上映中。